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タイヤがパンク! 1本だけ交換しても問題ない? 「4本全部交換がベスト」な訳とは?

くるまのニュース 2023年1月18日 11時10分

タイヤがパンクしてしまったとき、トラブルが発生した1本のタイヤのみを交換するのか、または左右の2本交換か、それとも4本すべて交換するという手もあります。一体どうするのが正しい対処法なのでしょうか。

■同じタイヤなら1本交換でも問題ない?

 運転中にタイヤがパンクしてしまうことがあります。その場合、テンパータイヤ(車載の応急用タイヤ)があれば交換し、ディーラーやタイヤショップ、カー用品店などに駆け込むことになると思いますが、そこで悩むのが「タイヤを何本交換すべきか?」ということです。

 もちろん予算もありますが、とりあえず走れれば良いということで、なかにはトラブルが起きたタイヤ1本だけを交換する人もいます。または、左右のタイヤ2本を交換、それとも4本同時に換えるという選択肢もあります。

 どうするべきか、タイヤ専門店スタッフのK氏に聞いてみました。

「お客さまのご都合や予算で全部交換が難しい場合もありますが、本来であればタイヤ4本を均等に摩耗し交換するのがベストです。

 パンクなどの場合は補修剤などで応急処置をしても、それはあくまで応急であることをご理解いただき、早めの交換をお願いしたいです」

 では、1本のタイヤがパンクしてしまった場合、トラブルが起きたタイヤだけの交換で済ませた場合は何か支障が出るのでしょうか。

「残りの3本の溝が十分にあってまだ使える状態ならば、1本のみの交換でも大きな支障はないと思われます。ただしその場合は、同じトレッドパターン(路面に接する面にある溝や切り込みの形状)のタイヤに交換するという制約はあります。

 というのも、トレッドパターンによってタイヤのグリップ力や排水性、さらにはトレッド自体の高さが違ってしまうと偏摩耗の原因になるからです。

 一概に全部交換しなければいけないというものではないのですが、ほかのタイヤも摩耗しているようであれば、全部交換してバランスを保つほうがクルマへの負担が少なくなるでしょう」(タイヤ専門店スタッフ K氏)

 仮に1本だけ交換したときでも「タイヤローテーション」をしたほうが良いそうです。よく耳にする「タイヤローテーション」のメリットは何なのでしょうか。

「駆動力の伝わるタイヤは、どうしても減りが進行しやすくなる傾向があります。とくにFF(全輪駆動)は前輪が操舵と駆動の両方を担うため、後輪と比較すると全体の減りもショルダー部分の痛みも進行しやすいんです。

 そこで、同じサイズであることを条件に、後輪に付けられていたタイヤを前輪に、前輪のタイヤを後輪に装着することで、4つのタイヤの摩耗状態を均一に近づけさせる手法としてローテーションをおこないます。

 FR(後輪駆動)の場合は駆動輪である後輪が減りやすく、前輪は操舵の関係でショルダー部分が傷みやすいため、状態を見極めつつ前後かクロスで入れ替えることで摩耗を均一化し長持ちさせる効果が期待できます」(タイヤ専門店スタッフ K氏)

 ただし、パンクしていない残りの3本のタイヤが新品に近い状態を除き、基本的に4本すべて交換したほうが良いとされるのは4WD車です。

「4WDの場合、残り3本と新品の1本で路面を掴むグリップ力が違うため、ブレーキングでの制動力にバラツキが出やすいといわれています。

 そうなると車体に無駄な負荷をかけることになり、クルマ全体の劣化が進んでしまう恐れもあります」(タイヤ専門店スタッフ K氏)

■駆動輪に向いていないタイヤとは?

 最近はタイヤをインターネット通販などで購入する人が増えています。

 確かにネット上ではさまざまな種類・価格帯のタイヤが販売されており、安く済ませたい人にとってはメリットもあります。ただし、新品だからといって、駆動輪に装着するタイヤに向いていないこともあるようです。

「先日、左フロントをパンクしてしまったお客さまがおり、安く済ませたいという理由で、FF車の前輪に安いタイヤ、後輪にグリップ力のある別ブランドのタイヤを組み合わせていました。

 この場合、後輪に履かせたグリップ力の高いタイヤを駆動輪である前輪、安いタイヤを後輪に装着したほうがバランスも良いと思います」(タイヤ専門店スタッフ K氏)

タイヤ交換

 タイヤの状態によるものの、別ブランドの別銘柄のタイヤを組み合わせると、それだけでバランスが狂ってしまうとK氏はいいます。本来であれば同一銘柄のタイヤを履かせるのが良いのだそうです。

 現在のクルマはタイヤに性能を依存している部分があり、銘柄によって乗り心地や燃費性能に違いが出てしまうこともあります。

「最近は、新車価格の値上がりや納期遅れなどの関係で中古車を購入する人も多く、中古車はきちんとした整備はもちろん必要ですが、劣化したサスペンションやゴムブッシュ類を交換するには費用や時間がかかります。

 それより純正で装着されるものより少しグレードを上げたタイヤに履き替えれば、操縦安定性や乗り心地が改善することがあります。タイヤはそういった部分も考慮して選んでほしいです」(タイヤ専門店スタッフ K氏)

※ ※ ※

 1本パンクしたからといって4本同時に交換する必要がない場合もあることがわかりましたが、1本交換か2本なのか、それとも4本なのかの見極めは、ベテランドライバーでもなかなか難しいものです。

 タイヤ交換の判断に迷うようなら、タイヤショップなどに相談するのが確実でしょう。

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