クルマを所有するうえで、避けて通れないのが「車検」です。車検にはさまざまな検査項目がありますが、NGになりがちな項目はどのようなことなのでしょうか。
■車検前に知っておきたいNGになりやすい項目
クルマを持っていると、自家用車登録の場合は新車購入後3年後、継続検査の場合は2年後に「車検」があり、この車検を合格しないとクルマは公道を走れません。
車検にはさまざまなチェック項目が存在。この項目を合格しないと車検不適合と判断され、再度検査ラインへ足を運ぶ必要があるなど、時間やコストが大幅に増大してしまいます。
車検でNGになりがちな項目にはどのようなものがあるのでしょうか。4つピックアップし、対処方法も紹介します。
●最低地上高
最低地上高は、道路運送車両法の保安基準を定める告示第163条により「9cm以上」と規定されています。
この9cm以上ということが意外にも忘れられがちで、検査時に指摘されることが多いポイントです。
クルマが古くなるとサスペンション機構のダンパー部分が劣化して車高が自然と下がってしまうことがあり、車高を下げるカスタムを施していなくても最低地上高9cmを確保できずに車検不合格となることがあります。
目視でのチェック方法としては、クルマを勾配のない平らで滑らかな表面の場所(コンクリートがオススメ)に停車させ、9cmにカットした太いインシュロック(簡易な点検部材)に長い棒を組み合わせてクルマの車体下部を全体にわたって干渉しないか確認します。
そこで9cmにカットした点検部材が車体下部の鉄製部品に接触すると車検不適合になるというわけです。
一部のゴム製品が車体下部に突出している場合は、鉄製部品ではないので「ギリギリ合格」と判断されることもありますが、検査員それぞれで見解が異なることもあるので車検適合するように是正することをオススメします。
なお、車高が9cm以下の場合は車高を上げる必要が発生します。車高調などが取り付けられているクルマは、車高調の調整ネジを回して車高を上げることも可能です。
●タイヤの溝
タイヤ溝は「1.6mm以上」と保安基準に規定されています。タイヤ溝には溝部分に「スリップサイン」と呼ばれる目印があり、その目印がタイヤ溝と均一に摩耗していて露出していれば車検不適合になります。
クルマの車種によってタイヤの摩耗は異なります。そのため、タイヤの中央部分だけでなく、タイヤ内側・外側とまんべんなくチェックする必要があります。
事前に新しいタイヤに交換して車検に挑むのもひとつの手段ですが、新しいタイヤがすぐに手に入らないときなどは、保管してあるスタッドレスタイヤを使用することも可能です。
スタッドレスタイヤは冬しか使用しないため、溝がある状態で保管されていることが多いでしょう。
なお、前後で夏タイヤとスタッドレスタイヤと違っていても車検検査時は問題ありません。
●タイヤはみだし
ノーマル状態で乗っている人は問題ありませんが、カスタマイズするユーザーはタイヤのはみだしに注意が必要です。
クルマのフェンダー部分よりタイヤ・ホイールがはみ出していると車検不適合になり、タイヤハウスに収まるように是正する必要があります。
目視でのチェック方法は、水糸と10mm程度の小さいナットを用意し、水糸の先にナットを結んでフェンダーの端に水糸を固定してタイヤ・ホイールに向けて水糸を垂らします。
このときに水糸がタイヤ・ホイールに接触するようであれば不適合になるので、タイヤ・ホイールの履き替えをしたほうが無難でしょう。
カスタマイズでブレーキキャリパーを社外品にしているクルマはキャリパーが大きくなっているので、変更したホイールとキャリパーが接触しないか充分確認する必要があるので覚えておきましょう。
●ブーツ関係
車検でNGになりやすい項目が「ブーツ関係」です。ブーツとは、シャフト端部で使用されるゴム製の部品で端部のベアリング保護しているもので、車検ラインの最終段階の車体下部下回り検査で指摘が入りやすい項目です。
シャフトブーツは比較的強いゴム製品ですが、使用状況などによっては割れやすくなっており、ブーツが割れると走行中の砂・ゴミなどがベアリング内に侵入してベアリングを傷つけてしまいます。
クルマにとっては回転を伝える重要部分を保護している部品なので一度チェックしておいて損はないでしょう。
ブーツ交換はカーショップやカーディーラーでの作業をオススメします。