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トヨタ「新型高級SUV」発売! 620万円の最上級仕様「ハリアーPHEV」は「何km走れば」ガソリン車との差額回収可能? 魅力は外部給電も!

くるまのニュース 2022年10月20日 18時10分

クルマを購入する際にガソリン車、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、電気自動車などから選ぶ必要があります。ではガソリン車、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車を設定するトヨタ「ハリアー」の場合、それぞれの車両価格の差額を回収するにはどのくらい走るといいのでしょうか。

■専用フロントグリルや内装加飾も装備

 近年ますますラインナップが充実しているハイブリッド車(HV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)。
 
 燃費性能の高さが魅力の両者ですが、結局のところガソリン車との車両価格における差額を回収することは可能なのでしょうか。

 1997年、世界初の量産型ハイブリッド車(HV)としてトヨタ「プリウス」が発売されました。

 そこから25年の月日が経った現在、日本での新車販売台数におけるHV比率は30%を超えるなど、エコカーの代名詞としてすっかり定着しました。

 また、近年では充電可能なプラグインハイブリッド車(PHEV)の選択肢も充実。PHEVは欧州の自動車メーカーも積極的にラインナップしているため、国産車はもちろん輸入車からも選べるのが大きな魅力です。

 HVやPHEVのメリットは環境的かつ経済的であることで、燃料の消費量が少ないため環境にもお財布に優しいということが挙げられます。

 一方HVとPHEVはほとんどの場合で、同じモデルあるいは同じクラスのモデルのガソリン車やディーゼル車よりも新車価格が割高に設定されています。

 そのため、HVやPHEVを検討するユーザーの多くは、その差額を回収できるのかという点を計算し、購入するかどうかを決定するケースが多いようです。

 では、実際にHVやPHEVは、同じクラスのガソリン車と比べて差額を回収することはできるのでしょうか。

 トヨタは2022年9月28日、「ハリアー」のマイナーチェンジとともに「ハリアーPHEV」を追加設定し、10月31日より発売することを発表しました。

 これにより、ハリアーにはガソリン車とHV、そしてPHEVの3つのパワートレインがそろうことになります。

 ハリアーPHEVは上級グレードの「Z」の4WD仕様のみの展開となっているため、ガソリン車およびHVの「Z」の4WD仕様と比較すると、それぞれの車両本体価格はガソリン車が423万8000円、HVが484万8000円、PHEVが620万円となります。

 ガソリン車とHVでは61万円、HVとPHEVでは135万2000円、そしてガソリン車とPHEVでは196万2000円もの差額が見られます。

 ただし、HVとPHEVでは自動車税環境性能割と自動車重量税が免税となるため、ガソリン車に比べて約15万円のコストメリットが存在。

 さらに、PHEVではCEV補助金(いわゆる「国の補助金」)が55万円に加え、居住地によっては地方自治体の補助金が得られるため、実質的な購入金額はかなり引き下がります。今回は、60万円の補助金(東京都)が得られると仮定してシミュレーションを進めてきます。

 税制優遇や補助金を考慮すると、ガソリン車とHVの差額は約46万円、HVとPHEVでは約25万円、ガソリン車とPHEVでは約71万の差額となります。

■実際にどのくらい走ればいいの? HVやPHEVで差額を回収するためには、かなりの走行距離が必要

 では、この差額を回収するためには、どれだけの距離を走る必要があるのでしょうか。

 ハリアーのガソリン車とHV、PHEVのそれぞれの「Z(4WD仕様)」のWLTCモード燃費を見ると、ガソリン車が14.7km/L、HVが21.6km/L、PHEVが20.5km/Lとなっています。

 ガソリン価格を160円/Lとすると、1万km走行するためのコストはガソリン車が約10万8844円、HVが約7万4074円、PHEVが約7万8049円です。

 ガソリン車とHVで比べると、その差は約3万5000円となり、約46万円の差額を回収するためには、単純計算で13万km以上の走行が必要となります。

 決して不可能とはいえない数字ですが、毎月1000km走行して10年以上の月日を要するため、日常的に走行するユーザーでなければかなり厳しいかもしれません。

 次に、PHEVを見てみましょう。

 ハリアーPHEVの場合、18.1kWhのバッテリーを搭載しており93kmのEV走行が可能です。そのため日常の買い物や送り迎え、通勤ではほとんどガソリンを消費することはなさそうです。

 電気料金を27円/kWhとしたとき、ハリアーPHEVを満充電するのにかかる費用は約489円となります。

 EV走行とHV走行の割合が1:1とすると、1万km走行するのにかかるコストは約6万5314円となり、ガソリン車と比べて約4万3000円、HVと比べて約9000円安い計算となります。

 PHEVの場合、ガソリン車との差額を回収するためには約16万5000km、HVとの差額を回収するためには、約27万kmの走行が必要な計算となります。

 ガソリン車とHVの場合よりもさらに距離は大きくなるため、差額を回収するための難易度はより高くなります。

乗れば乗るほど…PHEVのほうがイイの? 差額分の回収には何万キロ走る必要ある?

 今回のシミュレーションは、あくまで税制優遇と補助金を考慮した購入金額と燃費性能によるものであり、車検ごとに支払う自動車重量税や充電器の設置費用、整備費用などを計算に含めていません。

 例えば利用のほとんどがEV走行で、なおかつ電気料金の低い深夜帯での充電がメインという場合であれば、ガソリン車やHVとの差額を回収できる可能性はより高くなると考えられます。

※ ※ ※

 現時点では、HVやPHEVを選ぶことでガソリン車との差額を回収することは決して簡単ではないのが実情です。

 一方、直接的なコスト以外にもHVやPHEVを選ぶメリットはあります。

 またPHEVはレジャーやアウトドア、停電や災害などの非常時に外部給電(AC100V/1500W)が可能で、ハリアーに関しては2つの方法が存在。

「EV給電モード」では出かけ先で電気が使えるもので、エンジンをかけずにバッテリー残量だけを使って給電。「HV給電モード」では最初にバッテリー残量を使い所定値を下回るとエンジンがかかって給電します。

 もうひとつのメリットは、ガソリンスタンドに行く機会が減ることです。

 地域によっては、ガソリンスタンドまで給油しに行く手間というのは意外に負担になるものですが、HVやPHEVではその回数を減らすことができます。

 とくにPHEVの場合、日常的な走行のほとんどをEV走行でまかなえた場合、ガソリンスタンドで給油するのは年に数回程度というケースもめずらしくありません。

 そういった意味では、忙しいビジネスマンのように、時間に追われている人はHVやPHEVのメリットを感じやすいかもしれません。

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