Infoseek 楽天

ヨコハマの最新スタッドレスタイヤはなぜ氷路面でも安心? 「アイスガード7」をテストコースと過酷な冬道で試してみた

くるまのニュース 2022年10月20日 21時10分

いま、春夏秋のドライ・ウエット路に加え、冬の雪道にも対応するオールシーズンタイヤが流行の兆しをみせていますが、日本の冬の道で一番怖いのはアイスバーンと呼ばれる氷路面で、降雪地域ではこのアイスバーンに対応したスタッドレスタイヤが必須です。そんなスタッドレスタイヤのなかでもアイスバーン性能に定評のあるヨコハマの最新スタッドレスタイヤ「アイスガード7(セブン)」の実力を北海道・旭川で試してみました。

■北海道・旭川にある横浜ゴムのタイヤテストセンターで比較テスト

 10月になり、そろそろクルマも冬支度をはじめる季節になってきました。

 皆さんは、冬タイヤはどうやって選んでいるでしょうか? 口コミやブランドイメージ、様々あると思いますが、本来なら、しっかり自分で試してみるのが一番です。

 そこで、北海道にあるヨコハマタイヤのテストコース「北海道タイヤテストセンター(TTCH)」と旭川の雪道で、先代から大幅に進化を遂げているというヨコハマのスタッドレスタイヤ、「アイスガード7」を、この厳冬期の今年2月にたっぷり体験してきました!

 アイスガード7は、その名のとおり、氷上で大きな効果を発揮します。私自身、雪国出身でさまざまな雪道を走っているのですが、やっぱり一番怖いのは氷。

 一見「ちょっと濡れている路面かな」と思って踏み入れたら「ブラックアイスバーンだった!」なんてヒヤヒヤすることも。万が一に備えて、やはり氷上性能が高いスタッドレスタイヤを選びたいですよね。その点、アイスガードは元々安心感のあるイメージがあったのですが、最新のアイスガード7はさらに進化しているそうです。

 アイスガード7は、接地面積とブロック剛性を向上し、アイスガード史上最大の接地面積を実現したことで、先代の「アイスガード6」に対して氷上制動を14%、氷上加速性能を15%、氷上旋回を7%向上。冬タイヤは、基本的に氷上性能を良くすると、雪上性能は上げにくくなるものなのですが、アイスガード7はエッジ量を大幅に増加したことで、雪上での制動、加速性能も3%向上したそうです。

 TTCHに到着すると、綺麗に圧雪されたコースが出迎えてくれました。まずは、この圧雪路で新製品のアイスガード7と先代のアイスガード6をたっぷり乗り比べることに。

 コース上にはパイロンが置いてあり、それぞれ40km/hと60km/hで走行するレーンが設けられています。正直、走り出すまでは、「違いがわかるのだろうか……」と不安でした。前述したとおり、雪上性能は3%向上とのこと。数値だけで見ると、冬タイヤを知り尽くした玄人にしかその違いはわからないのでは、と思ったのです。

 まずはアイスガード6から試乗スタート。40km/hなら簡単にクリアできるかなと思ったのですが、発進する時に少しアクセルを強めに踏み込むと、やや空転しながらスタートしました。ひとつめ、ふたつめのパイロンは、しっかりグリップしている感覚を感じながら曲がれていたのですが、3つめになるとクルマの振りがどんどん大きくなっていくため、たまらず滑り出してしまうシーンも。

 60km/hの走行レーンでは、それが顕著に現れました。最初の方のパイロンからクルマが流れ始めて、3つめのパイロンでは、クルマが完全に横を向き始めて、一旦ブレーキをかけてスピードをかなり落とさなければ曲がれない状態に。一般道を運転する時には、もちろんこんな運転はしないのですが、少し無茶をしてしまうとタイヤのグリップ限界は思ったよりも近くにあるんだと感じました。

そして、いよいよ「アイスガード7」を履いたクルマに乗り換えます。まずは同じように40km/hからスタート。最初は違いが分かるかどうか不安だったのに、発進からその違いを感じられたことに驚きました。

 アクセルを踏み込むと、先ほどよりもタイヤがググッと雪を掴んでいる感触があります。「6」と比較すると、滑り出してもすぐグリップが回復するので、よりスムーズに発進していきます。40km/hのパイロンスラロームは、ほとんど横に滑り出すことなくクリア!

 60km/hでは、さすがに3つめのパイロン付近で滑り出すのですが、クルマの動きも制御しやすく速度を乗せたまま走り抜けることができました。

 驚いたのは、40km/hという低速からでも、その違いと安心感が感じられたこと。これなら一般道で走っている時でもアイスガード7の性能をしっかりと体感できると思います。そして、万が一滑ってしまった時にも、慌てずにクルマを立て直しやすいところも進化を感じられた部分でした。

■凍った路面でも安心してドライブできる

 そして、次にスケートリンクのように凍った路面のある「屋内氷盤試験場」で氷上性能をチェックします。

ヨコハマの冬タイヤ開発拠点「TTCH」の屋内氷盤試験場

 コースは、路面温度が約マイナス10度の乾いた氷のレーンと、路面温度が約マイナス4度の表面が濡れたレーンに分かれていて、ここでもアイスガード6、アイスガード7に加えて、スリックタイヤも用意されていました。

 速度を上げて、決まったポイントでフルブレーキするのですが、さすがアイスガード!予想していたよりも手前でしっかりと止まることができました。

 アイスガード6とアイスガード7を比べてみると、7の方が手前で停止することができました。どちらのタイヤでもABSは作動するのですが、「6」はABSが作動してから完全に停まるまで少し時間がかかったのに対し、「7」はABSが作動してから比較的早く停車できたので、万が一の際にその差が大きく効いてくるのではないかと思います。

 スリックタイヤは、コンパウンドにアイスガード7に用いられる「ウルトラ吸水ゴム」を採用した特別なもの。慎重にアクセルペダルを踏めば発進できるのですが、ブレーキをかけるとなかなか止まれないだけではなく、クルマが斜めに滑っていってしまいます。思っていたよりは発進/制動はできるのですが、それでもアイスガード7に比べると安定していません。タイヤに刻まれるトレッドパターンや細かいサイプの重要性がわかりました。

 テストコースでは、条件を揃えてテストすることで、アイスガード6とアイスガード7の性能の違いをチェックできましたが、実際の路面のコンディションはどんどん変わっていくもの。「やっぱりリアルな雪道でも試してみたい!」ということで、「世界一厳しい冬路面」とも言われる旭川周辺を、「アイスガード7」を履いたトヨタ「カローラ」で走ってみることにしました。

 街中を走ってみると、圧雪路や少し溶けてシャーベット状になっているところ、突然凍っているところ……確かに過酷と言われるだけあって、さまざまな路面が待ち構えています。

 最初はビクビクしながら走っていましたが、走っているうちにいつの間にか肩の力が抜けていることに気づきました。

 自分が乱暴な運転をしない限り、どんな路面でもタイヤがしっかりグリップしている感覚が伝わってくるので、安心感を持って走ることができます。

 とくに自信を持って走れるようになった理由は、氷や雪上でも発進、停止で大きく滑らないから。昼間の圧雪路でも、日が落ちて気温も下がり、凍りはじめた路面でもしっかり止まってくれるので、日常的な運転の範囲であれば、ほとんど怖い思いをせずに運転できると感じました。

※ ※ ※

 テストコースでも一般道でもその性能の高さを感じることのできたアイスガード7。氷上に加えて、雪上でもさらに安心感を持って走れるようになったことで、雪道の運転が楽になり、ドライブや観光の幅もさらに広がったような気がします。

 日々雪道を走る雪国のドライバーにも、初めて雪道を走るような初心者の人でも、どんな人にでもぴったり合うタイヤなので、今回のテストを通して「たくさんの人に自信を持っておすすめできるな」と実感しました。

この記事の関連ニュース