クルマの「部品盗難」ワースト1位はナンバープレートで、全国各地で被害が相次いでいるといいます。では、盗まれたナンバープレートはどうなるのでしょうか。また盗まれた場合はどうしたら良いのでしょうか。
■恐ろしい! 盗まれたナンバーの行方
最近、高級車などが短時間で盗まれるというニュースが報道されていますが、実はクルマだけではなくナンバープレートの盗難も多く発生しているといいます。
では盗まれたナンバープレートはどのように使われるのでしょうか。また万が一自身のクルマのナンバープレートが盗まれた場合、どうしたら良いのでしょうか。
警察庁が2022年3月に公表した「自動車盗難等の発生状況について」の資料では、2021年中に車両の部品が盗まれる「部品ねらい」の被害は1万3047件。そのうちナンバープレートの盗難が5833件と、部品ねらいの44.7%を占めています。
部品ねらいの盗難が年々減少傾向にある一方で、ナンバープレート盗難の割合は増加しており、1日あたりに換算すると約16件もの被害が発生しているといえます。
では、盗まれたナンバープレートはその後どうなるのでしょうか。
盗まれたナンバープレートの利用には、二次犯罪に悪用されている場合があるといいます。
例えば「盗難車や覚せい剤の密売用車両への取付け」「ひったくりなどに使う盗難バイクへの取付け」「殺人や誘拐など凶悪犯罪に利用する車両への取付け」といったケースが挙げられます。
さらに、海外では日本車の需要があるため、盗んだ部品を海外に転売されるケースも。
例えばあるオークションサイトでは、多くの日本のナンバープレートが出品されており、過去には長野県ナンバーのプレートが33ドルと日本円で当時3700円の値がつけられているケースもありました。
こうしたナンバープレートの盗難は、全国各地で発生していることから、各都道府県警察では盗難防止対策として、「盗難防止用ネジ」の取付けの推奨を呼びかけています。
通常のネジはドライバー1本で容易に取り外しが可能ですが、盗難防止用ネジを取り付けることで特殊な工具等を用いないと取り外しが困難となります。
これはナンバープレートのほか、タイヤやホイール、バッテリーにも取り付けることも推奨されています。
地域によってはイベント会場でネジの無料配布をおこなっているケースもあるようです。
また盗難対策として、犯人は人気の少ない暗い場所などを犯行現場に選ぶ傾向があるため、クルマを停めている駐車場に防犯カメラ、センサーライトなどを設置するといった対策をとることも大切です。防犯装置を取り付けて、警戒していることをアピールしましょう。
このように、ナンバープレートの盗難が相次いでいることから、自身のクルマも油断せず、盗難対策を検討することが大切といえるでしょう。
■「盗まれた!」 万が一盗難の被害に遭ったらどうしたらいい!?
ナンバープレートの盗難は十分に気をつける必要がありますが、では万が一盗まれてしまった場合どうしたら良いのでしょうか。
まず、ナンバープレート盗難の被害に遭ってしまった場合は、必ず警察に通報し、被害届を出すことが重要です。
その際には警察から事情聴取を受けたり、警察官がクルマの周りの指紋、足跡などの鑑識作業をおこなったりする場合があります。
ナンバープレートが盗まれてしまった車両は、もちろんそのままの状態では公道を走ることができません。
そのため、クルマを急ぎで使用する場合には、市町村役場などで自動車臨時運行許可番号標、通称「仮ナンバー」を貸し出してもらう手続きをおこないましょう。
手続きの際には申請書や車検証のほか、警察に被害届を出した際に発行される受理番号が必要になるため注意が必要です。
仮ナンバーの貸出期間は自治体によっても異なりますが、5日間程度とされています。
道路運送車両法第35条第6項の規定では、臨時運行の有効期間が満了した日から5日以内に仮ナンバーを返納しなければならないと定められています。
これに違反すると6か月以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられる可能性があるため、仮ナンバーは必ず決められた貸出期間内に返却するように注意しましょう。
次に、ナンバープレートの再発行の手続きをおこなう必要があります。
普通車であればクルマの住所地を管轄する運輸局で、軽自動車であれば住所地を管轄する軽自動車検査協会で手続きをおこなわなければいけません。
国土交通省東北運輸局のホームページによると、手続きの際には申請書のほか、自動車そのものや車検証、盗難に遭った経緯などを記載する理由書、ナンバープレート代などが必要となります。
理由書には警察に被害届を出したときの日付や警察から発行された受理番号などを記入しなければならないため、事前に必要書類を準備しておきましょう。
自動車については、仮ナンバーを取り付けるか、別の積載車に積むなどして運輸局に持ち込まなければいけません。
ナンバープレートの再発行に必要な書類などについてはそれぞれの機関で異なる可能性があるため、事前に運輸局や軽自動車検査協会へ連絡し、確認してから手続きをおこないましょう。
自分名義のナンバープレートが悪用されてさらなる被害を受けることがないよう、これら一連の手続きについてはナンバープレートの盗難に遭ってからできるだけ速やかにおこなうことが大切です。