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いざというときに「EV」が役立つ!千葉市が始めた災害対策「EVサポーター制度」とは?

くるまのニュース 2022年11月5日 20時10分

千葉市は2022年4月から「EV(電気自動車)サポーター制度」をおこなっています。災害やトラブルなどによる停電に備える取り組みといいますが、具体的にどのような目的やメリットがあるのでしょうか。

■「EVサポーター制度」とは? 目的やメリットは何?

 千葉市は、2022年4月1日から「EV(電気自動車)サポーター制度」を実施しています。
 
 EVサポーター制度は、停電時にボランティア市民が所有するEVやプラグインハイブリッド自動車(PHV)、燃料電池自動車(FCV)を避難所や福祉施設の電源として活用する取り組みのことです。

 外部給電ができるEVやPHV、FCVを所有する市民がクルマをあらかじめ登録しておき、災害などで停電した時の給電に協力します。また、停電時だけでなく、千葉市のイベントにも協力することがあります。

 制度導入のきっかけは2019年の東日本台風でした。千葉県内で発生した大規模停電の経験を踏まえて、災害に強いまちづくりの一環として取り組みが始まったのです。

 制度運用の流れは、長期停電が起きた際、千葉市が登録者に協力を要請し、登録者は市指定の避難所などに車両を移動させ、避難所運営に必要な電力を供給するというものです。

 登録者は、千葉市内在住で外部給電ができるEVやPHV、FCVを所有あるいは使用する個人です。

 千葉市民にとっては停電時の力強い味方となるEVサポーター制度ですが、どのようなメリットが存在するのでしょうか。千葉市の担当者は、以下のように話します。

「EVサポーター制度を導入することによって、災害やトラブルが起こった際に支援を必要とする人や施設に素早く電力を届けられる点が挙げられます。

 また、この取り組みはボランティアという形になり、共助の取り組みと位置づけられているため、登録したとしても強制参加になるわけではありません。

 そのため、ご自身やご自身の周囲の家族や友人などの安全を優先したうえで、参加することができます」

 EVサポーター制度の登録者は、千葉市負担でボランティア保険に加入することになります。

 この保険は、千葉市からの依頼に基づいて活動に従事し、活動中に負傷した場合などに対して補償されるものです。

■課題は低い認知度? 登録台数は伸び悩み

 このようなEVサポーター制度ですが、認知度が低く、登録台数が伸び悩んでいるという課題があります。

EVの普及以前に災害への心構えが大切

 前出の担当者によると、2022年10月現在、EVサポーター制度の登録者は5人とのこと。

 前出の担当者は「認知していない人がまだ多い」と現状を分析します。

「2022年4月の開始から半年しか経過していないため、ある程度は仕方ないと思いますが、今後千葉市在住の人だけでなく、さらに多くの人にEVサポーター制度を知ってもらえるように、広報活動などの努力を続けていきたいと考えています」(市担当者)

 千葉市は、EVサポーター制度に登録した人へのアドバンテージとなる企画を2023年2月末までの限定で用意しています。

 登録者には、新たにちばシティポイント50ポイントを付与した「ちば風太WAONカード」をプレゼント。さらに、千葉市のイベントの広報活動に協力した人には、さらにちばシティポイント50ポイントが追加でプレゼントされます。

 ちばシティポイントは「WAONポイント」として使えるほか、千葉市の施設利用券などのオリジナル特典に交換できます。

 前出の担当者は「給電活動ができると判断した場合のみの参加で問題ないため、まずは登録だけでもしてほしい」としています。

※ ※ ※

 災害発生時は、被害をなるべく軽減するために、自分を守る「自助」と、地域や身近にいる人同士が助け合う「共助」の双方の考え方が重要です。

 千葉市のEVサポーター制度は、外部給電ができるEV・PHV・FCVユーザーに対してどこまで共助の考えが浸透するかが、今後の制度運営の鍵といえそうです。

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