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クルマの「Yナンバー」見たことある? 実は専用「免許証」必須だった!? 米軍関係者車両に見られる「あまり知らない事情」とは

くるまのニュース 2022年10月13日 14時10分

クルマのナンバープレートには、左端の一文字にも固有の意味があり、レンタカー用の「わ」と「れ」がよく知られています。そのなかで「Y」や「E」といったものがあります。実は米軍関係者の車両に装着される「Yナンバー」には専用の免許証が必要だといいます。

■米軍基地周辺で見かける「Yナンバー」とは… 実は運転には免許が必要だった?

 日本のクルマに装着される一般的なナンバープレートには、左端の一文字もその車両の種別で使用される文字が変わってきます。
 
 その一方でひらがなではないアルファベット「Y/E/A」などの表記も存在するほか、さらには「Yナンバー専用免許証」なるものがあるといいます。

 日本の一般的なナンバープレートには、「地名表示」、「分類番号」、「ひらがな/アルファベット」、「一連指定番号」が記載されています。

 そのなかで、左端の一文字にも固有の意味があり、レンタカー用の「わ」と「れ」がよく知られています。

 また駐留軍(在日米軍)所属の軍人や家族が私用で使う車両用のナンバープレートには「Y(日本国内で調達された米軍関係者の私有車両)」、「E(アメリカから米軍経由で日本の米軍基地に直接持ち込まれた米軍関係者の私有車両)」、「A(Yナンバー対象車のうちオートバイや軽自動車)」という表記も存在。

 これらは、米軍基地がある沖縄県や神奈川県横須賀市、山口県岩国市、青森県八戸市、長崎県佐世保市などでは日常的に見るナンバーですが、基地がない地域ではあまり見かける機会はないかもしれません。

 その理由は、基地内や周辺に居住する米軍人や米軍属が所有する私有車両となるからです。

 そのようなクルマにつけられる「Yナンバー」の由来は、最初にYナンバーの制度が始まったのが横浜の税務署であったことに関係しているという説が濃厚です。

 Y対して、米軍の輸送機などを使って米軍基地に直接運び込まれるクルマには「Eンバー」がつけられます。

 Y/Eナンバー車はSOFA(日米地位協定)対象者が所有するクルマにつけるナンバープレートなので、自動車税や重量税が低額に設定されているほか、ガソリンに関わる税も軽減されており、短期間(3年から4年)で日本を離れることが主な理由とされています。

 しかし、税金の部分では優遇措置はあるものの車両を登録する(ナンバープレートを取得する)際の諸々の手続きは、一般的な日本のクルマとほぼ同様の手続きです。

 当然ですが日本の保安基準を満たしたクルマであることが必須条件で車検(継続検査)も受ける必要があります。

 このほか、車庫証明も米軍基地の外に居住して私有車を登録する場合は取得が2005年から義務付けられており、自賠責保険は車検を受けるので当然加入します。

 さらに、任意保険も日米地位協定に基づいて1997年からYンバー車を所有するすべての米軍人、軍属及びそれらの家族は任意保険に加入する義務を科しています。

※ ※ ※

 ちなみに2000年以降、アメリカでJDMといわれる日本製スポーツカーが映画「ワイルド・スピード」やゲームの影響で爆発的な人気となりました。

 それ以降、大黒PAなどクルマ好きが集まる場所でYナンバーをつけた日産「スカイラインGT-R」や日産「シルビア」、マツダ「RX-7」などを見かける機会も増えています。

 アメリカで巻き起こっている空前の日本車(旧車)ブームによって、米軍の若い兵隊さんたちにとっては25年待たなくても魅力的なJDMに乗れる日本は人気が高い場所のひとつなのです。

 そして、「YナンバーのJDMに乗って大黒PAに行く!」というのは「日本に行ったら最初にやりたいこと」になっているともいわれています。

■実は「Yナンバー専用」の免許証があった?

 Yナンバー車は日本の保安基準を満たした車両ですが、実はこのクルマを運転するには専用の運転免許証が必要です。

 正確にいうとYナンバー車を運転するための免許証というよりは、日本の運転免許や日本で運転ができる国際免許証を取得していなくても、Yナンバー専用免許証があれば、基地の中はもちろん日本国内の公道はどこでも走ることができる免許証になります。

この事実を教えてくれたのは1997年に米空軍に入隊し、2003年に三沢基地に配属されたAさんです。2017年に退役して現在は八戸市内で自動車関連の仕事をしています。そんなAさんはYナンバーについて次のように話しています。

「Yプレートは、日本滞在中に米軍に配属されたSOFAステータス(地位協定)要員、文民、家族全員に与えられます。日本での運転は、軍から別途運転免許証が発行されます。

 私は20年間、軍に所属し現在は退役しています。もう軍のために働いていないので、Yナンバーは持っていませんが、もし私が退役軍人として軍事基地で働き、SOFAステータスを与えられたらナンバープレートをYに変更することができます。

 軍から発行される運転免許証(SOFA driver’s license)は、正式名称をU.S. Forces, JAPAN operator’s permit for civilian vehicle「在日米軍個人車両操縦許可証」といいます。

 こちらを取得していれば日本の免許証なしでYプレートのクルマを運転することが可能です」

退役したときに乗っていたホンダ「S2000」も「Y(左)」から「る(右)」に変わったという(画像提供:Aさん)

 そして、Aさんは2017年に退役したあとは規定の期間内(退役してから2か月)にYナンバーから一般のナンバーに変更し、さらに免許証も日本の運転免許証を取得しており、退役したときに乗っていたホンダ「S2000」も「Y」から「る」に変わったといいます。

 では、日本の免許証に書き換えるのはどのような手続きになるのでしょうか。

「私はアメリカ空軍を退役した直後の2017年に日本の運転免許証を取得しました。

 日本で最初から教習所に通って免許を取るのは非常にお金もかかり大変ですが『在日米軍個人車両操縦許可証』があれば、適正検査など簡単なテストだけで変更することができます。

 その際、現在所有しているアメリカの運転免許証、サウスカロライナ州の運転免許証のコピー、2003年に初めて日本に来たときの軍令を持参する必要がありました。

 日本の免許への書き換えは青森県青森市でおこないましたが、その次からの免許の更新は八戸市でおこなっています」

※ ※ ※

 日本と日本のクルマが大好きというAさん。ご兄弟もかつては在日米軍に属していましたが、現在は退役しているので、Yナンバーではなく日本のナンバープレートを付けたホンダ「NSX」とポルシェ「ケイマン」を所有しています。

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