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激レア「よ ナンバー」の正体判明! 「Yナンバー」と違い全国で20枚以下しか存在しない!実は知らない本当の意味とは

くるまのニュース 2022年10月6日 9時10分

世の中には珍しいクルマのナンバープレートが存在するといいます。なかでも普通車に付けられる「よナンバー」の正体とはどのようなものなのでしょうか。

■街中で見かけることはほぼ無い普通車の「よナンバー」とは

 クルマのナンバープレートには個々を識別するために文字や数字などが記載されています。
 
 その平仮名において、全国で20枚以下しか存在しない「よナンバー」といわれるものがありますが、どのようなものなのでしょうか。

 日本のナンバープレートは登録自動車用が「自動車登録番号標」、軽自動車や自動二輪車などが「車両番号標」という正式名称を持っています。

 道路を走っていれば必ずや目にする一般的なナンバープレートは自家用自動車の「白地に緑文字」、事業用自動車の「緑地に白文字」、自家用軽自動車の「黄地に黒文字」、そして事業用軽自動車の「黒地に黄文字」の主に4つに分けられます。

 これ以外の特殊なナンバープレートでは、通常のナンバープレートよりも幅が広い「自衛隊車両」用や、青地に白文字の「外交官車両」用。

 英文字で書かれたさまざまな書式が混在する「駐留米軍公用車両」用、車検切れや登録前の自動車を回送するのに必要な「臨時運行許可番号標」や「回送運行許可番号標」などが存在します。

 一般的なナンバープレートには「横浜」や「品川」、「平泉」、「下関」などの「地名表示」、車両の分類や希望番号であるかを表す「分類番号」、左端の「ひらがな/アルファベット」、そして最大4ケタで表示されるメインの「一連指定番号」で構成されています。

 そのなかでも、左端の一文字もその車両の種別で使用される文字が変わってきます。

 よく知られているのはレンタカー用の「わ」と「れ」。

「わ」はどこの地域でもよく見るレンタカー用のひらがなですが、北海道や沖縄県などの人気観光地では「わ」が枯渇しているため、「れ」のナンバーを見ることも珍しくありません。

 また、レンタカーは「わ」と「れ」しか使用できないため、あるレンタカー業者が同じ番号を希望番号制度で取り続けると、必然的に「わ」が枯渇して「れ」に移行する例もあります。

 それ以外に駐留軍(在日米軍)所属の軍人や家族が私用で使う車両用のナンバープレートがあり、これらは主にひらがなの代わりにアルファベットが用いられています。

 もっとも台数が多く、米軍基地の周辺では頻繁に見かけるのが「Y」で、このほか「E」や「A」などもあり、それぞれの意味は以下の通りです。

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「Y」: 日本国内で調達された米軍関係者の私有車両

「E」 :アメリカから米軍経由(米軍の輸送機などで)で日本の米軍基地に直接持ち込まれた米軍関係者の私有車両

「A」:Yナンバー対象車のうちオートバイや軽自動車
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 このほか米軍とは関係ないですが「T」というナンバーもあり、これは外国から持ち込んだ個人所有かつジュネーブ道路交通条約(締結国であれば相手国のナンバーのまま走らせることが可能)ではない国から一時的(関税法で定められている1年以内)に持ち込んで使用する車両につけられます。

※ ※ ※

 そうしたなかで2022年9月末に「よナンバー」のクルマが目撃されSNSをにぎわせました。

「よ」自体は軽自動車では一般に使われていますが、登録車では2021年9月時点で全国にわずか19台のみの非常に珍しいナンバーです。

 では「よ」にはどのような意味があるのでしょうか。さまざまなメディアなどでは「退役や除隊をした軍人が個人所有するクルマにつけられる」と書いてあるものが多かったのです。

 しかしさらに調べた結果「退役」「個人所有」は合致していましたが、正確な情報ではありませんでした。

■さらに激レアな「よナンバー」 勘違いされがちな…本当の意味は?

 米軍における「退役軍人」の定義は、「退役=軍人や軍属が軍の所属を離れること」ですが、入隊して20年未満でやめる場合は「退役」(Retired)ではなく「除隊」(Discharged)という扱いになり、年金受給資格を得ることもできません。

 退役軍人の法的身分は日米地位協定(SOFA)適用者ではなくなるので、在留管理官署での在留資格取得許可申請、住民基本台帳への登録が必要となります。

 ただし、ミリタリーIDのうち、退役軍人に発行される「Retired ID」が発行されるため、米国はもちろん日本の米軍基地を自由に利用することが可能です.

 そして、「よナンバー」車のオーナーが現役の米軍人だったころのナンバーは「Yナンバー」と思いそうですが、実は違っていて「Eナンバー」になります。

 前述したように「E」がつくのはアメリカから米軍経由(米軍の輸送機などを使用して)日本の米軍基地に直接持ち込まれた米軍関係者の私有車両です。

 なお、「Eナンバーは日本の自動車税などが『非課税』となる」などの情報がネットに散見されますが、筆者が国土交通省や自動車税管理事務所などに確認したところそれは間違いであることがわかりました。

 非課税となるのは「環境性能割」(かつての自動車取得税)だけで、自動車税はYナンバーと同じ「米軍自動車税」(日本の自動車税より税額が低い)が適用され、自動車重量税、自賠責保険なども同様になります。また、ナンバープレートを取得(=日本で新規登録する)するための登録手続きは米軍基地内の車両登録課で必要書類(日本の車庫証明や委任状、印鑑証明などに相当する書類)を出してもらって登録します。

 しかし、登録の手続き自体はそれほど困難ではないものの、日本の道路を走るに必要な「保安基準」を満たしているかの審査は通常のアメリカから持ち込まれた並行輸入車と同じ審査規程となるとのこと。米軍車両だからといっても日本のナンバーがつく以上は簡素化されるわけではないようです。

アメリカから米軍経由(米軍の輸送機などで)で日本の米軍基地に直接持ち込まれた米軍関係者の私有車両を表す「Eナンバー」

 こうして登録されたEナンバー車の所有者が米軍を退役した場合に同じクルマに乗り続ける場合はナンバープレートが「E→よ」に変更されるわけです。

 その後、新しくクルマを買う場合は「よ」ではなく日本人所有の一般的な「さ」「や」などのひらがなのナンバーになります。

 国交省自動車情報課によれば「所属から退役証明が出るとほかの書類などと合わせて手続きをして、自動車ナンバーが変更されます。退役証明は憲兵隊が担当しており、そこで退役証明が出れば、『E→よ』に変更となります」

※ ※ ※

 クルマを買いかえれば「よ」ナンバーではなくなるため、「よ」が全国でわずか20台以下というのも納得です。

 また、米軍における「退役」は20年以上勤めあげることが必須条件です。

 日本の会社や団体などの多くが「大きな問題を起こさない限り定年まで在籍できる」のとは違って、米軍では各種の試験に合格することなども条件(規定の試験に2回不合格となると『予備役』行きになり恩給なども対象外で低賃金)となります。

 そのため20年以上、軍に在籍=年金受給者の資格を得る&退役軍人、として認められるため、「よ」はとても名誉なナンバーといえるかもしれません。

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