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ホンダの新車が約42万円!? なぜ「新車価格」は地域で異なる? 同じ車でも「3万円の差」存在してた! なぜ昔は統一されなかったのか

くるまのニュース 2022年11月10日 17時10分

新車価格は、基本的に北海道などを除けば統一されているのが普通です。しかし昔は地域によって価格が異なっていたこともめずらしくなかったといいます。なぜ各地域でどれほど異なっていたのでしょうか。

■地域ごとによって異なる価格、その差の原因は?

 クルマを購入する際の価格は、基本的には全国各地で統一されているのが普通です。
 
 一方、かつては地域によって価格が異なっていたこともめずらしくなかったといいますが、なぜ各地域で異なっていたのでしょうか。

 ホンダの主力モデルであり、ロングセラーモデルである「シビック」が、2022年に50周年を迎えました。

 その歴史を振り返るべく、初代シビックの価格を調べてみると、東京や大阪、名古屋、福岡、札幌と、主要都市別の価格が設定されていることがわかります。

 それぞれの地域のエントリーグレードのメーカー希望小売価格は、名古屋が41万8000円、大阪が42万1000円、東京が42万5000円、福岡が43万3000円、札幌が45万1000円となっており、最大で3万3000円の差が生じています。

 その一方で、近年の新車であれば、北海道向けはデフォルトで寒冷地仕様となっているため、北海道地区価格が数万円高いというのはよくある話なのですが、

 初代シビックの価格をよく見ていくと、もっとも安いのが名古屋、もっとも高いのは札幌となっています。

 この理由について、ホンダから「鈴鹿製作所からの距離に応じて価格を設定したため、地域によって価格が異なっていました」という回答が得られました。
 
 現在のシビックは、埼玉県寄居にある工場で製造されていますが、初代シビックは三重県の鈴鹿製作所で作られていました。

 工場からの輸送コストをそのまま車両価格に反映させたため、鈴鹿市から近い都市である名古屋での価格は安価になっていたというわけです。

 ちなみに、鈴鹿製作所から各都市の駅まで移動した場合の距離は、名古屋が約60km、大阪が約135km、東京が約400km、福岡が約740km、札幌が約1550kmとなっており、距離の違いに比べると価格差は小さくなっているので、単純に輸送費をそのまま価格に乗せているというわけではなさそうです。

 いずれにしても物流コストの差が新車価格に影響していた時代はあったのです。

 ちなみに、歴代シビックのメーカー希望小売価格を見ていくと、1979年にフルモデルチェンジした2代目でも主要都市別に異なる価格が設定されています。

 その流れはずいぶんと続きます。

 たとえば、1983年にフルモデルチェンジした3代目シビックでは、1.6リッターエンジンを積むSiグレードの価格は、東京が137万6000円、名古屋が137万8000円、大阪が138万2000円、仙台が139万2000円、福岡が139万7000円、札幌が141万円となっており、その差は最大で3万4000円でした。

 この頃は、東京の価格を基準にするよう変わっていますが、福岡や札幌での販売価格が高めになっているのは初代から変わりません。

 なお、シビックでいえば、全国で統一されたメーカー希望小売価格が設定されるのは2000年のフルモデルチェンジで登場した7代目のときです。

 このように、少なくともホンダについては、20世紀の間は工場からの距離に応じて価格を設定していました。

 ちなみに、さらに古くは「工場渡し価格」というものもあり、ユーザーが工場まで取りに行くことで、最安値で買えたのです。

 いまの常識で考えると、納車前整備やナンバーをつける作業なしで、工場で新車を渡してしまうというのは乱暴にも思えますが、1960年代まではそれがまかり通っていました。

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 ちなみに、軽自動車であれば、いまでも書類だけでナンバープレートを用意できますし、ナンバーの封印もないため、事前にナンバーを用意して持参すれば工場に受け取りに行くことも理論的には不可能ではありません。

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