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「もうヤダ!」 MT車の坂道発進にコツはある? 「後ろに下がるかも…」苦手意識を解消する覚えるべき「感覚」とは

くるまのニュース 2022年9月30日 14時10分

MT車の坂道発進といえば苦手な人も多いかもしれません。「後ろに下がってしまうかもしれない…」といった不安を解消するために覚えておくべき「感覚」とはどのようなものなのでしょうか。

■AT車よりも運転が難しい? MT車とは

 クルマが自動的に運転をサポートしてくれるオートマチックトランスミッション(以下、AT)。
 
 一方で、マニュアルトランスミッション(以下、MT)は、慣れていないドライバーであれば苦手意識を持つこともあるかもしれません。
 
 とくに坂道発進を上手くこなすコツはあるのでしょうか。

 いまや、国内で販売される新車はAT車がほとんどです。

 ドライバーもAT限定免許を持つ人が多くなり、警察庁の運転免許統計によると2021年の免許取得者では6割にのぼっています。

 AT車は操作が容易なため、免許取得者全体からするとMT車を運転したことがないという人はさらに多いともいえそうです。

 そもそもクルマは、トランスミッションというギアボックス(変速機)を使って動かすもので、その操作をドライバーがおこなうのがMT車です。

 ギア変速つきの自転車を想像するとわかりやすいですが、エンジンの回転数(スピード)に合わせてギアを変えていき、AT車のようにパーキングやドライブのポジションは存在しません。

 また、MT車ではギアを変える際にクラッチを操作します。

 クラッチとは、エンジンと車輪の間にある動力を伝える装置です。エンジン側とタイヤ側(トランスミッション側)に円盤部品があり、このふたつをつなげて回転を同期させることで、エンジンの動力を車輪へと伝えます。

 クラッチペダルで操作しますが、ペダルを完全に踏みこむと円盤部品が離れ、動力は伝わりません。

 MT車を運転するときに難しいと感じるのが、このクラッチ操作でしょう。

 発進する際は、エンジンを始動したら左足でクラッチペダルを完全に踏み込みます。次に、右足でアクセルペダルをゆっくり踏み込みながら、クラッチを踏んでいた左足を離していきます。

 このように徐々に動力が伝わっていく状態を「半クラッチ」と呼びますが、円盤を一気につなげるのでなく、擦り合わせた状態で同期させられるため、クルマへの負担が減ります。

 ただ、慣れるまではどれくらい踏み込めばいいかなどがわからず、練習が欠かせないといえそうです。

※ ※ ※

 クルマが自動で変速してくれるため、アクセルペダルを踏めば前に進めるAT車。それに比べてMT車は、アクセルペダルを踏むだけではエンジン動力が車輪に伝わらず、操作が難しくなりがちです。

 そのような背景から、首都圏の自動車教習所の担当者は「そもそも、MT免許を取得する人の数が非常に少なくなっています。割合としては、ATが9割、MTが1割程度です」といいます。

■MT車、最大の難関「坂道発進」のコツとは

 運転することが難しいMT車ですが、坂道での発進はさらに難しいといわれています。
 
 SNSでは「MT車難しい、特に坂道発進」、「MT車の坂道発進難しすぎて、爆速で後ろまで下がってしまったのトラウマ」、「MT車難しすぎて坂道発進でエンストしまくってしまった」など、MT車における坂道発進に苦戦している人が多くいる様子がうかがえます。

 そんなMT車の坂道発進ですが、どのようなコツが必要なのでしょうか。

 関西圏の自動車教習所の教官は、MT車の坂道発進におけるコツについて、以下のように話します。

「教習所では、コース内に坂道が設置されており、そこで坂道発進の教習をおこないます。

 MT車で坂道発進をおこなう場合、まず教習所では上り坂でフットブレーキを使って完全に停止かつクラッチを踏みで動力を切る状態にします。

 その後、再度クラッチを踏んでシフトを1速に入れつつ、サイドブレーキを引いたままの状態にします。

 次にサイドブレーキを引いたままクラッチから徐々に足を離していき半クラッチ状態にしていくと、若干クルマ自体が動こうとします。

 そのタイミングで、サイドブレーキを戻しつつ、アクセルを強めに踏み込んでいき、クラッチをゆっくり離していくことで坂道発進が可能となります。

 なお、完全な半クラッチ状態であれば前に前進する力と後退する力が均衡することで坂道で停止することができ、慣れたドライバーであればサイドブレーキを使わずに半クラッチだけで、坂道発進をおこなう人もいますが、教習所では必ずサイドブレーキを使うように教えています」

最近のMT車ではブレーキホールド機能がついているため坂道でも余裕をもって発進出来る!(画像はホンダ新型「シビックタイプR」)

 また、首都圏の自動車教習所の担当者は、以下のように話します。

「クラッチ操作をきちんと覚えていなければ、坂道発進はなかなか難しいです。坂道発進をするには、『半クラッチ状態』で停止する感覚を覚える必要があります。

 こちらの教習所では、ハンドブレーキやサイドブレーキを使用してクルマを抑えることによって、アクセルを踏み込み、半クラッチ状態を維持するように教えています。

 この操作が非常に難しく、こちらの教習所に通われる生徒さんのなかにも半クラッチ状態を維持することができず、後ろに下がってしまう人が多いです。

 半クラッチで止まることができず、下がってしまった場合、教習所では不合格になってしまう可能性があります」

※ ※ ※

 このように文字だけで見ればMT車の坂道発進は難しく思えますが、実際には半クラッチ状態の感覚を覚えることで、スムーズな発進が可能となります。

 また最近のMT車では「オートブレーキホールド」や「ヒルスタートアシスト」といった坂道でもブレーキを離してから数秒間は停止を保持する機能もあるため、慌てず坂道発進が出来るようにクルマ側の技術も進化しているのです。

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