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レクサスの新型「スポーティセダン」は何が凄い? 青ボディで存在感ある「IS500 Fスポーツパフォーマンス」を最速試乗!

くるまのニュース 2022年9月8日 13時10分

2022年08月25日、レクサスは「IS500“F SPORT Performance”」を日本国内に導入しました。今回、海外で先行試乗会がおこなわれましたが、実際に体感した様子はどのようなものなのでしょうか。

■先行試乗で体感した「IS500 Fスポーツパフォーマンス」の魅力とは

 2021年に大幅改良がおこなわれたレクサス「IS」。ほぼ全面刷新といっていいエクステリアやTNGAに匹敵するフットワークなど、その進化は下手なフルモデルチェンジ以上の内容でした。

 あれから1年、そんなISに追加モデルが発表。それがシリーズのトップモデル「IS500 Fスポーツパフォーマンス」です。

 日本向けは2022年8月25日に発表され、同年9月15日まで特別仕様車「ファーストエディション(限定500台)」の商談申し込み(抽選)の受け付け中です(通常モデルは2022年冬以降に導入予定)。

 そんななか、一足お先にアメリカ・ロサンゼルスで北米仕様(ステアリング位置以外は日本仕様とほぼ同スペック)に試乗してきました。

 試乗ステージは一般道~高速道路(フリーウェイ)からワインディング(中高速コーナー)になります。

 レクサスのグレード展開は、サーキットを走れる実力を備えたリアルスポーツ「F」、内外装やフットワークにFのエッセンスをプラスしたスポーティモデル「Fスポーツ」、そして「ノーマル」の3つで構成されています。

 では、Fスポーツパフォーマンスはなんなのでしょうか。簡単に説明すると「Fスポーツ+専用パワートレイン」です。

 IS500 Fスポーツパフォーマンスのパワートレインは「RC F」譲りの5リッターV型8気筒エンジン+8速ATになります。

 ISにV8エンジン搭載というと、先代に設定されていた「IS F」を思い出すかもしれません。

 なぜIS FではなくIS500 Fスポーツパフォーマンスなのでしょうか。

 開発責任者の小林直樹氏は「狙いは『F』と『Fスポーツ』の中間になります。高性能ですがサーキット向けではなく、日常域でもクルマ好きに響くようなクルマを目指しました」と語っています。

 要するにF譲りのパワートレインを搭載していますが、走りの本拠地はFスポーツ、つまりサーキットではなくストリートというキャラクターのモデルです。

 絶対的な性能よりも、大排気量NAでしか味わえない官能的な性能を体感してもらうには、FではなくFスポーツが最適という判断なのでしょう。そもそも、絶対的な性能を求めるならばターボで武装する必要があります。

 では、実際に乗るとどうでしょうか。

 一言でいえば、新しいのに懐かしさを感じるモデルです。

 その要因のひとつはパワートレインです。実用域では481ps/535Nmのハイパフォーマンスを感じさせない穏やかな特性です。

 しかし、ひとたびアクセルを踏んだときのレスポンスの鋭さ、回転が上がるにつれてさく裂するパワー感、そしてどこまでも回っていきそうな伸び感に加えて、4000rpmくらいを境に眠りから覚めた野獣が吠えるような高音がミックスされたサウンド(ASCをONにすると図太い低音が増す)が相まって、全域でモリモリと湧き出るトルクを発生する最新のターボエンジンでは味わえないドラマチックなエンジン特性を生み出します。

 この心地よさ/気持ちよさは今となっては貴重な存在といえます。

 8速ATはドライブモード・ECO/ノーマルでは滑らかさ重視ですが、スポーツ/スポーツ+を選択するとシフトスピード、ダイレクト感共にDSG並みの鋭さに変貌します。

 フットワークはフロントに重く大きなエンジンを搭載いますが、意外にもノーマルのISに近いハンドリングバランスを実現しています。

 具体的には操舵してから遅れなく素直にノーズが動く軽快なクルマの動きや一体感の高いハンドリング、しなやかな足のストロークとトルセンLSDによるトラクションの良さなどです。

 乗り心地はノーマルのISよりは引き締められていますが、足を積極的に動かすセットで常用域/高速道路などでは快適性の高さ、ワインディングでは接地性の高さによる安定・安心を実感。

 つまりハイパワーFRですが、じゃじゃ馬ではなく手の内感の高い走りを実現しています。

 ちなみにドライブモード・ノーマルはオールラウンダーな特性、スポーツ+は姿勢変化を抑えた味付けですが硬さはそれほど感じず、路面状況によってはノーマルより快適に感じたほどです。

 この辺りは2021年の大幅改良で手を加えた車体剛性アップ&剛性バランス最適化、ホイールのハブボルト化による体幹アップに加えて、非線形で硬くなるエンジンマウントの採用やフロントに加えてリアにも装着されたパフォーマンスダンパー、専用サスペンションチューニング(AVS/バネ)とIS500 Fスポーツパフォーマンス専用の最適化が効いています。

■IS500 Fスポーツパフォーマンスの気になる所は? なぜいま「V8」なのか

 ちなみにノーマルのISで唯一気になっていたセンター付近がやや曖昧で直結感の薄いステアフィールはフロント軸重が重くなった影響なのか、手ごたえとシッカリ感が増しているように感じました。

 逆にIS500 Fスポーツパフォーマンスで気になったのはブレーキです。

 制動力向上のために大径ブレーキローター(フロント:356mm、リア:323mm)を採用していますが、絶対的な制動力や耐フェード性は問題ないものの、コントロール幅が狭い硬めのタッチはワインディングだけでなく高速道路でも信頼性に乏しく感じます。

 大容量ブレーキまでとはいいませんが、個人的にはブレーキパッドの材質は変えたいところです。

 恐らくワインディングで走った感覚から、恐らくサーキットでの扱いやすさやコントロール性なども高いレベルにあると予想していますが、あえて非日常(=サーキット)よりも日常(=ストリート)での気持ちよさ/心地よさを重視したセットアップにしている部分こそが、Fスポーツパフォーマンスの立ち位置なのでしょう。

 要するに、5リッターV型8気筒エンジンを速さではなくドライビングプレジャーために活用と、ある意味贅沢な一台です。

北米の地で体感した「IS500 Fスポーツパフォーマンス」の魅力とは

 ちなみにエクステリアはV型8気筒エンジンを搭載するために盛り上がったデザイン採用のフロントエンジンフードやリアの4本出しエキゾーストシステム&ディフューザー形状のリアアンダー、専用デザインのスプリット10本スポークの19インチ軽量アルミホイール(エンケイ製)、そしてメッキからダーククロムに変更されたウィンドウトリムなどをプラス。

 ちなみに「Fスポーツ」のエンブレムはFスポーツパフォーマンス専用のブラック仕様となっています。

 インテリアはステアリングやドアスカッフプレートのFスポーツパフォーマンス専用バッジや専用メータースタートアップ映像などが採用されていますが、基本的にはFスポーツと基本的には同じです。

 個人的にはもう少し差別化してほしいと思う部分もありますが、Fよりも手の届きやすい価格設定(850万円から900万円)考えれば、納得できる部分も。

 ちなみにレクサスは2035年までに「BEV・FCEV100%」を目標に掲げていますが、なぜこのタイミングで5リッターV型8気筒エンジンを追加したのでしょうか。

 もちろんメインマーケットの北米からのリクエストが大きいですが、筆者(山本シンヤ)はレクサスの「挑戦」だと分析しています。

 その挑戦とは、「5リッターV型8気筒エンジンのようなパフォーマンスと気持ちよさ/心地よさを両立させた電動化ユニットの開発」と「Fに近い性能を備えたFスポーツパフォーマンスの登場で、次世代Fはそれ以上の実力が求められる」のふたつです。

 これらを踏まえると、今後のレクサスのスポーツモデル変革に期待大です。

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