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「Nレンジ」多用で燃費向上ホント? 下り坂の空転は危険行為! Nレンジより効果ある「ボタン操作」とは

くるまのニュース 2022年11月14日 14時10分

巷ではクルマの燃費向上のための行為として、下り坂や信号待ちで「Nレンジ」にする方法が噂されています。本当にその行為は効果があるのでしょうか。

■下り坂&信号待ちにNレンジを使用で…本当に燃費は向上するのか?

 オートマチックトランスミッション(AT車)、マニュアルトランスミッション(MT車)問わず、どのようなクルマにもついているのが、ニュートラルレンジ(以下、Nレンジ)です。
 
 普段の運転において使用する機会が少ないNレンジですが、どのような場面で使用するものなのでしょうか。

 MT車の場合は、信号待ちの際にNレンジにギアチェンジして停車している人が多い一方、AT車では、運転に際して、Nレンジに触れる機会は滅多にありません。

 東京都内の教習所担当者によると、「教習所の生徒には、AT車の免許を取得したいという生徒がほとんどであるため、そもそもNレンジについて指導するということはありません」といいます。

 このように、教習所でもNレンジの存在や利用方法を積極的に指導することはないのが実情であり、Nレンジの役割や目的について認知していない人がほとんどといえます。

「ニュートラル」は和訳すると、「中間」や「中立」という意味です。

 そのためNレンジではエンジンとギアが連結されていない中間の状態となり、エンジンの動力がトランスミッション以降の機構に伝わってない状態です。

 基本的にエンジンの動力は「エンジン→クラッチ→トランスミッション→プロペラシャフト(後輪駆動車の場合)→デファレンシャル(差動装置)→ドライブシャフト→タイヤ」と、さまざまな装置や部品を介して伝達されます。

 このように動力を伝えない状態にするNレンジですが、日常ではどのような場面で使用するのでしょうか。

 前出の担当者は、Nレンジの正しい使用方法や目的について、以下のように話します。

「Nレンジは普段の走行で滅多に使用することはありませんが、緊急時におけるクルマの牽引に活用することができます。

 万が一走行中にクルマが故障してエンジンが効かない状態になった場合などに、Nレンジしたうえで、けん引トラックで故障車を牽引したり、数人で後ろから故障車を押したりすることによって故障車の移動が可能です」

 一方でSNSでは、「下り坂はNレンジで走行して超燃費走行を目指す」「ギアがNレンジだと、下り坂はスルスル進む」など、Nレンジで下り坂を走行するユーザーも存在するようです。

 しかし、下り坂においてNレンジのまま走行するとエンジンブレーキもカットされるため、徐々に速度が上がっていき思わぬトラブルを引き起こす可能性も考えられるため、やめましょう。

■燃費に効果あるの? 「Nレンジ」よりも効果ある「あのボタン」とは

 クルマの機能としても信号待ちなどの停車時にエンジンが自動で停止する「アイドリングストップ」が搭載されており、燃料消費を抑えることができます。

 その機能に近しい行為として、「AT車の信号待ちなどでNレンジ(ニュートラル)にシフトを入れておく」という燃費が向上するという噂が聞かれますが本当なのでしょうか。

 首都圏の自動車整備士をしているA氏は、信号待ちにNレンジにすることについて「Nレンジにしてもエンジンが停止しているわけではありません。そのため、ほとんど変化はないです」と話しています。

 その一方でA氏はNレンジよりもA/C機能が燃費に影響すると話しています。

「エアコン操作において、『A/Cボタン』をONにしているほうが燃費に影響します。

 A/C(エアコンディショナー)は、ONにすることでコンプレッサーを動かし、冷房・除湿機能を作動させる機能で、コンプレッサーを作動させるためにはエンジンの出力を使うことから、結果的に燃費を悪化させる要因となります。

 ただし、夏場の冷房を使用する場合は、空気を冷やして除湿するA/C機能は必須ですが、暖房はエンジンの熱を使って車内を温めるので、暖房機能のオン/オフのみで使用することができます」

※ ※ ※

下り坂での「Nレンジ」は危険! 思わぬトラブルにつながる可能性も

 また、燃費を向上させる方法として警察庁、経済産業省、国土交通省、環境省で構成されているエコドライブ普及連絡会は「エコドライブ10のすすめ」を公表しています。

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 ・自分の燃費を把握しよう
 ・ふんわりアクセル「eスタート」
 ・車間距離にゆとりをもって、加速・減速の少ない運転
 ・減速時は早めにアクセルを離そう
 ・エアコンの使用は適切に
 ・ムダなアイドリングはやめよう
 ・渋滞を避け、余裕をもって出発しよう
 ・タイヤの空気圧から始める点検・整備
 ・不要な荷物はおろそう
 ・走行の妨げとなる駐車はやめよう

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これらの基本的な行為を意識することで燃費に影響があるほか、安全運転にも繋がります。

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