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赤信号回避の「コンビニワープ」抵触する3つの違法性 一方で「取締りできない!?」 厳しい現状も

くるまのニュース 2022年10月9日 11時10分

街中で赤信号を待たずにコンビニの駐車場を通ってショートカットする行為は、「コンビニワープ」と呼ばれる危険行為にあたります。ではこのコンビニワープは法令で違反行為に該当するのでしょうか。

■「コンビニワープ」の危険性と3つの違法性とは

 街中で渋滞や信号待ちなどを避けるためにコンビニなどの駐車場を通り抜ける行為は、「コンビニワープ」と呼ばれており、危険行為に該当します。
 
 事故にもつながりかねないこの行為は、罰則などはないのでしょうか。

 コンビニワープはコンビニに限らず、交差点に接している公園や会社、スーパーなどの広い駐車場でも行われることが多々あります。

 コンビニワープを行う多くの人はおそらく、「コンビニやスーパーの駐車場に入って出るだけだから違法ではない、ただ近道をしているだけ」と考えている人が多いかもしれません。

 しかし、コンビニワープをするクルマはスピードが出ていたり周りをよく見ないで走っていたり、急いでいるあまり危険な運転をしているケースがあります。

 その結果、コンビニを利用するために駐車場を利用しているクルマや歩行者と事故を起こすこともしばしばあります。

 しかし、道路交通法ではコンビニワープという行動を直接取り締まる条項はないため、その点では道路交通法違反には該当せず罰則が存在しません。

 そもそも道路交通法は公道上での運転について定められた法律のため、駐車場などの私有地や指導は道路交通法の適用範囲外となります。

 一方で、コンビニワープが道路交通法に抵触する可能性として、主に3つの規定が挙げられます。

 まず、急いでいるあまり猛スピードで道路とコンビニの駐車場を出入りした場合、安全運転義務違反となることがあるでしょう。

 これは前方不注意や安全不確認、安全速度違反などに該当する可能性があるためです。

 道路交通法第70条には「車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない」と定められています。

 安全運転義務違反となった場合、違反点数2点、反則金は普通車の場合9000円が科されます。

 また、コンビニワープをするために歩道等を横断する際、歩道等の手前で一時停止せず歩行者の通行の妨げとなった場合も処罰の対象となります。

 道路交通法第17条第2項では、「車両は、歩道等に入る直前で一時停止し、かつ、歩行者の通行を妨げないようにしなければならない」と定められています。

 これに違反した場合は、2万円以下の罰金または科料の罰則が設けられています。

 さらにコンビニやスーパーの駐車場は、お店を利用するための場所です。

 コンビニワープをする人は、この利用目的に反することから刑法第130条(住居侵入等)に該当する可能性もあります。

 この条例では、「正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者」と定められています。

 これに違反した場合、3年以下の懲役または10万円以下の罰金が科された罰則に該当する可能性があります。

※ ※ ※

 このように、コンビニワープという行為はコンビニやスーパーの利用者、その周辺の通行人に対して事故を起こす可能性のある危険な行為であり、道路交通法や刑法の処罰の対象となる場合があります。

 一方で、上記にも述べた通りコンビニやスーパーなどの駐車場は私有地にあたるため、道路交通法が適用されないケースも。

 これについて元警察官Bさんは以下のように話します。

「コンビニの敷地内は私有地であり、道路として扱えるかどうかはその時々の状況で変わってくるため、道路と全く同じように普段の交通取り締まりとしておこなうのは難しいのが現状といえます。

 コンビニの敷地内に入る際に、歩道の前で一時停止しなければならないというのは道路交通法で定めがあるので、そういった法令での取締りはできるかもしれません。

 しかしコンビニ出入りの際の基本は警察官の現認がないと取り締まるのは難しいですね。

 コンビニ敷地内での暴走行為などがあれば条例などで取り締まることも検討できるかもしれませんが、コンビニワープのみだとなかなか難しいかと思われます」

 現状はコンビニワープの取り締まりが難しいといえます。

 しかし、信号や渋滞を待つ数分の時間を惜しむちょっとした行動で、大事故を引き起こす可能性があります。

 実際に、2020年3月に大分県宇佐市の飲食店の駐車場で3歳の女児が、走ってきた軽トラックにはねられて死亡したという痛ましい事故も起きています。

 事故を起こして悲しい思いをする人や後悔する人を増やさないためにも、コンビニワープという危険な運転をしないよう心がけることが大切です。

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