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「義務じゃないの?」 シートベルト着用が「免除される」特別な条件があった! 意外と分からない「やむを得ない場合」とは

くるまのニュース 2022年10月27日 17時10分

クルマに乗る時は、ドライバーはもちろん同乗者もシートベルト着用が義務ですが、一方で免除されるケースもあります。具体的にどういった場合なのでしょうか。

■「シートベルト着用免除」ってどういう時?

 クルマに乗るときは、すべての座席でシートベルトを着用しなければいけません。
 
 しかし、実は条件によってシートベルトの着用を免除される場合があるといいます。どういった場合が該当するのでしょうか。

 シートベルトの着用義務については道路交通法第71条の3に定められており、以下のような規定があります。

「自動車(大型自動二輪車及び普通自動二輪車を除く。以下この条において同じ。)の運転者は、道路運送車両法第三章及びこれに基づく命令の規定により当該自動車に備えなければならないこととされている座席ベルト(以下「座席ベルト」という。)を装着しないで自動車を運転してはならない」

 つまり、大型自動二輪車と普通自動二輪車を除く自動車の運転者は、シートベルト着用義務が定められています。

 一方で、条文には続けて以下のようにも記載されています。

「ただし、疾病のため座席ベルトを装着することが療養上適当でない者が自動車を運転するとき、緊急自動車の運転者が当該緊急自動車を運転するとき、その他政令で定めるやむを得ない理由があるときは、この限りでない」

 このように、疾病のほかやむを得ない場合ではシートベルト着用が免除されるケースがあります。

「その他政令で定めるやむを得ない理由があるとき」については、道路交通法施行令第26条の3の2第1項と第2項において細かく規定されており、今回は大きく8つのケースについて紹介していきます。

 まず1つ目は、けがや障害、妊娠中のため、シートベルトをすることが療養や健康保持上適当でない場合です。

 これはシートベルトをすることによって具合が悪くなる、治療のための器具を装着しておりシートベルトができないなどの事情が想定されます。

 ただしシートベルトは自分の身を守る上で有効であるため、けがをした際や妊娠中などにシートベルトをすることが適当かどうかについては、医師に確認することが望ましいといえます。

 国家公安委員会の「交通の方法に関する教則」の中には、妊娠中のシートベルト着用について医師に確認すること、腰ベルトと肩ベルトの両方を着用するとともに、腹部をシートベルトが横切らないようにするといった着用方法などが述べられています。

 2つ目のケースは、救急車やパトカーなどの緊急自動車や消防用車両を運転する場合、あるいはそれらの車両に同乗する場合です。

 例えば救急車の中では、救急隊員 が傷病者の対応に当たりますが、シートベルトを着用していては業務に支障が出てしまいます。

 このように緊急の用務に従事する場合には、シートベルトの着用が免除されます。

 このほか3つ目、4つ目では、「著しく座高が高いまたは低いこと、あるいは著しく肥満していることなどの身体的理由によりシートベルトが適切に装着できない場合」や、「運転手が自動車をバックさせる場合」も免除されるケースとして挙げられます。

  シートベルトを外してからクルマを後退させている運転手を時々見かけますが、この法令を根拠として交通違反には該当しない行為といえます。

■ほかにもあった! 「シートベルト着用免除」のケース

 5つ目のケースは、要人等の警護や犯罪者等の護送など所定の業務に従事する公務員がその業務のために自動車を運転するとき、あるいはその自動車に同乗する場合が挙げられます。

 総理大臣などを警護中の車両が高速道路などに流入する際、警察官が警護車両から身を乗り出して合図をする場面を見かけることがありますが、その行為もこの規定によってシートベルト着用が免除されているためだといえるでしょう。

 6つ目のケースは郵便物の集配、ごみ収集、牛乳配達など、頻繁に車両の乗り降りをする所定の業務をおこなう人が、その業務のために頻繁な乗り降りを必要とする区間において業務に使用する自動車を運転する、あるいはその自動車に同乗する場合です。

基本は「シートベルト着用」が義務なので注意! (画像はイメージ)

 この規定は、宅配便の運転手などが配達のため短い区間で何度も乗り降りしなければならない実態を考慮し、シートベルトの着用義務を免除したものですが、頻繁な乗り降りをしない状況になれば、もちろんシートベルトを着用しなければいけません。

 7つ目のケースはパレードなどで前方や後方などを警察用自動車によって護衛されている、または誘導されている自動車を運転する、あるいはその自動車に同乗する場合です。

 具体的な例として、天皇皇后両陛下がご乗車する御料車がパレードをおこなう際には、前方や後方を警察車両が警護しているため、天皇皇后両陛下や御料車の運転手はシートベルト着用義務が免除されるといえます。

 そして8つ目のケースは、選挙運動の従事者が選挙運動のために選挙カーを運転したり同乗したりする場合です。

 選挙カーに乗っている候補者がシートベルトをせずに窓から手を振っている光景が時折見られますが、この規定によって着用が免除されているのです。

※ ※ ※

 身体的な事情や業務などによっては、シートベルトの着用が免除されるケースがあります。

 しかし、シートベルトの着用は交通事故から自分の身を守るうえで非常に重要であるため、特別な事情があるとき以外は必ず着用するようにしましょう。

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