Infoseek 楽天

なぜ北海道の“一般道”から固定式オービス消滅!? 神出鬼没な「移動式オービス」へ移行か? 北海道の速度取締事情とは

くるまのニュース 2022年12月5日 9時10分

2022年12月現在で北海道の一般道からすべての固定式オービス(自動速度取締り装置)が姿を消してしまったようです。2018年当時で77箇所もありましたが、なぜ消滅してしまったのでしょうか。

■北海道の一般道から固定式オービス一掃…なぜなのか

 北海道には2018年当時で77箇所もの固定式オービス(自動速度取締り装置)が設置されていました。それが毎年徐々に数を減らし、近年は撤去のペースが上がっていましたが、一気に撤去が進み、ついに北海道からほとんどすべての固定式オービスが撤去されてしまったようです。

 2021年末には2018年当時で77箇所から35箇所までに減っていた北海道の固定式オービスですが、筆者オービスガイド 大須賀克巳は今年2022年7月の調査で9箇所の撤去を確認し、11月の調査で残りの25箇所が撤去されたことを確認。これで完全に北海道の“一般道”から固定式オービスが消滅したことになります。

 なお高速道路には道央自動車道に最後の固定式オービスが1箇所存在します。設置場所は下り方面の江別東ICと岩見沢ICの間にあります。こちらは一般道のオービスとは異なるタイプなので当分撤去されないと推察されます。

 オービスは速度違反を自動的に取り締まる機器ですが、特に北海道のような広大な土地に永遠と続く直線道路が整備されている地域では、速度抑止の効果は大きかったと思われます。

 北海道に設置されていた固定式オービスのほぼ全てが、白色の四角いレーダーアンテナが特徴のHシステムと呼ばれるタイプでした。

 このHシステムの製造メーカーは三菱電機ですが、すでに製造もメンテナンス期間も終了しているため、部品共有や保守管理が難しい状況だったと思われます。また、電波法の改正により「新スプリアス発射強度の許容値」に適さない無線局となったことも撤去理由のようです。

 さらに、固定式オービスは位置を覚えられると効果は低くなります。情報網が発達した最近では、様々なデバイスやサービスにより、地元以外のドライバーにも位置が把握され、固定式オービスは時代に合わない機器になりつつあるという背景もあるのかもしれません。

※ ※ ※

 もしかしたら、固定式オービスが無くなり安心して走れると考えるドライバーもいるかもしれませんが、今後は今までとは比較にならないくらい速度の出しすぎには注意する必要があります。

 それは「移動式オービス」の存在があるからです。

 筆者オービスガイド 大須賀克巳がオービス調査中にも、道内の各地で「移動式オービス取締り強化中」の文字が電光式の道路情報板に昼夜問わず表示されていました。

 特に高速道路で多く見かけましたが、道警の本気度が伺えます。今は予告期間のような時期で、本格的な運用はこれから始まると予想します。

 既に道内の一般道では連日のように移動式オービスの目撃情報がSNSなどに書き込まれていますし、道央自動車道や札幌自動車道のPAや道路管理用のスペースに設置されることもありました。それが今後は設置場所が多彩になり、頻度も多くなると思われます。

 道警が導入した移動式オービスは、スウェーデンのSensys Gatso Group社製で、MSSSという製品でレーダーにより速度を計測します。

 他の都府県で多く導入されているレーザー計測の移動式オービス(LSM-300やLSM-310)に対してはカー用品などで販売されているレーダー&レーザー探知機が有効に機能しますが、私オービスガイド 大須賀克巳の知る限りではMSSSを実用的に探知できる探知機は現時点では販売されていません。

 このMSSSは探知が難しいだけでなく、筐体が黒色でコンパクトなため、手前から目視で発見することは難しく、それが夜間になると発見は不可能に近くなりますが、今のところ道内では、「速度違反取締中」などの予告看板を設置して運用しています。

■固定式オービスがなくなっているのは北海道だけじゃない?

 最近、山梨県内の一般道からも全ての固定式オービスが撤去されました。また、京都府の国道1号線からも2箇所撤去されました。広島県に残っていた最後のHシステムも撤去されたとの報告もあり、年度末へ向けさらに全国各地で撤去が進むと思われます。

 それとは逆に移動式オービスの導入は増える傾向にあります。また、複数の拠点と1台の本体で構成される半固定式オービスの広がりも気になるところです。

 オービス全体としては、固定式がどんどん減り、逆に移動式と半固定式が増えてゆく流れのようです。

カメラやアンテナが外されたオービス跡

 オービスの調査のために、筆者オービスガイド 大須賀克巳は年に2〜3回のペースで北海道を訪れてきました。

 調査は、苫小牧→日高→占冠→帯広→士幌→釧路→根室→網走→北見→紋別→名寄→中川→羽幌→留萌→旭川→富良野→滝川→岩見沢→札幌→小樽→ニセコ→せたな→江差→函館→八雲→室蘭→千歳→苫小牧、というルートで移動しながらオービスの記録や撮影をしていきました。

 気をつけなくてはならないのは、道内独特の交通取締りと、野生動物の飛び出しです。そのため安全運転には細心の注意を払っていました。

 道内で多いのがレーダーパトカーやレーザーパトカー(通称:レーパト)による速度取締りです。レーパトは市街地でも海辺でも山中でも絶妙な位置に待機しているので、観光客と思われるレンタカーなどが違反処理をされている場面を何度も目撃しました。

 また、郊外から市街地への入口付近ではレーダー式のネズミ捕りをよく見ました。その辺りは制限速度が60キロから40キロに下がったりするポイントでもあるので、制限速度と走行速度を意識する必要があります。

 とにかく長距離を運転する場合は、景色を楽しみ音楽を聴きながら、のんびり安全運転で走るのがよいでしょう。

 ほぼ全ての固定式オービスが撤去されたことで、北海道全域を巡る調査は今回で最後となります。

この記事の関連ニュース