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ついに全国制覇!? 移動式オービスの「肖像権問題」はどうなった? 6年越しの配備状況とは

くるまのニュース 2022年10月21日 9時10分

全国各地に配備されている「オービス(速度違反取締装置)」ですが、近年では移動式のものが主流となりつつあります。2016年から配備の始まった「移動式オービス」ですが、2022年10月現在の導入状況はどのようになっているのでしょうか。

■ついに全都道府県に配備された「移動式オービス」

 速度超過を自動で取り締まる「オービス(速度違反取締装置)」ですが、近年では移動式のものが主流となりつつあります。
 
 2016年から配備の始まった「移動式オービス」ですが、2022年10月現在の導入状況はどのようになっているのでしょうか。

ついに全国配備された「移動オービス」その実態は?

 すべての公道には制限速度が設定されていますが、スピード超過をするドライバーが跡を絶たないのが現状です。

 クルマに関する重大事故の多くがスピード超過に起因しているといわれていることから、警察では交通機動隊を中心に厳しい取り締まりがおこなわれています。

 ただし、限られた人員のなかで多くの地域の取り締まりをおこなうのには限界があるのも事実です。

 そこで、一部の道路ではいわゆる「オービス」が設置され、無人もしくは少数の警察官での取り締まりがおこなわれています。

 オービスは、正式名称を「速度違反取締装置」といい、日本においては1970年代より設置が開始されています。

 ちなみにオービスとは、ボーイング社による商標であるため、厳密にいえば他社製のものは「オービス」とは呼べませんが、現在では速度違反取締装置一般を表す名称として広く用いられています。

 かつては全国で700を数えたという「固定式オービス」ですが、現在では450前後まで減少しているといいます。

 その大きな理由としては機器の老朽化が挙げられます。

 固定式オービスによる取り締まりの成果と維持コストのバランスを考慮すると、撤去したほうが合理的というケースが増えているようです。

 一方、これまでの固定式オービスに変わって近年導入が進んでいるのが、「移動式(可搬式)オービス」です。

 これは、その名のとおり任意の場所に設置することのできるもので、日本では2016年に埼玉県で配備されて以来、全国へと広がっています。

 固定式オービス」と異なり、省スペースでの設置が可能であるため、道幅の狭い生活道路やトンネルなどへと配備されたケースもあるなど、その神出鬼没ぶりに多くのドライバーが安全運転に対する意識を強化しています。

 そんな移動式オービスですが、2022年9月13日より新潟県での運用がはじまったことで、全国47都道府県すべてに配備されました。

 全国における配備数はすでに100を超えており、その数は年々増加傾向にあるといいます。

■「オービス」の写真撮影、肖像権の侵害ではないの?

 固定式と移動式にかかわらず、一定以上のスピード超過を検知した際に、その証拠として自動的に写真を撮影するというのが「オービス」の基本的機能です。

 ただ、たとえ違反者であっても、無断で写真を撮影することが肖像権の侵害にあたるのではないかという指摘がなされることがあります。

 実際、過去に何度かこの問題について裁判で争われたことがありますが、これまでにオービスによる写真撮影が肖像権の侵害にあたると認定されたことはありません。

 1986年におこなわれた裁判では「現に犯罪がおこなわれている場合になされ、犯罪の性質、態様からいつて緊急に 証拠保全をする必要性があり、その方法も一般的に許容される限度を超えない相当 なものである」として、憲法や各種法律には違反しないとの判決が示されています。

 あくまで合法かつ合憲的な取り締まりであるとはいえ、オービスによる取り締まりには批判が多いことも事実です。

 そこで各都道府県警察では、固定式オービスが設置されている場所の直前に、速度違反の取り締まりを実施している旨の掲示を原則としておこなっています。

 これには速度超過そのものを抑制するという狙いはもちろん、写真撮影をおこなう可能性があることを事前に周知するという意味もあるようです。

固定式オービスでは必ず手前に青い看板が設置されるが…移動式オービスでは事前告知がない場合も

 ただ、移動式オービスについてはそうした掲示がおこなわれていない場合も少なくありません。

 この点については、各都道府県警のホームページなどで取り締まり情報を事前に公開することで、あくまで「一方的な隠し撮り」ではないという点を担保しているようです。
 
※ ※ ※

 どの程度の速度超過でオービスが作動するのかについては、原則として明らかにされていません。

 ただ、わずかな超過で反応することはほとんどなく、明らかに意図的な暴走行為をおこなっている場合のみ撮影の対象となるようです。

 いずれにせよ、オービスを作動させてしまうほどの速度超過は非常に危険です。

 そもそもオービスがあろうとなかろうと、安全運転に務めることがドライバーの義務であることはいうまでもありません。

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