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冬タイヤ装着車でもチェーン必須! 異例の大雪時に「チェーン規制」実施! どう対処すべき?

くるまのニュース 2023年1月23日 20時10分

積雪時の新たな規制として「チェーン規制」が2018年12月から加わりました。従来からある「冬タイヤ規制」とどのようなところが異なるのでしょうか。

■4WDでもなんでもタイヤチェーン装着が義務!

 降雪時や積雪時、路面が凍結したときに交通規制が実施されることもありますが、クルマ関連の規制のひとつで今まで以上に強化されたのが「チェーン規制」です。

 2018年12月14日から開始された「タイヤチェーンを装着していない車両は通行止め」といった内容で、今までも同じような規制がさらに強化されたカタチです。

 チェーン規制が実施される区間は、スタッドレスタイヤを履いていても、悪路走破性に優れた四輪駆動車であっても、タイヤチェーンなしでは走行できません。逆にいえば、タイヤチェーンを装着していれば、チェーン規制が実施されても走行することが可能になるということです。

 この規制の強化は、近年の気象の変化が大きく関係しています。年間の積雪量自体は1980年代と大きな差はないものの、24時間での降雪量が多い日が増加傾向。2016年までに観測史上最高を更新する地点が全国で3割以上もあるとされています。

 さらに大雪が原因で立ち往生や通行止めになることも増えており、2017年には鳥取道および周辺の国道でおよそ300台ものクルマが立ち往生したことなどは記憶に新しいところ。

 立ち往生が発生してしまうと、肝心の除雪車も作業できず、さらに長時間交通がマヒしてしまうという悪循環となり、これを解消すべく規制が強化されたといえます。

 チェーン規制は「すべての道路で実施されるわけではない」ということは改めて理解しておきたいところです。

 というのも、スタッドレスタイヤ装着車でもチェーンの装着が義務付けられるのは、前述のように1日の降雪量が異常なほど多いときです。さらに立ち往生や通行止めになりやすい区間に限った話になります。

 大雪でチェーン規制が実施される区間は、現状では全国で13か所が想定されています。

〈一般道〉
 ・山形県:国道112号 月山道路の一部区間
 ・山梨県・静岡県:国道138号 山中湖~須走の区間(籠坂峠)
 ・新潟県:国道7号 大須戸~上大鳥の区間
 ・福井県:国道8号 石川県境~坂井市の区間
 ・広島県・島根県:国道54号 赤名峠
 ・愛媛県:国道56号 鳥坂峠

〈高速道路〉
 ・新潟県・長野県:上信越道 信濃町IC~新井PA
 ・山梨県:中央道 須玉IC~長坂IC
 ・長野県:中央道 飯田山本IC~園原IC
 ・石川県・福井県:北陸道 丸岡IC~加賀IC
 ・福井県・滋賀県:北陸道 木之本IC~今庄IC
 ・岡山県・鳥取県:米子道 湯原IC~江府IC
 ・広島県・島根県:浜田道 大朝IC~旭IC

 ただし、チェーン規制が発令されるタイミングでは周辺道路も同様に大雪の可能性があります。チェーン規制の対象外でも、念のためタイヤチェーンは用意しておいたほうが安全です。

■タイヤチェーンはどのタイヤに装着すれば良い?

 チェーン規制時に必要となるタイヤチェーンは大きく分類して3種類あります。どのタイプも一長一短あり、使用頻度や予算、装着のしやすさなどが異なります。

 大手カー用品のスタッフFさんに聞いてみました。

タイヤチェーン装着時の注意点とは

「定番なのが、安価で昔からある『金属系』と呼ばれる金属製のチェーンをタイヤ型につないだタイプです。亀の甲羅のような編み方と均等にチェーンが張られたハシゴ型があります。

 強度・耐久性などは優れていますが、装着が意外に難しく、重量も重いうえにかさ張るのが難点ですが、チェーン規制では頼りになります。

 もう1種類は『非金属系』と呼ばれるタイプで、弊社でもさまざまな種類をご用意しています。

 タイヤの外周を包むようなゴムやウレタン樹脂製の形状をしており、網目の交差部分に金属製のピンが打たれています。金属系より軽量で乗り心地も良いといわれていますし、初心者でも装着しやすいので、初めてのタイヤチェーンとしておすすめです」

「ここ数年、人気になっているのが『布製』と呼ばれるタイプです。チェーンというよりソックス(靴下)のような形状が特徴で、アラミドなどの特殊繊維でできているため超軽量かつ折り畳みも可能です。

 ただ布製なので、耐久性はほかの2種類には劣ってしまいます。それでも布製チェーンでもチェーン規制では走行可能なので、トランクに常備しておきたい応急グッズのひとつです」

 では、タイヤチェーンはどのタイヤに装着すれば良いのでしょうか。

 これはズバリ、エンジンのパワーを伝達する駆動輪に装着します。FFなら前2輪、FRなら後2輪に装着するのが正解です。

 4WDの場合でもベースとなる駆動輪に装着します。たとえばベースグレードがFFの車種で4WDの場合は前2輪、スポーツカーやクロカンなど2WDモデルがFRの場合は後2輪に装着します。

 4WD車に乗っている人は、所有するクルマがFFベースかFRベースかを事前に把握しておきましょう。

 タイヤチェーンを装着した状態で走行するときは、どのようなことに注意すべきなのでしょうか。元スキーの国体選手経験を持ち、現在でもウインタースポーツを毎年楽しむS整備士にコツなどがあるのか聞いてみました。

「まずはスピードを出しすぎないことです。一般的には金属系のタイヤチェーンは20km/hから50km/h程度、非金属系は40km/hから70km/h程度までといわれていますが、チェーンが切れたり取れたりしてしまう危険性を考慮して、金属系は30km/h以下、非金属系でも50km/h以下、布製は耐久性を考慮すると30km/h以下が好ましいでしょう」

 またタイヤチェーン装着ということは、スタッドレスタイヤのようにホイールにしっかり固定されたものではなく、その上に被せ物をした状態ともいえます。そんな状態での運転での注意点はあるのでしょうか。

「タイヤチェーンは、あくまで降雪や積雪、凍結した路面などで駆動力を路面に伝えるためのものです。速さに適応しているものではなく、スタックせずに前進させるだけという意識が大切だと思います。

 また被せる形状ゆえに、直進ではある程度安定するものの、コーナーなどでは一部に荷重がかかり過ぎたり、よれたりしてしまうこともあります。

 ブレーキ操作も急激な操作をせず原則として直進状態でじんわりと効かせて十分に速度を落とし、コーナーの立ち上がりもアクセルを踏み込みし過ぎないように徐々に速度を乗せる感じで操作したほうが良いでしょう。

 タイヤチェーン装着時は『スローイン・スローアウト』が最善策と覚えておいてほしいです」(S整備士)

※ ※ ※

 チェーン規制が発令されるということは「チェーンなしでは走行が難しい」気象状況ということです。

 できることなら大回りしてでも雪のないルートへ迂回したほうが、結果として「立ち往生」の心配もなく目的地までたどり着けることもあります。

 また、「雪の少ない地域の舗装路しか走らない」という人も、突然の降雪に備えてタイヤチェーンはトランクに常備しておきたいところ。そんなときのために布製のタイヤチェーンならコンパクトに折りたためるのでおすすめです。

 ほかにも、軍手と耐水仕様のカッパやポンチョといった防寒着を用意しておくと良いでしょう。

 雪が降りしきるなかでタイヤチェーンを装着するのは至難の業です。体温の低下を防ぎ作業効率を上げる意味でも、常備しておいて損はないと思います。

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