2022年9月8日に先行公開された新型「ZR-V」の純正アクセサリーについて、「ホンダアクセス」の開発担当者にインタビューしました。
■アクセサリーのねらいは「人生謳歌」 ふたつの家族をターゲットに
今注目を集めているホンダの新型SUV「ZR-V」は、2022年秋の正式発表、2023年発売開始を予定しています。
2022年9月8日に、純正アクセサリーを展開しているホンダアクセスが、新型ZR-V用の純正アクセサリーに関する情報を公開。
今回は、純正アクセサリーの開発担当者にどのような経緯で開発されたのかをインタビューしました。
新型ZR-Vは、11代目「シビック」をベースにしたホンダとして新たに投入されるモデルです。
ホンダがラインナップする「ヴェゼル」の兄貴分となる新型ZR-Vですが、その純正アクセサリーにはどのような特徴があるのでしょうか。
今回は、純正アクセサリーの開発担当者である苗代圭一郎氏と佐藤友昭氏に直接話を伺いました。
――ホンダアクセスとしての開発状況を教えてください。
苗代:ZR-Vのブランドコンセプトは「異彩開放」。四字熟語になっています。
純正アクセサリー開発にあたり、車両開発の当初から企画に入ったため、車両のターゲットユーザーや方向性は共有されていました。
ホンダアクセスでは、「異彩開放」の先に何ができるか、を考えて企画をスタートしました。
商品によってさらにワンランク上を行けるようなアクセサリーを目指し、「人生を謳歌する」ことをコンセプトとして設定して、開発を進めてきました。
このコンセプトにもとづき、外装と内装にインパクトを与えるように、アクセサリーの品目に落とし込んでいったのが、大まかな企画の開発状況です。
――デザインの一番のターゲットの年齢はどれくらいでしょうか。
佐藤:イメージするユーザーは、30代で共働きの子育て層でゆとりのある暮らしの方と、40~50代のミニバンを卒業したり、セダンからの乗り換えの方のふたつの山を捉えています。
――それぞれ違う家族ですね。小さい子がいる家庭と卒業する家族。
苗代:30代共働きの子育て層の方々は、これから仕事も脂に乗り、収入の面も「ちょっと上を見るような」ワンランクステップアップするようなマインドで、40~50代の方は、「クルマ好き」を思い出させるマインドで、「見上げるところ」と「クルマ好きのところ」が重なるのをイメージしています。
開発メンバーが(ターゲットユーザーに近い)子育て層が多く、一ユーザーになりきって議論した際に、「ワンランク上を目指す気持ち」は共通なんだなと気づきました。世代問わず「カッコいい旦那」になるべきだと。世代はメインでふたつ決めているが、共通する項目だなと思い、デザインが絞れると考えました。
佐藤:SUVってどういうクルマだろうと考えた先に、おしゃれに乗るクルマかなって。じゃあ(ZR-Vに乗る)「旦那」像としてどうか、といったところが、議論の始まりだった。そんな感じですね。
■変わってる! 「ZR-V」で初採用となったアクセサリーとは?
――今回初採用のパーツはいくつかありますか?
苗代:今回初めて設定したものは、「パドルライト」、「リアパネルライニングカバーイルミネーション」です。
「パドルライト」はこれまでロゴや車名を表示することはありましたが、それを入れず、部位や照らす位置を、センスよく光らせるために設計したのは初の試みです。
テールゲートに仕込んだ、「リアパネルライニングカバーイルミネーション」も、光らせることで所有欲をより満足させますが、シーケンシャルで点灯させるのはホンダアクセスとして初の試みです。
「サイドステップガーニッシュ」はステップワゴンで発売していますが、同じ上質感を今回も入れています。
佐藤:ZR-Vのロゴを入れないのも、(想定する)ユーザーはモノを主役にせず、「こんなものを持っているんだぞ」とはならないイメージを持つと考え、主役は人、生活、体験で、それをさり気なく演出するものとしてのクルマが存在すると考えています。
――「フロントロアースカート」と「リアロアーガーニッシュ」がブラックとガンメタリックの2色に分けた理由は?ブラックならブラック、ガンメタならガンメタというのはありがちですが。
佐藤:ガンメタリックにしているのは、光を拾って引き締める効果、重心を低く見せる効果を狙っています。シルバーにするとすごく目立つのでガンメタにしています。
――下の方をガンメタにしているのは、ボディと下端の色合いを分けて引き締めたいからですか?
佐藤:上側はフロントグリルがツヤ黒で、そちらとのコーディネートと図り、フォグライトやドアミラー、テールゲートスポイラー、ライセンスガーニッシュを黒でまとめています。
下に線が走っていると引き締まり効果が出るので、光を拾うかたちで(フロント、サイド、リアの)3点セットはエッジが際立つ感じにしています。デザインスケッチで線を一本通し、引き締めるような効果に通ずるものがあります。
――今回、ホンダアクセスでグリルを用意しなかったのはなぜですか?
佐藤:もともとラインナップを厳選しようという方向性があり、フロントグリルに関しては標準でもイメージが持っていれば十分じゃないかというところです。
引き立てということですと、視覚的に下回りやフォグライト周りだけで姿勢の演出効果を発揮しているので、十分なんじゃないかと。
苗代:グリルを変えることで差別化できるのは認識していますが、形状を変えたり、表面をメッキにすると、少し悪目立ちしてしまいます。
縦スリットグリルはZR-Vの特徴で、アクセサリーグリルで置き換えてしまうとやり過ぎになってしまいます。
今回は、フォグライトで全く表現の異なったクルマが出来上がるので、グリルの代わりと捉えて頂いてもいいと思います。
――2色にした理由は?
佐藤:実は他のホンダアクセスが展開する汎用品でも、白のあとにイエローをラインアップするのが通例になっており、黄色に対する根強い注目がありまして、ラインナップしています。
苗代:ヘッドライト自体にフォグライト(の照射範囲)エリアをカバーされていて、機能上は全く問題はないですが、霧や雪上路面は圧倒的に黄色のほうが機能性はあります。
(装着率は)おそらく8割位はホワイト、機能よりファッション寄りの要素が強いと思いますが、そういったニーズがあるのではないかと、黄色を用意しています。
■大変!? アクセサリーづくりで何を意識している?
――ホンダアクセスのパーツづくりの伝統や歴史は長いですが、継承されてきた伝統などはありますか?
佐藤:ターゲットユーザーがどういうお客さまなのか、というイメージを明確にすることです。
プロセスのなかでそこがブレてしまうと、デザイン案を展開しても、評価するに値しません。どういうお客さま、ニーズがあって、チームのねらいは何か、何でそれをするのかという企画を立てるところが非常に大事です。印象的なのは、企画づくりですね。
苗代:共通する部分は、ターゲットを念頭に置きながら進めるのが、過去から現在まで共通した考えです。
佐藤:ホンダアクセスの伝統的なところでいうと、きちんと綿密な密接な関係性を築くことができているので、そこがホンダアクセスならではだなと思います。
車両を作っているときに、こちらからディスカッションすることもできますし、あちら(車両開発部門)からこういう用品どう?っていう話をいただくこともありますし、その一端はホントにありがたい。
――ステップワゴンの広報車を借りるとオーディオの音が良くなっていますが、ZR-Vのオーディオ関係は?
苗代:ステップワゴンとナビセット、スピーカーシステムなどハード部分は共通です。
(当然ステップワゴン用からだと)パッケージは変わりますので、同じハードですがセッティングはZR-V専用にチューンされています。
佐藤:ホンダは音に拘って開発しています。ZR-VはHEVで電動の時間が長く、静かなので、よりオーディオユーザーさんも求める幅が広がります。
■ズバリ! 純正アクセサリー開発者の「推しパーツ」は?
――アクセサリーで一番のこだわり、「推し」のパーツは内外装それぞれでありますか?
佐藤:「LEDフォグライト&ガーニッシュ」がお求めやすく、一番イメージチェンジできます。
アゴをちょっと引いたような姿勢になり、顔も全体も、フロントグリルの突き出し感も演出できます。
苗代:外装だと19インチのホイールです。
黒一色に見えますが、切削という、スポークの部分を塗る前に表面を削ることによって、鋳肌の部分と切削面のふたつの面構成になり、光の反射で全く異なるホイールが出来上がります。
19インチ履いてるのをアピールしていただくと開発メンバーも喜びます(笑)。
フロントロアースカートも苦労して成立しているので、皆さんの顔を思い浮かべるとなかなか選べません(笑)。
――インテリアは?
佐藤:新商品の「パドルライト」です。シンプルなデザインで、冒頭の通り今までのホンダ車にはなかったラインナップで、車両の世界観にマッチしているので、満足いただけると思います。
苗代:「リアパネルライニングカバーイルミネーション」です。開けたときに、光の回数、タイミングなどもチューニングし、こだわりました。
荷物ただ積むだけカーゴエリアに「おっ」と、荷物を乗せるときにおもてなし感が伝わればいいなと(笑)。
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ホンダの新型ZR-Vは、「異彩開放」がテーマとなっていますが、「人生謳歌」がコンセプトの純正アクセサリーを装備することにより、さらにSUVとしてのプレミアム性や高級感、機能性が増した仕様となります。
今回のインタビューで紹介されたアクセサリー以外にも、正式発表後にどのようなアクセサリーが用意されるか、今後の展開にも期待が高まります。