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「親に運転やめよう」と言えますか? 高齢者事故の抑止に「免許返納」を! 知るべき返納制度のメリット・デメリットとは

くるまのニュース 2022年11月13日 8時10分

高齢になるほど認知力・運動能力などさまざまな部分が衰えてきます。そうした際に一歩間違えば凶器となるクルマの運転は慎重にならざるをえません。もし、自分自身や周囲の高齢者の運転能力が乏しくなったら「運転免許の自主返納」を勧めるのもひとつの方法です。

■今後運転出来なくなる不安も…免許自主返納のメリットは?

 高齢になるほど認知力・運動能力などさまざまな部分が衰えてきます。そうした際に一歩間違えば凶器となるクルマの運転は慎重にならざるおえません。
 
 もし、自分自身や周囲の高齢者の運転能力が乏しくなったら「運転免許の自主返納」を勧めるのもひとつの方法です。
 
 では、運転免許証を自主返納すると、その後の生活にどのような影響が出るのでしょうか。

 近年、高齢者ドライバーによる交通事故が問題視されるようになりました。

 警察庁が公表している2022年上半期における交通死亡事故の発生状況を見ると、75歳以上の高齢者ドライバーによる交通死亡事故件数は前年(2021年)の上半期と比較すると6件増加しています。

 75歳以上の高齢者ドライバーによる交通事故が起きてしまった人的要因でもっとも割合が高い「操作不適」は28.3%を締めています。

 このうち14.5%が「ハンドルの操作不適」、7.9%が「ブレーキとアクセルの踏み間違い」です。

 ちなみに、75歳未満のドライバーでもっとも割合の高い交通事故における人的要因は「安全不確認」となっており、操作不適による交通事故は、高齢者ドライバーに多い要因であることがわかります。

 高齢により運転能力が低下し、咄嗟の判断が遅れることは少なからずあります。

 このように、高齢になり運転能力が低下したと感じる場合に、各団体では運転免許証の自主返納を促しています。

 しかし、公共交通機関が少ない地域に住んでいる高齢者にとって、クルマは重要な移動手段です。

 これまで自由に移動できていたものに制限がかかってしまうと困る高齢者は多くいることも考えられます。

 では、運転免許証を自主返納することによるメリットはあるのでしょうか。

 免許返納制度について、以前に警察庁広報室は次のように説明していました。

「警察では、自主返納制度や自主返納された人に対する各種支援施策について広報啓発に努めています。

 また、自主返納された人への支援について、自治体や民間事業者に働きかけをおこない、協力いただき、バスやタクシーなどの公共交通機関の割引をはじめ、宅配サービスの割引などの支援がおこなわれています。

 もし、免許返納をすべきか悩んでいる場合には、各都道府県警の運転免許センターなどに運転適性相談窓口を設置し、運転に不安のある高齢者やご家族などから相談を受け付けています。

 相談窓口には、保健師や看護師の配置を進めているので、自主返納に悩んでいる人や運転に不安のある人は、運転免許センターなどにご相談ください」

※ ※ ※

 同様に東京都内の警察署交通課の担当者は「自治体によりますが、運転免許証の自主返納後にタクシーやバスなどの利用が割り引かれる制度を導入しています。また、商店街やデパート、スーパーなどで買うことができる食品や生活用品の割引などをおこなっているなど、さまざまな工夫した取り組みをおこなっています」と説明しています。

 一方、大阪府警では「運転免許証返納体験」と呼ばれる施策を実施しています。

 これは、運転免許証を保有したまま一定期間運転をなるべく控えることによってマイカーを手放した後の生活を疑似体験するという試みです。
 
 ここ10年ほどで大阪で発生した交通事故の全体数は半減しているものの、高齢者ドライバーによる交通事故件数はあまり減少していない結果を見て、運転免許証返納体験という取り組みを始めたといいます。

 また、2020年の改正道路交通法により、高齢者の運転免許証の更新等の手続において、新たに運転技能検査が導入されることとなりました。

 これにより75歳以上で一定の違反歴がある人について運転技能検査に合格しなければ、運転免許証の更新を受けることができなくなります。

■自主返納はどうすればいい? その後の生活はどうなる?

 運転免許証の返納は、運転免許証や申請用の写真などを持参して最寄りの警察署や運転免許試験場などで手続きをすることが可能です。

 またその際に希望すれば「運転経歴証明書」を交付してもらえ、これは運転免許証と同様に写真付き身分証として使用することが可能なほか、運転経歴証明書を提示することでさまざまなサービスを利用することができます。

 しかし、高齢者には、運転免許証を自主返納するメリットはあるものの「クルマを運転できなくなることで、生活に大きな支障が出てしまうのではないか」と不安に思っている人も多くいることが予想されます。

 前出の東京都内の警察署交通課の担当者は、運転免許証を自主返納した後の生活について、以下のように話します。

「運転免許証を自主返納した後は、当然クルマを運転することは不可能になります。

 そのため、当然ですが、移動手段としてはバスやタクシーなどの公共交通機関を利用していただくことになります。

 バスやタクシーなどの公共交通機関は、運転免許証を自主返納することによって割引対象になります。

 さらに東京都では70歳以上の高齢者を対象に、バスでは『シルバーパス』を実施しているなど、運転免許証を返納した後も負担を感じないような生活を支援するサポートを用意しています。

 運転免許証を返納した後の生活について『不安だ』という声も多く頂きますが、自分や周囲の家族、友人、大切な人のためにも、積極的に自主返納していただければと思います」

運転免許証を返納した際に発行される「運転経歴証明書」

 シルバーパスとは、東京都に住民登録をしている70歳以上の高齢者を対象に、販売しているパスとなっており、シルバーパスを購入することによって都営交通や都内のバスが乗り放題となります。

 クルマは便利な移動手段のひとつであるため、何かきっかけがなければなかなか手放すことを考えにくいかもしれません。

 しかし、身近な高齢者が運転しているのであれば、家族や友人などの周囲の人が問題がないか確認してあげることも大切です。

 各都道府県警の運転免許センターなどでは、運転適性相談窓口を設置し、運転に不安のある高齢者やご家族などから相談を受け付けています。

 保健師や看護師の配置を進めているため、少しでも不安がある場合には1度相談してみるのがいいのかもしれません。

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