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オービスは「何キロ」で光る? 光は赤だけじゃない!? さまざまな”噂”の真相を専門家に聞いてみた!

くるまのニュース 2022年11月7日 9時10分

クルマを運転していると気になるのが速度超過を自動的に取り締まる「オービス」の存在。今回「オービスガイド」を手掛ける大須賀克己氏に、オービスにまつわる「噂」についてその真偽を聞いてみました。

■オービスに関する“噂”真偽の程はいかに?

 高速道路や一般道のバイパスなどを走っていると気になるのが、速度超過を自動的に取り締まる装置、通称「オービス」の存在です。

 このオービスには、「オービスの光は必ず赤い」や「制限速度の一般道では制限速度+30km/h、高速道では+40km/hで反応する」などさまざまな噂があります。

 このような噂の真偽について、オービスに詳しい大須賀克己氏に聞いてみました。

 大須賀克己氏は、オービス(速度違反自動取締装置)の運用情報共有サービス「オービスガイド」の運営やアプリ開発を10年以上手掛け、リアルタイムに投稿される多くの情報から取締りの傾向を探っています。

 大須賀氏は、これまで日本全国の道を実際に数十万km走り回ってきたドライバーでもありますが、無事故・無違反でゴールド運転免許を3連続更新中。

 そんな大須賀氏に、数あるオービスについての「噂」からいくつかピックアップし、その真偽について訪ねてみました。

――そもそも「オービス」には、どのような種類があるのでしょうか。

「オービスには大きく分けて『固定式』『半固定式』『移動式』の3種類があります。

 固定式オービスは、道路を跨ぐような支柱上や路肩に機器がしっかりと設置されています。一方で、半固定式オービスは、オービス本体を設置するための土台となる拠点のみが数箇所用意されていて、オービス本体は各拠点を移動します。

 さらに近年登場した移動式オービスは、ひとりで持ち運びができるサイズで、どこにでも設置できます」

■オービスが反応する速度についての噂

――オービスは制限速度+何キロで反応するのでしょうか。「一般道では制限速度+30km/h、高速道では+40km/h」で反応するは本当なのでしょうか。

「固定式オービスと半固定式オービスの場合は本当に『一般道では制限速度+30km/h、高速道では+40km/h』だと思います。

 移動式オービスの場合は15キロオーバーで撮影された方にインタビューをしたことがありますし、青キップレベルの違反事例も多くあります。以前、新聞で「神出鬼没の移動オービス、千葉で検挙6・6倍…生活道路に積極投入」という記事を見ましたが、30キロ以下の速度超過違反も多いと思われます」

■オービスの“光”についての噂

――オービスに撮影されたときの光って必ず「赤い」のでしょうか?

「固定式オービスは基本的に赤く光ります。ただし大阪府吹田市に設置されているオービス(Ls型)は白色に光ります。

また埼玉県北本市と岐阜県大垣市に設置されているオービス(SSS)は、少し速い車に対しオレンジ色の警告発光を行い、撮影対象の車には白色で発光します。

 半固定式は全て白色に光ります。

 移動式オービスはLSM-300とLSM-300HKという機種は赤く光りますが、LSM-310とMSSSは白色に光ります。

 私もオービスの調査中にMSSSにテスト撮影されたことがありますが、2メートルくらい先でカメラのフラッシュを焚かれた感じです。昼間でも気がつく光量ですが、ほんの一瞬なので運転に支障が出ることはありません。

 私の場合は制限速度以下で走っていたのですが、それでもオービスが光った時は一瞬『えっ』となり頭が混乱するような感覚になります。心臓に悪いのでテスト撮影は警察の車両で行なってほしいと思いつつ、貴重な体験ができて少し嬉しくもありました」

――昔は全部赤かった? 移動式は白になった? その理由に心当たりはありますか

「確かに古いタイプのオービスは全て赤色に発光していました。それに対し最近のオービスは白色に発光します。

 赤色に発光するオービスは白黒写真が撮影され、白色発光のオービスはカラー写真が撮影されます。白黒写真でも顔や表情が鮮明に写るようですが、さらにこれからはカラー撮影が主流になっていくので『写っているのは私ではありません』などの言い訳は絶対に通用しないでしょう」

■オービスに“フイルム切れ”や“稼働時間外”があるという噂

――「フイルム切れ」によって測定できないことはあるのでしょうか、同様に「可動時間外」というのはあるのでしょうか。

「10年前は『フイルム切れ』で撮影されても通知が来なかったなどの話を聞きましたが、現在稼動しているオービスはほぼデジタル化されているのでフィルム切れは無いと思います。

 ただし、全国には古くて稼動していないオービスも多くあります。レンズが割れていたり本体が錆付いていたり、傾いているものすらあります。これらは十中八九稼動していないと思われます。

 近くで確認すると電力量計が取り外され通電していないオービスもありますし、草が巻き付いてとても撮影できる状態でないものすらあります。それでも多くの車は古いオービス前で速度を落すので抑止効果はあります。

 稼動時間については24時間365日稼動しています。ただ稀に『点検中』の看板が掲げられている時がありますが、そのような時は稼動していないと思われます」

■複数車線ある道路におけるオービスの数についての噂

1台で2車線をカバーするオービス(画像:オービスガイド)

――車線の数とオービスの数があってない場合があります(複数車線なのに1個、3車線なのに2個など)。この場合、設置されてない車線は撮られないのでしょうか?

「オービスには1車線しか対応できないモデルと、1台で複数車線に対応できるモデルがあります。

 1車線のみに対応するオービスは2台3台並べて複数車線に対応させることもあります。

 センシス社の移動式オービスは3車線を3台の車が並走しながら走ってきてもそれぞれの車の速度変化を、1台のオービスで全て記録している様子がメーカーのYouTube動画で紹介されています。

 オービスによっては撮影ポイントとして路面に白線マーカーがあるので、それにより撮影対象車線がわかる場合もあります。

 つまり、撮られてない車線があるパターンもありますし、1台で複数車線をカバーしている場合もあるのですが、撮影対象車線を見極める努力をするよりも、オービス設置場所では全車線が対象と思ったほうが無難です」

■オービスが撤去される理由についての噂

――固定式オービスが撤去されることがありますが、どのような理由で撤去されるのでしょうか

「基本的には古くなったものが撤去されているようですが、Hシステムと呼ばれているタイプは製造メーカーのサポートが終了したり、電波法の一部改正も理由にあるようです。

 それ以外の理由では道路工事による場合などがありますが、千葉では倒木の影響で撤去されたり、沖縄ではダンプカーがオービスをなぎ倒す重大事故によってなくなった場合もありました。

 10年くらい前は、毎年5から10箇所くらい新設され撤去は1箇所程度でした。それが近年は新設1箇所程度に対し撤去は20~30箇所のペースで減っています。

 固定式オービスは設置場所を覚えられてしまうと効果が薄れてしまうので、今後は移動式オービスや半固定式オービスに軸足を移していくものと思われます」

■オービス手前の“警告看板”についての噂

――オービス前に必ず“警告看板”はあるのでしょうか

「この看板について明記された公式の資料はありませんが、私が全国を調べているなかでは、固定式と半固定式のオービスの手前には必ず予告看板が設置されています。

 それに対し、移動式オービスの場合は予告看板が設置されていない場合もあります。

 私も当初、オービスには必ず予告看板が必要だと思い込んでいたので、愛知県警が『予告看板を設置せずに取締りをおこなう』という新聞記事(2017年8月19日の愛三時報)を見て、わざわざ千葉から愛知へ見学に行き、本当に看板無しでいきなり移動式オービスが設置されているのを見て驚いたのを覚えています。

 ちなみに現在の移動式オービスの予告看板は、設置されていることが多いのですが、地域や状況より警察が判断しているようです。

 また移動式オービスの予告看板の中にはとても小さなタイプもありますし、設置場所も左側の歩道だったり、右側の中央分離帯だったりさまざまですので、左右とも注意が必要です。

 個人的にはこの予告看板を探す行動は、左右からの飛び出しなどに注意をはらう意味でも良いと思っています」

※ ※ ※

 今回は、大須賀氏にさまざまな“オービスの噂”についてインタビューしましたが、最近は移動式オービスの普及により、どこでも速度の出し過ぎは撮影される可能性があります。

 予告看板があってもなくても、稼働してないオービスが存在したとしても、制限速度を意識しながらゆとりある運転が推奨されます。

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