2022年9月27日におこなわれる国葬を前に、全都道府県警のパトカーが集結している様子が皇居周辺で見られました。国葬に向けた警備のために全国から警察が集まっているものとみられますが、一体どのような場合に招集されるのでしょうか。
■なぜ各地から? 全都道府県警察が都心へ招集される理由は
2022年9月27日、安倍晋三元首相の国葬が日本武道館(東京都・千代田区)でおこなわれます。
そんななか、国葬前のシルバーウィーク期間中に皇居周辺には警視庁だけではなく、北海道警察、京都府警察、福岡県警察など、全国各地のパトカーが集結した様子が見られました。これにはどういった理由があるのでしょうか。
安倍晋三元首相の国葬について、政府によると27日14時に開式が予定されており、参列者は国会議員や外国要人ら最大6000人程度を想定。会場外には一般向けの献花台も設けられます。
これを受け、26日から28日にかけて都内の一般道と首都高速では大規模な交通規制も実施されます。
そんななか、3連休だった9月23日から25日にかけてのシルバーウィーク後半期間中には、警視庁だけでなく各都道府県警察のパトカーが集結していた様子が皇居周辺で見られました。
国葬に向けた警備のために全国から警察が集まっているものとみられますが、一体どのような場合に招集されるのでしょうか。
これについて、元警察官Bさんは以下のように話します。
「大規模な行事やイベントがおこなわれる時は、テロや各種事件の未然防止対策に多くの人員が必要になると同時に、イベントに関係のない交通事故、事件など通常の勤務にも対応する必要があります。
このため、警視庁などその管轄地域の人員だけでは対応できない場合に、各都道府県警察に応援を求めるケースがあります。
ただし具体的な条件については明確に示されていません。
派遣される警察官にはベテランもいますが、経験を積ませるために若手も多く派遣されています」
大規模イベントや世界各国の首脳が集まる国際的な会議などが開催される場合など、警備強化が要される時に全国から多くの警察官が派遣されることがあるようです。
ここで疑問となるのが、各都道府県警察のパトカーなどの車両はどのようにして開催地に持ってくるのかということです。
これについて、元警察官Bさんは以下のように説明します。
「車両については、基本的に各都道府県から警察官が運転して持って行きます。
北海道警察については把握していませんが、基本的に陸路で繋がっている場所は陸路で運びます。
また大規模警備で見られるパトカーは、傷や汚れのないピカピカのものばかりですが、各都道府県警察を代表して持ってくるので、比較的新しいパトカーを使用することが多いと考えられます。
新しいパトカーは、きれいな状態のままこまめに清掃し、ピカピカな状態を保っています」
■派遣された警察官の任された「任務」は
全国からはるばるパトカーで目的地まで集められる各都道府県の警察官。
では具体的にどのような任務にあたっているのでしょうか。これについて元警察官Bさんは以下のように話します。
「大規模警備では危険物の探索、施設の警戒、要人の警護など、さまざまな任務にあたります。
例えば2020年に東京オリンピック・パラリンピック競技大会の場合、競技会場の近くで警戒や、人が多く集まる施設や駅などの公共施設で爆発物の検索、不審者への職務質問といった任務などが挙げられます。
今回、国葬がおこなわれる日本武道館の近くにある東京駅では、ゴミ箱の使用が禁止されていましたが、海外では、ゴミ箱の中に爆発物を仕掛けるテロも発生しており、そういった危険を防止するためだと考えられます。
海外では人が多く集まる場所に車両を突入させるテロもたびたび発生しているため、会場の付近では車両突入を防ぐため、防護柵などの機材を設置する可能性もあるでしょう」
また警備強化のほか、震災などの災害発生時にも全国から派遣されるケースも。
2011年3月に発生した東日本大震災の直後には、広域緊急援助隊と呼ばれる災害対策のエキスパートチームが全国から被災地に派遣され、被災者の救出活動や避難誘導、緊急交通路の確保、ご遺体の検視などの任務にあたったといいます。
災害発生から一定期間が経過した後には一般部隊と呼ばれる部隊も派遣され、行方不明者の捜索、被災地のパトロール、相談対応などをおこなった実績もあります。
このように警備強化のほか、震災などの災害発生時にも全国各地に派遣されていることがわかりました。
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警備強化が必要な大規模なイベントがおこなわれる際は、全国各地からパトカーが集められます。
運が良ければ、集結した全国都道府県のパトカーたちを東京都心で見ることもできるかもしれません。