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59年ぶり「東京モーターショー」改め「ジャパンモビリティショー」に! どんなショーに変貌? 2023年10月開催へ

くるまのニュース 2022年11月22日 9時10分

2年に1度の自動車の祭典「東京モーターショー」が、2023年から装いも新たに「JAPAN MOBILITY SHOW(ジャパンモビリティショー)」として開催されます。自動車メーカーの展示だけにとどまらないイベントに飛躍するといいますが、具体的にはどういった取り組みがおこなわれるのでしょうか。

■新生「JMS2023」開催は2023年10月26日から11月5日まで

 長年に渡り続いてきた「東京モーターショー」が、2023年から「JAPAN MOBILITY SHOW(ジャパンモビリティショー)」として生まれ変わります。
 
 世界的にもモーターショーの開催規模が縮小傾向にあるなか、これまでのショーとは一体なにが変わるのでしょうか。

 自動車メーカーと二輪車メーカーでつくる業界団体で、これまで東京モーターショーを主催してきた一般社団法人 日本自動車工業会(自工会)は、「ジャパンモビリティショー2023」の概要について報道陣向けのオンライン説明会を実施しました。

 まずは、長らく続いてきた東京モーターショーという名前を変更するに至った経緯から見ていくため、その歴史を振り返ってみましょう。

 前身である「第1回全日本自動車ショウ」は、戦後期から経済成長期へ転換する前の1954年に東京・日比谷公園の屋外展示で開催され、開催10日間で54万7000人を集約しています。1958年の第5回は日比谷公園が工事中のため、後楽園競輪場インフィールドで開催しています。

 1959年には舞台を晴海の日本貿易センターに移し、第11回の1964年からは名称を「東京モーターショー」に改めました。

 1977年からは、それまでの毎年開催から2年に1度の隔年開催へ転換。1989年の第28回から幕張メッセ(千葉県千葉市)に場所を移し、1999年から2005年までは毎年開催に再度転換するも、第40回には再び隔年開催に。

 2011年の第42回から東京ビッグサイト(東京都江東区)での開催に。前回(第46回)は2019年に開催されましたが、2021年はコロナ禍のため開催中止となっています。

 来場者数は1991年の202万人をピークに、全体として右肩下がりとなり、2017年には77万人まで落ち込んでしました。

 そこで前回の2019年は、翌年2020年に開催予定だった東京2020オリンピック・パラリンピックを見据えて、様々な産業界が参加した「FUTURE EXPO」や、子どもむけの参加型アトラクション「キッザニア」など、多様なユーザー向けイベントを駆使し、見事に130万人を集客してみせたのです。

 そして、東京モーターショー2021中止を経て、2023年は名称を59年ぶりに変更。「ジャパンモビリティショー」として生まれ変わるといいます。

 実は、2022年5月に公開された初期案では、自動車関連のみならず日本の様々な産業が終結する意味で「インダストリアルショー」という仮称を明かされました。

 ところが、その発表後に「(クルマが主役ではない)産業ショーなのか?」という問い合わせが日本自動車工業会宛にも多く寄せられたというのです。

 また、経団連に約200社が参画するモビリティ委員会が設立され、日本経済界全体として自動車産業のモビリティ分野への転換を視野に入れた本格的な話し合いの舞台が整ったこともあり、ユーザー向けにも分かりやすい表現として正式名称を「ジャパンモビリティショー」としたとのことです。

 ジャパンモビリティショー2023の開催期間は2023年10月26日(木)から11月5日(日)の11日間で、開催場所は前回の東京モーターショー2019に続き、東京ビッグサイトがメイン会場となります。

■コンセプトは『「日本の未来」を体感できるショー』

 ジャパンモビリティショー2023のコンセプトは、「モビリティ産業がペースメーカーとなり、スタートアップ、他産業も一緒に多くのお客様に『未来の日本』を体感いただく場」です。

 未来の生活がより身近に感じられるような「FUTURE MALL(フューチャー・モール)」を中心に、音楽系イベントを含むエンタメ系コンテンツ、キッズコンテンツ、次世代モビリティ、そして東京オートサロンやIT系のCEATECなどと各種団体とのコラボも充実させます。

一般社団法人 日本自動車工業会(自工会)が打ち出した「JAPAN MOBILITY SHOW(ジャパンモビリティショー)2023」の開催コンセプト

 こうして生まれ変わる東京モーターショーですが、世界的にみるとモーターショーというビジネスモデルが大きな転換期を迎えているのも事実です。

 海外のモーターショーでは、開催内容を変えても参加企業が激減するなどして規模を縮小したり、スイス・ジュネーブショーのように金銭面から開催を中止する事態も起きています。

 また一時は活況を呈していた、ITや家電の世界最大級見本市である米国・ラスベガス開催の「CES」も、最近は自動車関連産業の関わりかたも少し熱が冷めた印象があります。

 自工会では、こうした海外のモーターショーが衰退した理由をどう分析し、その知見をジャパンモビリティショーにどのように活かしていくのでしょうか。

 これに対して、自工会は以下の見解を示します。

「各社によるBEV(電気自動車)のプレゼン合戦のような、自動車メーカーが何を展示したいかという思いが強過ぎて、入場者の皆さんの期待に応えなくなっていました」

 一方でカスタムカーの大型イベントである東京オートサロンが多くの集客を集めていることに対してはこう説明します。

「エキサイティングな内容であり、東京モーターショーのあり方について、我々としても反省するべき点が多かったと考えます。

 そのため先回(2019年)から、来場者が何を観たいのか、何に期待して来場しているのかという観点を重視した結果、新たなスタート地点に着いたと思っています」

 その上で、新生ジャパンモビリティショーでは、誰もが楽しめる内容を盛りだくさんに用意するため、準備を進めているといいます。

※ ※ ※

 もう1点、興味深い話があがりました。ショーを使った新車販売についてです。

 これまでも東南アジアのモーターショーなどでは、ショー会場で新車の商談をするシステムがおこなわれていましたが、日本ではこれまで全国のディーラー網の商圏(テリトリー制)などが壁となり、実現が難しいとされていました。

 今後新車のオンライン販売の拡大も見込めるなか、自工会としての考え方について筆者(桃田健史)が聞いてみたところ、次のような回答が得られました。

「実は(そうしたシステム導入について)自工会の参加各社の間で議論中です。

 ショーのスペースで(商談をおこなうことが)良いのか、またはショーで実車を見学して(その後オンライン上などで)購入予約をして頂くことがよいのかなど、検討中です」

 様々な点で新たな試みが始まりそうな、新生ジャパンモビリティショー2023の開催を大いに期待したいところです。

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