なくても登山はできますが、あると便利なのが「クルマ」です。登山に行くのにクルマを使うとどのようなメリットがあるのでしょうか。実際に山登りをしている人達に聞いてみました。
■クルマで登山に行くのはメリットしかない!?
アフターコロナ・ウィズコロナ時代のレジャーとして3密を避けられるアウトドアな趣味に注目が集まっています。「登山」や「トレッキング」もそのひとつで、手軽にチャレンジできる低山を中心に人気が広がっています。
キャンプや釣りなどもそうですが、アウトドア趣味はクルマがなくても楽しむことができます。しかし、あると便利で楽しみの幅が広がるのもまた事実です。
登山やトレッキングにおいて、クルマがあるといったいどんなメリットがあるのでしょうか。
なお、登山とトレッキングという言葉の違いに厳密な定義はありませんが、一般的に「ハイキング→トレッキング→登山」の順で本格的になる（歩行の難易度が高い）というニュアンスで使われることが多いようです（本稿では登山で統一します）。
登山趣味におけるクルマのメリットは、なんといっても公共交通機関が通っていない登山口にアクセスできることでしょう。
山によってはタクシーすら利用できないこともあるため、クルマがあれば確実に登れる山が増えます。
昨今はコロナの影響で乗り合いバスの運行が中止されることもあり、ますますクルマの有用性が際立ちます。
また、登山に必要な道具を載せられるのもメリットのひとつ。
さまざまな道具を詰め込んだザックを背負い、電車やバスを乗り継ぎ登山口に向かうのは結構な重労働で、山に登る前から疲れてしまっては本末転倒です。
もちろん、下山してからの帰路だって荷物はなくなりません。
登山に不要な荷物はクルマに置いていけるので、天候・気候にあわせた予備のウェアや道具を持っていくこともできます。
登山に際しては気象情報のチェックが必須ですが、クルマであれば登山開始ぎりぎりのタイミングで情報を確認してから装備を変更することが可能です。
公共交通機関と違い自分の好きなタイミングで登山口に向かえるのもクルマならではの魅力。
日の出と同時に登山を開始したいのにそれに間に合う電車がないという心配はないし、前日の夜に到着して車中泊という選択も可能です。登山計画の自由度が大きく広がります。
自由といえば、登山でかいた汗を流すために下山してから温泉に立ち寄るのにもクルマがあると便利です。
温泉街までバスが運行されていることもありますが、入浴後にまたバスや電車で帰るとなると湯冷めしてしまうことも。温泉に入らないにしても、クルマがあれば登山口や駅の食事処以外にもアクセスしやすいため食事の選択肢も広がります。
逆にデメリットはというと、クルマの購入代金や維持費が必要なことでしょう。
毎年の自動車税に任意保険、車検では自賠責保険に重量税がかかり、定期的なメンテナンスとしてオイル交換なども計上しなければなりません。駐車場がなければ別途その費用も……という具合で合計するとなかなかの金額です。
また、ドライバーには運転することによる疲労や事故のリスクがつきまといます。
荷物を背負って公共交通機関で往復するのとどちらが疲れるかはさておき、事故を起こさないためにも疲労を感じたら積極的に休憩を取るようにしましょう。それができるのがクルマのメリットでもあるのですから。
そして、クルマならではの事情として、必ずクルマに戻らなければならないことが挙げられます。
バスや電車なら峠越えや縦走したのちに別の登山口へ下りることができますが、クルマだと出発した登山口に戻らなければなりません。
■やっぱりSUVがおすすめ？ 登山好きが乗ってるクルマは何？
登山にクルマを利用するメリットはいろいろありますが、山へ行くクルマはどんな車種でも良いのでしょうか。実際にクルマを活用している登山好きの人に聞いてみました。
スバル「フォレスター」に乗るTさんは次のように話します。
「登山口への道路は未舗装の場合も少なくないので、やはりSUVが良いんじゃないでしょうか。
といっても道なき道を突き進むみたいなことはなくて、砂利道だったり小さな穴が空いていたりといったことがほとんどなので、本格的なオフロード車でなくても大丈夫だと思います」
道なき道は走らずとも4WDは必須だというのが、日産「エクストレイル」（2代目）を所有するYさんです。
「自分はスノーボードもするので2WDではなく4WDを選びましたが、登山においても4WDは必要だと考えています。
山の天気は変わりやすいですし、登山口は標高が高いところもあるので意外なタイミングで雪が降ったりするんです。そんなとき4WDだとやはり安心感が違います」
Yさんがエクストレイルを選んだ理由は濡れたまま座れる防水シートを採用しているからで、雨天の登山から戻ってきたときに重宝しているのだとか。
長距離を走るのでディーゼルモデルにしたとのこと。次のクルマとしてEVも検討したそうですが、山間部にはまだあまり充電スタンドが多くないため時期尚早と判断したそうです。
日産「キャラバン」に乗るFさん。往復の高速道路や市街地での快適性を考えてミニバンも候補に挙げていたそうですが、最終的に商用バンを購入。車中泊を考えての選択だと力説します。
「運転して疲れたまま登山するのがイヤだったんです。せっかくクルマで行くんですからそのメリットを存分に享受したいなと思いまして、車中泊が快適なワンボックスを選びました。
最低地上高も高めなので砂利道もだいたいどうにかなっています」
最後はコンパクトカーのホンダ「フィット」で山に通うAさん。SUVでも4WDでもないごく普通のハッチバックで登山口までたどり着けるのでしょうか。
「いまはインターネットで登山口までどんな道かを調べられるので困ったことは一度もありません。調べて厳しそうなら素直に諦めています」
クルマにあわせて山を選んでいるため不便は感じないそうで、むしろ道が細かったりするので車体がコンパクトなことに助けられているのだとか。
積載量についてはルーフボックスを利用することでエキストラのスペースを確保しているそう。
ただ、ルーフボックスを付けると燃費が悪化するので、次はラゲッジスペースが広いワゴンを狙っているそうです。
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登山を趣味とする人のクルマ選びから「どんなクルマが登山の相棒に最適か」が見えてくると思います。
今回話を聞いた人達は、異なるジャンルのクルマに乗っていますが、「これから買う人にどんなクルマがお勧めか」という問いには全員がSUVを挙げました。
理由は「トータルで見て機能・性能がもっともマッチしているから」とのことで、ついでにいえば「山に似合う」「映える」なんていうミーハーな意見も。
でも、クルマを買うときは、そういった「満足度」が意外と大事だったりするものです。