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レンタル急増の「キャンピングカー」横転しやすいってホント? 普通のクルマと違う運転のコツとは

くるまのニュース 2022年9月25日 9時10分

キャンプがブームになるなか、秋の行楽シーズンにキャンピングカーをレンタルしてみようと考えている人もいるのではないでしょうか。キャンピングカーの運転ではどのような点に注意すべきなのでしょうか。

■アウトドアブームでキャンピングカーのレンタルが急増

 秋の行楽シーズンを迎え、出かける機会も増えるこの時期。近年クルマでキャンプを楽しむオートキャンプが人気になっており、なかでもキャンピングカーを体験してみたいユーザーが急増。キャンピングカーのレンタルも予約が取りづらくなるほど人気となっているようです。

 その一方で、「キャンピングカーは横転しやすい」という噂も聞かれますが、キャンピングカーを運転するときはどのようなことに注意したら良いのでしょうか。

 キャンピングカーは大きくわけて4種類あります。

 小さいさいものから、軽自動車のバンやワゴンをベースにした「軽キャンパー(軽キャン)」、トヨタ「ハイエース」などのバン・ワゴンをベースにした「バンコンバージョン(バンコン)」、主にトラックがベースの「キャブコンバージョン(キャブコン)」、キャンピングカーの最高峰が、マイクロバスをベースにした「バスコンバージョン(バスコン)」です。

 このように、キャンピングカーにもいくつかの種類があるわけですが、一般的なクルマと比べて、やはり横転しやすい乗り物なのでしょうか。

 その辺りをキャンピングカーメーカーのスタッフ Iさんに聞いてみました。

「キャンピングカーのなかでもキャブコンの運転には、とくに注意が必要です。

 ベースのトラックシャシの荷台に『シェル』と呼ばれる居住空間を合体させたもので、設備などによって重さは大きく変わりますが、走らせてみると、大きくて背が高く、しかもかなりの重量物を荷台に載せているという感覚です。

 当然ながら重心も高くなり、高さも増えるため横風の影響も受けやすく、通常のクルマと同じような感覚で操作をすると横転のリスクが高まる可能性もあります。

 運動特性がまったく違う乗り物だと思ってください」

 とりわけ注意したいのはその大きさと重さ。レンタルでも人気が高いキャブコンは全長5m以上、全幅は約2mというサイズ以上に、全高が2.6mから3mにもなるため、橋桁や立体構造の建築物、さらにキャンプ場の植栽など、上部の接触事故に注意が必要だといいます。

「重量が3t以上ある車種も多いので、ブレーキの制動距離も通常のクルマの倍近く必要だということを意識しながら運転する必要があります。

 また先述した通り重量物が重心の高い位置にあるため、いわゆる『急』がつく操作はご法度。とくに急ハンドルや急制動は車体のバランスを崩しやすく、横転のリスクが高まります」(キャンピングカーメーカースタッフ Iさん)

 もうひとつ、キャンピングカーを運転する前に忘れずにチェックしてほしいのがタイヤの空気圧です。超ヘビー級ボディを支えながら路面との接点となるだけに、タイヤへの負荷は非常に大きいそうです。

「一般的なセダンなどは220kPaから240kPa程度、重量のあるハイエースなどのバンでも350kPa程度の空気圧が適正といわれていますが、キャンピングカーは600kPa前後が必要なんです。

 空気圧が足りないと燃費に悪影響を及ぼすだけでなく偏摩耗もしやすく、パンクも起きやすくなります」(キャンピングカーメーカースタッフ Iさん)

 600kPaという数字を見ると、タイヤにかかる負担が大きいことを如実に物語っています。またこれだけの高圧状態で異常が発生すれば、タイヤバーストの危険性もあります。そのため、空気圧のこまめなチェックだけでなく、タイヤ自体の劣化にも気を遣ってほしいそうです。

「弊社でレンタルできる車両はもちろんキチンと整備していますが、他社ではタイヤの溝だけで判断してしまうケースもあるようです。

 超重量級なので、長期間の駐車だけでもタイヤが変形してしまいます。

 レンタルして走り出す前に、タイヤの状態などをお店のスタッフに一緒に確認してもらうほうが良いと思います」(キャンピングカーメーカースタッフ Iさん)

■運転するときに気を付けたいポイント

 キャンピングカーを安全に運転するにはいくつかのポイントがあります。前出のキャンピングカーメーカースタッフ Iさんに解説してもらいます。

●細い道や狭い道は走らない

 キャンピングカーは細くて狭い道も苦手です。実は横転事故より、脱輪事故のほうが多いといわれており、これは死角が多く、車両感覚が掴みにくいからです。

 またバック走行などは熟練ドライバーでも難しいので、急がば回れではないですが原則として複数車線のある主要幹線道路をメインに走行するほうが安全です。

キャンピングカーを運転するときは注意が必要

●高速道路では横風と割り込みに注意

 キャンピングカーはクルマというより、移動できる居住空間のようなものです。全高も高いため横風の影響を受けやすく、高速道路などではハンドルを取られることもあります。

 アクセルを踏み込めばスピードに乗せることは可能ですが、できる限りスピードを控えた運転を心がけてください。

 また大柄なボディは、ほかのクルマから見れば動きがスローに見えます。前走車との車間距離も広く取っておきたいところですが、そうなるととくに高速道路では割り込まれることも多くなります。

 それでも無理に車間距離を詰めようとはせずに、「お先にどうぞ」と気持ちに余裕を持って運転してください。

●乗車定員&積載重量の厳守

 広々とした居住空間がウリのキャンピングカーですが、とくにキャブコンなどをレンタルした場合、乗車定員より多くの人と荷物をのせてしまう人が多いようです。

 ただでさえ超重量級ですから、これ以上タイヤへの負担が増えるとパンクなどの危険性も高まってしまうので、乗車定員以内での乗車と、できる限り最低限の荷物で積載量も減らしておくほうが良いでしょう。

●駐車や車中泊では防犯意識も大切

 非日常ではない車内でついつい気分も盛り上がって夜ふかしできるのもキャンピングカーの醍醐味ではありますが、最近ではオートキャンプ場でも置き引きや車上荒らしの被害が報告されています。

 通常のクルマと違い、キャンピングカーは施錠を忘れがちになることも多く、就寝前にドアロックの確認は忘れないでいただきたいです。

●「急」のつく操作はしない

 繰り返しで恐縮ですが、想像以上にキャンピングカーの移動は慎重さが必要です。急発進はともかく、急ハンドルや急ブレーキなどは絶対にしないようにご注意ください。

 挙動が不安定になると同乗者も酔いやすくなりますし、タイヤへの負荷がさらに増えます。

 また突然のアクシデントに備えて、走行中は後部座席の乗員もシートベルトは忘れずに着用してください。

※ ※ ※

 キャンピングカーは広い車内でリビングルームにいるようにくつろげたり、寝泊まりできるのが魅力ですが、残念ながら、日本ではどこでも車中泊OKではないのが現状です。

 勘違いしがちなのが、高速道路のSA・PAや道の駅での車中泊もNGなこと。仮眠など数時間の滞在は問題ありませんが、周囲の利用者に迷惑になるような行動は禁物です。

 ロケーションの良い場所でゆっくりクルマを停めてアウトドアを楽しむためにも、しっかりキャンピングカーを駐車できる施設などを事前に予約することをお勧めします。

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