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なぜ日産「GT-R」の価格高騰続く? 7000万円の個体現るも…「どんな人」が買うの? 異常な中古市場の実態とは

くるまのニュース 2022年10月27日 9時10分

2007年に登場した日産「GT-R(R35)」ですが、現在、中古車市場では約7000万円近い価格で販売されている個体もあります。なぜこのような驚きの価格となっているのでしょうか。

■約7000万円の個体も!GT-Rの中古車相場が高騰中!

 国産スポーツカーの金字塔ともいえる日産「GT-R(R35)」ですが、現在、中古車市場では複数の個体が5000万円を超える価格で販売されています。
  
 いったい、なぜこのような驚きの価格となっているのでしょうか。

 これまでの常識では、中古車を選ぶ最大の理由といえば、新車よりも安く購入できるというものでした。

 しかし、新型コロナウィルスやウクライナ危機に起因する部品不足などの影響により、新車の長納期化が慢性化している昨今。

 基本的には、即納が可能な中古車の相場が高騰しており、高年式かつ低走行の人気モデルであれば、新車よりも高価格で取引されることもめずらしくなくなっています。

 こうした傾向は一般的な乗用車のみならず、スポーツカーにまでおよんでいます。

 最近では、発売後まもなくオーダーストップとなった日産新型「フェアレディZ」に対して、新車のおよそ3倍となる1800万超の価格で中古市場に登場したことが話題となりました。

 事実上の定価が定められている新車とは異なり、中古車の価格は需要と供給のバランスがダイレクトに反映されます。

 求めるユーザーが多いモデルであれば、中古車価格は必然的に高騰し、時には新車価格を大きく超えることもあります。

 GT-Rもまた、中古市場で価格が高騰しているモデルのひとつです。

 2022年10月19日現在、中古車検索サイトには200台を超えるGT-Rの中古車を見つけることができますが、価格が公開されているもののなかでもっとも高額なものは、2022年式の「プレミアムエディションT-spec」で、車両本体価格は6950万円となっています。

 そのほか、「NISMO スペシャルエディション」が6280万円、5980万円、5750万円といった価格で販売されています。

 プレミアムエディションT-specは、GT-Rの2022年モデルに設定されたスペシャルモデルで、日本向けの割当台数は120台程度とされています。

 新車価格は1590万4900円と国産車としてはかなり高額ですが、抽選販売の倍率は20倍を超えるほどの人気を見せたモデルです。

 一方のNISMO スペシャルエディションは、プレミアムエディションT-specを超える2464万円で販売された、GT?R史上最強とされるモデルです。

 限定生産車ではないものの、2021年4月に予約受注を開始した後、8月にはオーダーストップとなるなど、その価格以上に入手困難だったモデルとなります。

 前述の通り驚きの価格で販売されている個体は、走行距離のほとんどない新車同様のコンディションです。

 とはいえ、「プレミアムエディションT-spec」で新車価格の4倍以上、「NISMO スペシャルエディション」でも2倍以上のプライスタグが付けられるのには、どのような事情があるのでしょうか。

■驚きの中古車価格が設定されるのはなぜ?

 日本においては、販売される中古車の価格は、原則としてその中古車を販売する販売店が自由に設定することが可能です。

 そのため、新車価格を大きく超える価格を設定すること自体はまったく問題ありませんが、実際には販売する気がない場合などの特殊なケースをのぞけば、相場を大きく逸脱した価格が設定されることはまずありません。

 今回のGT-Rの例では、新車価格を大きく超える価格を設定している中古車販売店は複数におよぶことから、現在の相場をある程度反映しているものと推測されます。

 実際、5000万円を超える価格でGT-Rを販売するある中古車販売店の担当者は「売れる見込みがあるからこの価格を設定している」と話します。

 相場が高騰する理由のひとつは、昨今の急激な円安も影響していると見られます。「GODZILLA」の愛称で呼ばれることもあるGT-Rは、海外にも多くのファンを抱えるモデルです。

中古車市場では約7000万円の値が付けられている「GT-R Premium edition T-spec」

 円安が進む昨今では、海外のユーザーにとっては、日本で販売されているもののほうが割安に見えます。

 そうなると、各中古車販売店では海外での相場を価格に反映させることになるため、日本で販売されているGT-Rでありながら、円安の影響を大きく受けることになります。

 直近1年でドル円相場は30%ほど円安に振れていることを考えると、高額なGT-Rの中古車価格のうち、30%程度は円安の影響を受けていると見られます。

 もちろん、GT-Rそのもの魅力も大きく関わっていることはいうまでもありません。2007年に登場したGT-Rは、現在にいたるまで成熟に成熟を重ねており、「プレミアムエディションT-spec」や「NISMO スペシャルエディションは、その集大成的存在です。

 ただ、およそ15年にわたって国産スポーツカーのなかでもトップクラスのパフォーマンスを誇ってきたGT-Rですが、厳格化される騒音規制をはじめ、今後の各種規制への対応が難しいことから、近い将来生産終了となることが噂されています。

 また、仮に次期モデルが登場したとしても、現行モデルのような純ガソリンエンジン車となる可能性は低く、ガソリンエンジンによるパワフルな走りを楽しむのであれば、現行モデルを手にすることが最善の方法となりつつあります。

 つまり、現時点で購入が難しいことや円安の影響に加え、今後同様のモデルが登場する見込みが薄いことから、特に「プレミアムエディションT-spec」や「NISMO スペシャルエディション」への需要が集中していることが、相場高騰の要因と考えられます。 

※ ※ ※

 今後円安が落ち着くことで、GT-Rの中古車価格もある程度は下がると予想されます。

 しかし、それ以外の要因については大幅に解消する可能性は低いことから、GT-Rの中古車価格は今後も高値を維持していくと見られています。

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