LAオートショーのプレスデー「AutoMobility LA」にて発表された新型「インプレッサ(北米仕様)」。現地の米国ではどのような反響があったのでしょうか。
■新型インプレッサはどのように変わった?
2022年11月17日、LAオートショーのプレスデー「AutoMobility LA」にて発表された新型「インプレッサ(北米仕様)」。
北米で販売される6代目インプレッサにはさまざまな「変化」が見られました。なかには賛否両論の「変化」もあります。
新しくなったインプレッサ(北米仕様)の変化や特徴は以下の4点です。
1.セダンボディをなくして5ドアハッチバックのみ
2.MT車の設定をなくしてCVTのみ
3.5代目同様、ハイブリッド車の設定はなし
4.11.6インチのスクリーンを採用しインフォテイメントシステムを強化
北米では、5代目インプレッサにおいて販売台数の7割以上がハッチバックであるという状況もあり、6代目からはセダンボディを廃止しました。
インプレッサの派生モデルとなる「WRX」は現行モデルではセダンのみ。インプレッサのセダンは販売比率が低いこと、そしてスポーツセダンの役目は昨年発表された3代目WRXが担うという考えで6代目からはセダンを廃止したと考えられます。
日本では5代目インプレッサからMT車の選択ができなくなりましたが、北米向けは5代目においてもMT車の設定がありました。
しかし、6代目では北米向けも「RS」というスポーツグレード含め、すべてにおいてMT車を廃止しています。
これはMT好きなスバルファンには残念な結果となった模様。ちなみに意外かもしれませんが、アメリカのほうが日本よりもMTが設定される車種数は多くMT車を好む層は一定数いると思われます。
LAオートショーといえば「EV推し」のイベントとして有名です。
カリフォルニア州自体が、国の排ガス基準よりも厳しい基準を設定しており、大気環境保全のためのさまざまな取り組みが長年おこなわれてきました。
そのような背景もあってLAオートショーに出展される新型車はほとんどが最低でもハイブリッドやプラグインハイブリッド車となっています。
そうしたなか、発表時点において純ガソリンエンジンのみという6代目インプレッサの登場は観客を驚かせたようです。
なお、先代となる5代目インプレッサ(北米仕様)には「e-Boxer (マイルド ハイブリッド) 」モデルの設定はありませんでした。
その理由についてかつてスバル オブ アメリカは、「米国市場ではガソリン価格が低く、それほどハイブリッドの需要がないから」としていました。
しかし、近年はアメリカにおいてもガソリン価格は値上がりを続けています。
とくに高騰しているのはカリフォルニアで、筆者が11月に取材に訪れた際、LAのダウンタウンでは1ガロン(3.78L)7ドルを超えていました。
つまり、これを1リッター当たりの燃費に換算すると、日本よりはるかに高い1リッター250円超となるのです。
先に発表されたインプレッサベースの「クロストレック」にはe-BOXERが搭載されていますので、もしかすると北米向けも搭載されるかもしれません。
■新型インプレッサは若者向きになった?「20‐30代の若い人に乗ってもらいたい」と開発主査
アメリカでは「6代目インプレッサは、より若者世代にアピールするクルマに変化した」とさまざまなメディアが伝えています。
確かにデザインも一層スポーティになり、グレードも「RS」は復活したものの、セダンボディの廃止や、それに伴う「プレミアム」グレードも廃止されました。(つまり全体的に高級志向が薄れてスポーツ志向が高まった)
また、若者をターゲットにしたと考えられるもうひとつの装備はワイヤレスのApple CarPlayとAndroid Auto機能を備えた11.6 インチのスクリーンです。
「スポーツ」と「RS」グレードに標準装備されており、コンビネーション メーターと統合されたセンター インフォメーション ディスプレイとしても機能し、オーディオ、気温や湿度、車両機能のオンスクリーン コントロールも備えています。
きなスクリーンは「インフォテインメント」を楽しむには必須の装備といって良いでしょう。
これまでインプレッサに採用された最大サイズは8インチとのことなので、6代目で新採用された11.6インチがいかに大きいかお分かりいただけると思います。
ところで、日本でも近年目にする機会が増えた「インフォテイメントシステム」なる言葉。
これはインフォテインメント【infotainment】=information(情報)+entertainment(娯楽)を合わせた造語で情報と娯楽を融合したシステムのことです。
情報を得ることそのものが楽しみとなるようなサービスのことで、アメリカではスマートフォンやタブレットの普及、車内Wi-Fiなどの普及とともに、需要が高まっています。
もっといえば、インフォテインメントシステムが充実していないクルマは評価が低くなる風潮もあります。
クルマを運転する機能に直接かかわるものではないからか、日本車はこのインフォテイメントへの対応が遅いといわれ、米国では一時期、そのせいでJ.D.パワーなどの調査では低評価となったこともありました。
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最後に会場でお話を伺った6代目インプレッサ開発主査の毛塚紹一郎氏は次のように話しています。
「北米におけるスバル車は新車から10年経っても96%が使用されています。
ほかの日本車に比べても長く、その耐久性の点でも高い評価を頂いています。
新型インプレッサも20‐30代の若い人たちに長い期間、乗っていただけるクルマになると思います」
今回グローバルデビューを飾った新型インプレッサは2024年モデルとして発表されていますが、2023年春には米国での販売が始まる予定で、日本への導入も待ち遠しいです。