とあるSNS投稿が2022年11月上旬に話題となりました。それは半年前に登録したばかりのナンバープレートが実際には登録されていないと警察から申告されたという内容です。なぜそのような間違いが起きたのでしょうか。
■希望ナンバー取得の際に発生した珍事とは?
2022年11月上旬にとあるSNS投稿が話題となりました。それは半年前に登録したばかりのナンバープレートが実際には登録されていないと警察から申告されたという内容です。
正規ディーラーで購入したにも関わらず、なぜナンバープレートの登録間違いがあったのでしょうか。
「あなたのクルマは登録されていません」
家に訪ねてきた警察官からのひと言は、オーナーのAさんにとって非常に驚く内容でした。
愛車についているナンバープレートのひらがなと車検証記載のひらがなが一致していない、ということで警察官から怒り気味に「クルマは動かせませんよ!」といわれことがSNSに投稿されました。(投稿は現在削除されています)
Aさんの投稿によると、実際にAさんの愛車についているナンバープレートのひらがなは「ち」ですが、車検証には「さ」と記載されていました。
Aさんは警察官に指摘されて初めて、「ち」と「さ」が違っていることに気づきます。
そもそもなぜ警察が気づくことになったのか。というと、Aさんが自宅前でクルマを入れ替えていた際、ほんの短時間クルマを自宅敷地からはみ出して停めていたときに違法駐車として通報されてしまったといいます。
そこで警察はナンバープレートから所有者を探しますが、出てきた所有者はAさんではなかったといい「Aさんのクルマは登録されていない?」と驚いた警察がAさん宅を訪れたという経緯になります。
しかし、Aさんのクルマは半年前にディーラーから購入したもので現在の希望番号プレートは納車時からついていたものです。
Aさんには全く非がないと考えられます。
また、警察からはAさんの車検証に記載されたナンバープレートのクルマがAさんの愛車とは全く異なるメーカーのクルマであることも知らされました。
Aさんがナンバープレートと車検証の写真をSNSにあげると、驚きのコメントが多数つき始めました。(ナンバープレートだけでは個人情報には該当しません)
なぜこのようなことが起こってしまったのでしょうか。
国土交通省自動車局自動車情報課に聞いてみたところ、意外なことがわかりました。
なお、自動車情報課内でもこの件は話題になっており、真相を究明すべく比較的早い段階で調査をおこなっていたようです。
以下、自動車情報課の担当者は次のように話しています。
―― 車検証は「さ」、ナンバーは「ち」 希望番号の数字は同じですがひらがなが違っていました。大変珍しいことだと思われますが、なぜこのようなことが起こったのでしょうか。
そうですね。どこに原因があるのか。管轄の運輸局や運輸支局など各所に話を聞きました。
結論から申し上げますと、代理人(行政書士など)が申請していた希望番号のナンバーを同じ日に複数枚取得した際、そのなかに番号は同じで、ひらがなが「ち」と「さ」の2組のナンバーがありました。
ナンバーを受け取って封印の許可を得ている業者(ディーラーなど)に渡した際、「ち」と「さ」を間違えて渡してしまったようです。
――では、同じナンバープレートが2組存在する、ということではないのですね。
そうだと思われます。
思われますというのは、実はSNSに写真を上げてくださった人の場合は写真の内容からして明らかに違うことがわかります。
しかし、入れ替わっていたもう1台のオーナーと連絡が取れておらず、はっきりとしたお返事を頂いていないので…そこはまだ厳密には確認できていないことになります。
同じ番号が2組出されることは絶対にありえないので、取り違いということになります。
■封印をする際、車検証とナンバーを確認する義務がある
動車情報課の担当者によると、これから2台のクルマのナンバーについて「このままナンバープレートを入れ替えて封印をしなおす」「全く違うナンバープレートを発行しなおす」などが検討されているとのことでした。
いずれにしろ、クルマに乗れないのはオーナーが気の毒ですから諸々の件が解決して愛車に再び乗れる日が早くやってくることを願うばかりです。
では今回の珍事件、関わった人々はどのようなルール違反をしていたのでしょうか。
前述の自動車情報課担当者は以下のように話します
「代理人はナンバープレートを封印業者に渡す時点で取り違いがありました。
封印を委託された業者は封印をおこなう際(=ナンバーのついていないクルマにナンバープレートを取り付けて後部ナンバープレートを封印する)、必ず車検証とナンバープレート、車台番号などを確認する義務があります。その義務を怠って封印したことになります」
また、自賠責保険についても聞いてみました。
車両番号が異なっていたことが発覚すると無効になってしまうケースもあるのでしょうか。
「自賠責保険は車台番号が必須となります。
車両番号(ナンバープレートの番号)を併記する場合もありますが、クルマに刻印された車台番号は変わることはない番号です。
自賠責保険にはこちらが関わってきますので問題ありません」
※ ※ ※
ということで、ナンバープレート取り違えの珍事件の経緯がわかりました。
気になるのは自家用車(普通車)の場合に同じ希望番号を付ける際には「さ→す→せ→そ→た→ち」という順番で交付されます。(「し」は欠番)
しかし今回のナンバーはそれほど人気が高まる番号ではないため、順番に交付されるまで時間がかかるかと思いますが、今回の経緯では同じ日に交付されていたことになります。
希望番号として「1」が同じ日に複数枚にわたり交付される可能性が低いことから、今回のケースがどのような形で間違われたのか、注目せずにはいられません。