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下り坂運転で気をつけたい「フェード現象」一体なに? 活用すべき「エンジンブレーキ」とは

くるまのニュース 2022年10月14日 14時10分

長い下り坂での運転時にフットブレーキを長時間使うと、フェード現象が起きて制動力が落ちるおそれがあります。安全な速度に保つためには、どのような方法があるのでしょうか。

■長い下り坂ではどのように走行すべき?

 静岡県・小山町でツアー客を乗せた観光バスの横転事故が2022年10月13日に発生し、14日時点で乗員1名が死亡、35人がけがをしていると報じられています。

 さらに報道では、事故の要因として「フェード現象」が起きた可能性があると伝えられていますが、このフェード現象とはどのようなものなのでしょうか。また、フェード現象を避けるにはどのような対策があるのでしょうか。

 クルマの運転時、減速したいときに使うブレーキの種類として、フットブレーキとエンジンブレーキがあります。

 フットブレーキはブレーキペダルを踏んで減速するブレーキを指し、交差点で完全停止するような場面をはじめ、街なかを中心に常用されています。

 ブレーキペダルとブレーキランプは連動しており、減速していることを周囲へ伝えられることも特徴です。

 一方フットブレーキには、長い下り坂などで多用しすぎたときに、前述のフェード現象が起きるリスクがあるという弱点もあります。

 フェード現象とは、長時間フットブレーキを踏んだときの摩擦熱によりブレーキパッドにガス膜が発生。これがローターとの間に入り込むことによって摩擦力が落ち、ブレーキが効きにくくなる現象を指します。

 ちなみに、フットブレーキの多用しすぎによりブレーキフルード(ブレーキ液)が沸騰し、このとき生じた気泡により油圧が十分に伝わらず、結果ブレーキの効きが悪くなる「ベーパーロック現象」もあります。

 こうしたフットブレーキの弱点を補うのが、前述のエンジンブレーキです。

 エンジンブレーキは、エンジンの抵抗を利用して減速させる方法です。アクセルペダルから足を離すと、タイヤの回転力でエンジンを動かしている状態になり減速します。

 低いギアになるほど強い減速力が働くのも特徴。近年増加してきたハイブリッド車や電気自動車においても、「D」レンジ以外に減速力を強く働かせる(回生力等)レンジが用意されています。

 また、AT車やCVT車で「MTモード」が設定されていれば、ハンドルの奥にあるパドルシフトやシフトレバーのMTゲートで操作して任意でギアを選択可能。1段低いギアに落とすことでエンジンブレーキを利かせることができます。

 一方、エンジンブレーキは基本的にブレーキランプが点灯しないというフットブレーキとの違いもあります。

 なお、大型車の場合はエアブレーキや排気ブレーキといった別の機構が搭載される場合もあります。

※ ※ ※

 時折、道端にあらかじめエンジンブレーキ使用を推奨する看板をみかけることもあります。そうした場面や、長い下り坂が予見されるような道では、エンジンブレーキを適宜使うことが重要です。

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