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新型「軽バン」各社から登場で「車中泊」派も大注目! お得なの!? 「4ナンバー軽商用車」のメリットとデメリットとは

くるまのニュース 2022年10月16日 10時10分

主に配送などで使われてきた4ナンバー軽商用車(軽貨物車)の世界に、アウトドアレジャーなどの用途にも対応したニューモデルが続々と登場し、注目を集めています。そんな軽4ナンバーのメリットやデメリットについて紹介します。

■最近の軽商用車は貨物用途だけではなく個人ユーザーの需要にも対応

 軽乗用車が急速に普及し、いまや乗用車全体の4割近くを占めるようになりました。
 
 そんななかで、4ナンバーの「軽貨物車(軽商用車)」に、5ナンバーの軽乗用車に近い性能や仕様を備えたニューモデルが増えたことで、いま注目を集めています。
 
 それでは軽乗用車と軽商用車は、一体どこが異なるのでしょうか。税金面など、4ナンバー軽商用車のメリットやデメリットについて紹介します。

 近年、4ナンバーの軽商用車カテゴリーに登場するニューモデルの数が増えてきています。

 これらのニューモデルは、小口配送といった従来の商用・業務用途に加え、個人ユーザー向けの動くパーソナルスペースとしての人気も高まっているのが特徴です。

 2018年7月に登場し、一定の支持を集めるホンダの軽商用車「N-VAN」に対抗する軽4ナンバー車として、2022年8月にスズキから「スペーシア ベース」が誕生しています。

 2モデルともに軽乗用車のプラットフォームをベースに誕生しているところが特徴です。

 またダイハツ「アトレー」は2021年12月、約17年ぶりのフルモデルチェンジを実施した際、それまでの5ナンバーワゴン車仕様から、4ナンバーの軽商用車へとシフトしました。

 これら最新の軽商用車に共通するのは、広い空間を活かし、開発時から個人ユーザーのアウトドアレジャーや車中泊、移動オフィスなどに使用することが想定されている点です。

 また軽乗用車同等の走行性能や快適性を得る工夫も随所に見られます。

 規格サイズの上限が定まっている軽自動車なので、車体の寸法自体は非常にコンパクトで、小型乗用車などに比べ小回りは利きます。

 それでいて、限られたサイズの中でも最大限の荷室空間を確保することで、多目的な用途に利用できるのが4ナンバー軽商用車の魅力といえます。

 そんな軽商用車は、税金などの費用(維持費)が、5ナンバーの軽乗用車とは異なります。

 その違いについて、順に紹介していきます。

■軽4ナンバーは4ナンバー「小型貨物車」の中の「軽貨物車」に属する

 そもそも「4ナンバー」とは、ナンバープレートの地名横にある数字が「4」から始まるクルマのことを指します。

 それぞれのナンバーはクルマの用途によって分類されており、4ナンバーは「小型貨物自動車」に相当します。

 その中でも軽自動車のものを「軽四輪貨物車(軽貨物車)」と呼びます。

人気軽乗用車「N-BOX」のプラットフォームを活用して誕生したホンダの軽商用車「N-VAN」は室内空間を最大限活用するため、写真のように助手席までフラットにできる機構を備える

 4ナンバー 小型貨物自動車の基準は、以下の通りです。

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1.全長4700mm以下

2.全幅1700mm以下

3.全高2000mm以下

4.排気量2000cc以下

5.自動車の物品積載設備(荷室)を最大に利用した場合に、物品積載設備の床面積が0.6平方メートル以上あること

6.自動車の乗車設備(座席部分)を最大に利用した場合に、物品積載設備の床面積が乗車設備の床面積より大きいこと

7.乗車設備に定員まで乗車した時の人員の重量より、物品積載設備に積載し得る貨物の重量の方が大きいこと

8.側面または背面のドアの長さが縦600mm・横800mm以上であること

9.自動車の乗車設備と物品積載設備との間に適当な隔壁又は保護仕切等を備えたものであること

(ただし、最大積載量500kg以下の自動車で、座席の背あてによって乗っている人が保護されている構造であれば仕切りは不要)

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 軽自動車の場合は最大積載量が350kgと定められているので、9.に関しては座席で守られていれば仕切りは必要ありません。

 また軽自動車の規格は、軽乗用車、軽貨物車、軽特殊用途車に限らず以下の通りです。

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1.全長3400mm以下

2.全幅1480mm以下

3.全高2,000mm以下

4.排気量660cc以下

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 軽の規格はこれまでたびたび改定されていますが、現在の規格は1998年(平成10年)10月に施行され、いまも継続されています。

■軽乗用車よりさらに安い4ナンバー軽商用車の「税金」

 4ナンバー軽自動車のメリットでよくあげられるのが税金です。

 まず自動車税ですが、軽乗用車の自動車税は一律で1万800円となっています。

 乗用車の自動車税は排気量、貨物車は積載量によって税率が決まります。ただし軽貨物車の場合、最大積載量にかかわらず自動車税は5000円で済みます。

 つまり、4ナンバーにするだけで同じ軽自動車でも自動車税がほぼ半額になります。

 さらに軽貨物の事業用(黒ナンバー)として登録すれば自動車税は3800円となり、軽乗用車に比べ7000円も安くなりますが、こちらは貨物軽自動車運送事業の届出が必要となります。

17年ぶりのフルモデルチェンジで、5ナンバー軽ワゴンから4ナンバー軽バンへと変更されたダイハツ 新型「アトレー」

 最初の新規検査から13年を経過した軽四輪車に課せられる「経年車重課」についても、乗用車が1万2900円であるのに対し、貨物用車は6000円、事業用貨物車なら4500円と税額が低く設定されています。

 次に自動車重量税についてです。

 重量税は車両の重さによって決まりますが、軽自動車の場合は重さや種別にかかわらず、一律で2年あたり6600円です。

 4ナンバーであっても軽自動車であれば6600円となるので、重量税の差額はありません。

 このように自動車税や自動車重量税については安くなりますが、気をつけなければならないのは保険料です。

 加入が義務付けられている自賠責保険料(いわゆる「強制保険」)は、軽乗用車、軽商用車ともに25か月で2万310円です。

 重量税と自賠責保険料は車検時に支払うため、2年おきに車検を受けるとして自動車税、重量税、自賠責保険料を合算してみると、

・5ナンバーの軽乗用車:1万800円×2年+6600円+2万310円=4万8150円

・4ナンバーの軽商用車:5000円×2年+6600円+2万310円=3万6910円

 差額は1万1240円となります。

 軽乗用車でも小型乗用車などに比べれば税負担はじゅうぶんに軽減されていますが、4ナンバーの軽商用車はそれ以上に安く済むのが魅力です。

■税負担の軽い4ナンバーの軽商用車にも「デメリット」がある

 このようにメリットが多い4ナンバーの軽商用車ですが、デメリットもいくつかあります。

 まず軽商用車は、5ナンバーの軽乗用車と比べ車検の回数が増えることがデメリットのひとつとして挙げられます。

4ナンバーの必要条件を満たすため、荷室の積載スペースを確保した分、後席空間は極めてミニマムなものとなったスズキ 新型「スペーシア ギア」

 5ナンバーの軽乗用車は、新車登録時に3年間、それ以降は2年間で車検を迎えます。

 4ナンバーの軽商用車の場合は、新車登録時もそれ以降も2年間です。

 新車登録時だけ期間が1年短くなるため、使用する年数によっては車検の回数が1回分多くなるケースも出てきます。

 たとえば6年乗った場合、4ナンバーは2年目、4年目、6年目の3回、5ナンバーは3年目、5年目の2回、それぞれ車検を受けることになります。

 事前の点検や検査手続きなどを要するので、その分の手間や費用がかかることになります。

 また4ナンバーの軽商用車は、積載スペースの確保が不可欠です。

 4ナンバーの規定にある「物品積載設備の床面積が乗車設備の床面積より大きいこと」という条件を満たすため、後部の座席がかなり前の方についていたり、後席自体も簡素でリクライニングや前後調整ができなかったりします。

 ただし車種やグレードによっても大きく異なります。

 このように4ナンバーの軽商用車は、5ナンバーの軽乗用車よりも税金が安くなるというメリットが得られますが、半面で車検の頻度が新車登録時も2年であったり、後席の制約といったデメリットもあります。

 特に日ごろ後部座席に人を乗せることが多い場合は、事前に試乗をするなどして、乗り心地や使い勝手の面も確認しておくことが重要となるでしょう。

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