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「カーエアコン」“効き”を復活させたい! プロに頼むか自分でやるか? ベストなリフレッシュ方法とは?

くるまのニュース 2022年10月16日 7時10分

暑かった夏の時期に酷使したカーエアコンをメンテナンスしてみてはいかがでしょうか。そこで、自分でできるエアコンのリフレッシュ方法をクルマのプロに聞いてみました。

■夏に使いまくったカーエアコンはお疲れぎみ…

 秋になって、クルマのメンテナンスをじっくりできる気候になりました。2022年も猛暑でしたが、過酷な暑さだったのは人間だけでなくクルマも一緒。とくにカーエアコンにとっては厳しい暑さだったと思います。

 そんな猛暑のなか酷使されたカーエアコンですが、これからも頑張って稼働してもらうためにもリフレッシュさせてみてはいかがでしょう。

 カーエアコンは、「冷媒」と呼ばれるエアコンガスがエアコンシステム内のさまざまな装置を経由して循環する構造になっています。

 エアコンガスが「コンプレッサー」で圧縮されて高温高圧の状態になり、「コンデンサー」へと送り込まれます。

 コンデンサーの内部には細い管が張り巡らされており、ここを高圧のガスが通過することで熱を放出。高圧はそのままに温度だけ下げた状態で、次の「レシーバー」で液状のエアコンガスを貯めます。その後「エキスパンションバルブ」へと送られ、高圧のガスを一気に膨張させ霧状に噴射。

 低圧になったエアコンガスが次に向かうのが「エバポレーター」です。ここでは、エキスパンションバルブから噴出されたエアコンガスが膨張するときに周囲の熱を奪って気化する原理を応用。周囲の熱を奪う気化熱で、ブロアファンから送り込まれた空気を冷やします。

 さらに、エバポレーターは、空気中の水蒸気を冷やすことで水分を分離させる除湿機能を持っています。

 ブロアファンから取り込まれた空気は熱いほど水蒸気が多く含まれており、冷やすことで余分な水蒸気がエバポレーター内で結露化して水分になるのですが、カーエアコンを使用しているクルマの下部からポタポタと流れる水滴は、このエバポレーターで結露となった空気中の水分なのです。

 ここから、さらに指定された温度にまで再度温める作業を経て、エアコンフィルターで不純物を取り除き、最後にエアコンの吹き出し口から冷たい風となって出てきます。

 エアコンのリフレッシュで重要になってくるのが、コンプレッサーとコンデンサー、エキスパンションバルブ、エバポレーター、そしてエアコンフィルターです。このなかでいくつかの箇所は自分でメンテナンスすることが可能です。

 自動車販売店の整備責任者であるメカニックのKさんに聞いてみました。

「夏場に酷使したエアコンをリフレッシュするとき、メンテナンスするべき箇所を見つけるためにも、整備点検をおこないましょう。

 個人では点検しにくい部分、たとえばエアコンの効きが悪くなったり風が弱く感じたりするような場合は、エキスパンションバルブの目詰まりも考えられます。

 逆にそれ以外で症状が出るようならそれは不具合で修理が必要になるので、DIYでリフレッシュする前に、まずはプロに診てもらうのがお勧めです」

 エアコンの操作で不具合が発生する場合はコンプレッサーについている「マグネットクラッチ(コンプレッサーのON/OFFを切り替えるスイッチ)」の不具合の可能性も高く、そうなるとDIYで直せるレベルではないので症状がひどくなる前に修理したほうが良いといいます。

「インターネットでは自分でできるエバポレーターの洗浄なども紹介されていますが、かなり手間がかかりますし、間違った方法でやると逆に装置を傷める原因にもなります。

 そのあたりの線引きを考えながら、メンテナンスすると良いと思います」(メカニック Kさん)

■自分でできるリフレッシュ方法

 それでも、自分でできるメンテナンスはあります。それが「フィルター交換」と「コンデンサー」の洗浄です。

「カーエアコンのフィルターは、たいていがグローブボックスの奥にカートリッジ形式で設置されています。これは説明書やインターネットで車種の作業動画などを検索すれば出てきます。

 パネルを外したりする手間はありますが、フィルター交換は自分でもできるメンテナンスだと思います」(メカニック Kさん)

エアコンフィルターの交換

 それでは、グリル下、またはフロントバンパー奥にあるコンデンサーの洗浄はどうでしょうか。

「これも自身でできる範疇のメンテナンスだと思います。

 ただし注意したいのは、もともとフロントのエア吸入口、またはグリルから入ってくるレベルの水(一般的な雨レベル)を想定し設計されているので、ボンネットを開けてまでの洗浄はむしろ逆効果。

 コンデンサー本体が水圧によって変形してしまう可能性もあるので、通常の洗車時に、グリルなどから見える範囲を多少念入りに洗い流すだけで十分です」(メカニック Kさん)

 やはりそれ以上のメンテナンスとなると、プロに任せたほうが間違いなさそうです。

 エアコンの効きが悪くなると真っ先に疑いたくなるのが「エアコンガスの不足」です。

 よくカー用品店などで「エアコンガス(冷媒)を新品に入れ替えてリフレッシュ!」という謳い文句を見かけたこともあるでしょう。

 しかしメカニックのKさんによると、エアコンの効きが悪い場合やガスの圧力不足やそのほかの装置の目詰まりなどが原因なケースがほとんどなのだとか。つまりエアコンガスを入れ替える必要はないのだそうです。

「もちろん、エアコンガスを入れ替えることが悪いではありません。ただ、エアコンの効きが悪いのは、圧力を変化させるコンプレッサーやエキスパンションバルブの不具合の可能性が高く、ガス自体に問題があるわけではないんです。

 ガスが不足するということは循環システムのどこかに漏れがあるということでもあり、単純に入れ替えれば劇的に冷えるようになるわけではないことをご理解いただければと思います」(メカニック Kさん)

 エアコンガスに限っては「補充はあっても入れ替えは意味なし」というのが正解のようです。

 ユーザーからすれば無駄な交換でお金を使うより、ほかに診てもらう部分があることを考えたほうが良いかもしれないです。

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