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なぜ過去4年で40万人減少? 運転免許の保有者数は地域格差の現れ? 背景にはなにが

くるまのニュース 2022年10月7日 7時10分

運転免許証は、クルマを運転するうえで必ず欠かせないのものです。クルマを運転することができる国家資格である運転免許証ですが、近年では保有率・取得率ともに減少傾向にあります。その背景には何が関係しているのでしょうか。

■運転免許証の保有者数は減少傾向に?

 クルマを運転するうえで必ず欠かせないのが「運転免許証」です。
 
 公道でクルマを運転することができる国家資格である運転免許証ですが、近年では保有率・取得率ともに減少傾向にあります。その背景には何が関係しているのでしょうか。

 運転免許証には「普通自動車第一種運転免許」(以下、第一種運転免許)「普通自動車第二種運転免許」(以下、第二種運転免許)に分けられ、オートマチック車のみ運転出来る場合、(AT限定)と記載されます。

 第一種運転免許は、一般の人が公道をクルマで走行するために必要な免許となっており、第二種運転免許は、バスやタクシーなど、旅客を乗せて報酬をもらうために必要な免許証です。

 さらに、第一種運転免許のなかには、大型・中型・準中型・普通・大特(大型特殊)に分けられ、日本では普通・中型のみAT限定があります。

 警察庁が公表している運転免許統計によると、2021年の運転免許保有者数は8189万5559人となっています。

 しかし、平成元年となる1989年の運転免許保有者数5915万9342人と比較すると、約2000万人増加していることがわかります。

 その一方で、平成最後の年である2018年までは保有者数が増加傾向にあるものの、2018年以降から2021年の約4年間の間で、運転免許保有者数の合計は約8231万人から約8189万人と、およそ40万人減少。

 さらに、年齢別運転免許保有者数の前年比較を見てみると、2020年と2021年の約1年の間で「50-54歳」「60歳-64歳」「70-74歳」「80-85歳以上」を除く年齢層で保有者数の増減率はマイナスとなっています。

 このことから、運転免許証の保有率は若年層を筆頭に、全体的にも低下している様子がうかがえます。

 また、保有率が低下しているということはつまり、新たに運転免許証を取得する人の割合も少ないということです。

 なぜ近年では、運転免許の取得率や保有率が著しく低下している傾向にあるのでしょうか。

 その理由や背景について、関東の運転免許センターの担当者は、以下のように話します。

「免許の保有率は毎年統計をとっており、たとえば千葉県では、2021年度の運転免許保有率は男性が約225万人、女性が約179万人の合計約404万人となっています。

 2020年度は男性約225万人、女性約178万人の合計約403万人となっているため、あまり変わらない結果です。

 ただ、保有者数の数字が変わっていないということは、新規に運転免許証を取得された人の数も少ないということでもあると思いますので、やはりクルマを運転する人の割合が低くなっているのかもしれません」

■運転免許の保有者数には地域の差が関係してる?

 全体的に運転免許の保有・取得率が低下している様子がうかがえますが、地方や都心部など、保有・取得率に地域差はあるのでしょうか。

 前出の担当者は「若年層の取得率は比較的にはやはり減少傾向にあり、とくに都心部では交通網が充実してることから、クルマにわざわざ乗る必要がないなど免許を取得していないケースが多く見られます」と話します。

 前出の運転免許統計の補足資料によると、2021年度の都道府県別運転免許保有者数(第一種免許)と、同じく2021年の都道府県人口を合わせて計算した場合、東京都の運転免許保有率は56%と、全国最下位の結果となっています。

 同様に神奈川県は約59%、大阪府では約57%と、都心部ではやはり運転免許を所有していない人が多く見られます。

 一方で、保有率が高い都道府県としては山梨県、栃木県、群馬県となっており、それぞれ約71%と高い保有率です。

地域差によって運転免許の取得率も変化…そこにはどんな理由があるのか?

 山に囲まれ、電車やバスなどの交通手段が少ないような場所では、自由に動くことのできるクルマは必要不可欠な存在といえます。

 これは感覚的には常識的な話といえますが、このように改めてデータをみると、やはり地方部ではクルマの需要が高く、運転免許の保有率も高い傾向であることがうかがえます。

 それに比べて東京都や神奈川県、大阪府など、いわゆる都心部と呼ばれるような地域では、交通網が非常に栄えているため、クルマを保有していなくても問題がないというのが実情です。

 このような背景からも、都心部と地方部で運転免許保有率が大きく異なるのも、当然といえるのかもしれません。

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 一方で、運転免許の取得率が減少しているなか、新たに運転免許を取得している若年層も当然います。

 前出の担当者によると「やはり、交通手段が少ない地方に住んでいる人や、単純にクルマが好きな人、さらには両親や親族に免許取得を薦められた人など、若年層でもさまざまなケースで運転免許を取得しています」といいます。

 近年は運転免許証の保有・取得率は減少傾向にありますが、さまざまな理由や背景から、クルマの運転免許証を必要とする若年層も多くいるため、今後の運転免許の保有・取得率がどのように変化していくのか注目です。

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