5代目となったトヨタ新型「プリウス」。これまでタクシーに採用されることも多かったプリウスですが、現役タクシードライバーからはどのような印象を持たれているのでしょうか。
■タクシーとしてのネックは、やはり「後席の快適性」
2022年11月16日、トヨタ「プリウス」がフルモデルチェンジを果たし、5代目へと進化しました。
その燃費性能の高さから、これまでタクシーに用いられることも多かったプリウスですが、スポーティなデザインとなった新型プリウスに対し、タクシードライバーはどんな印象をもったのでしょうか。
世界初の量産型ハイブリッド車として1997年に登場したプリウスは、エコカーの代名詞的存在として君臨し続けてきました。
ただ、プリウスに求められるものが大きく変化したこともあり、新型プリウスは低く流麗なプロポーションが特徴のスポーツ・ハイブリッドへと生まれ変わっています。
新型プリウスのスポーティなエクステリアデザインに対して、 インターネット上では好感を示す声も多く上がっています。
そうしたなかで、新型プリウスの開発時にトヨタの豊田章男社長は「『プリウスを、タクシー専用車にしてはどうか』。走行距離の長いクルマとして台数を増やしてこそ、環境貢献につながる」と語ったといいます。
では、タクシードライバーは新型プリウスに対してどのような印象を受けたのでしょうか。
都内で法人タクシーのドライバーを務める男性は次のように話します。
「あくまで画像を見た限りではありますが、新型プリウスは『カッコいい』と感じましたね。
ただ、現実的にタクシーとして利用するのは難しい気がします。やはり、全高が低いので、後席に乗るお客さまの快適性があまり高くないのではと思ってしまいます。
とくに、いまタクシーで主流となっている『ジャパンタクシー』は、乗り降りのしやすさも車内の広さも非常に優れているいます。
そのため、法人タクシーであえて新型プリウスを導入することはないのではないかと思います」
また別の法人タクシー会社の営業担当者は次のように話しています。
「法人としては、数年前にタクシー専用車となるジャパンタクシーを相当数導入しています。
そのため、ジャパンタクシーから乗り換えることは数年先まではないかと存じます。
とはいえ、話題性は大きいこともあり、数台を目玉として導入することは検討しようかと思っています」
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ジャパンタクシー(JPN TAXI)は、日本の“おもてなしの心”を反映し、子供から高齢者、車いす使用者、外国からの観光客など、さまざまな人に優しく快適なタクシー専用車として2017年に登場しました。
具体的には、利用者が乗降しやすい低床フラットフロアや大開口のリヤ電動スライドドア、車いすでの乗車も可能な構造など、持ち手となるグリップから構造全体に至るまで工夫と改良が重ねなれています。
さらに優れた環境性能をもつLPG-ハイブリッドシステムに、停電などの非常時でも電気製品が使える給電機能なども備えており、現在のタクシー定番車となっています。
■個人タクシーのほうが興味津々? 「ぜひ導入したい」声も
一方、個人タクシーのドライバーのなかにも新型プリウスに興味を持つ人もいるようです。
都内で個人タクシードライバーを務める男性は「新型プリウスのスペックや価格次第では、個人タクシーへの導入を検討するかもしれない」としたうえで、次のように話します。
「現在は『クラウン アスリート』で営業していますが、燃費性能は決してよくありません。
とくに、最近はガソリン代が高騰しているので、収入面ではかなり痛手です。
電気自動車で営業するのは現実的ではありませんし、燃費だけを考えて軽自動車やコンパクトカーにするわけにもいきません。
もし、新型プリウスが個人タクシーにも使えるレベルの質感があって、燃費性能もこれまでと同等以上であれば、導入を検討するドライバーも多いのではないかと思います。
ただ、やはり後席の居住性が気になるところです。
『新型プリウスのタクシーは乗り心地が悪い』などと評判になってしまったら商売上がったりなので、そこは実際のクルマを厳しくチェックする必要がありそうです」
また神奈川県で個人タクシードライバーを務める男性は次のように話しています。
「現在は、プリウスαで10年以上個人タクシーをやっています。
そろそろ乗り換えを検討していた際に新型プリウスが出てきたこともあったため、かなり気になっております。
個人タクシーでは、その車種の見た目などの個性も大事です。
それによって、また次も利用してみようなどのリポートにも繋がります。
そのため、個人タクシー界隈では新型プリウスや新型クラウンに乗り換えを検討している人もいます。
知り合いでは『ぜひ導入したい』という声もありました」
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かつては利用できる車種に制約があった個人タクシーですが、現在では規制が緩和されたことで、多くの選択肢のなかから選べるようになりました。
新型プリウスは、そのデザインだけでなく走りも注目されています。
個人タクシーのドライバーの多くは走りも重要視しているといわれますが、毎日のようにハンドルを握るタクシードライバーたちを、うならせるだけの魅力的な走りをもっているのかどうかという点にも、注目が集まっています。