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買うよりお得? トヨタ新型プリウスが「KINTO Unlimited」で常に最新化!?「所有から共有」が加速する?

くるまのニュース 2022年12月11日 19時10分

トヨタがサブスクリプションの新サービスとして「KINTO Unlimited」を発表しました。納車後のクルマが進化するといいますが、どのようなものなのでしょうか。

■新型プリウスから始まる新たなサブスクとは?

 トヨタは2022年12月7日、サブスクリプションサービス(サブスク)の「KINTO」がさらに進化した「KINTO Unlimited」の詳細をオンラインで発表しました。

 それによると、ユーザーがクルマを使いだした後もソフトウェアやハードウェアのアップグレード、クルマの見守りサービスなどの新サービスを提供していくのに、月額利用料がこれまでより安くなるというのです。

 とても魅力的な話に思えますが、トヨタとKINTOがなぜこのタイミングでこのような試みを実行に移そうとしたのでしょうか。

 まずはKINTOの現状から見ていきましょう。

 今回公開された資料によると、契約者数はサービスを開始した2019年は12月末時点で1200件、それが2020年12月末には累計1万2000件、2021年12月末には累計3万件、そして2022年11月末時点には累計5万2000件で、着実に増えていることがわかります。

 2022年はEVの「bZ4X」への対応や、中古車向けのサブスクサービスを始めるなど、さまざまな手法を講じた効果が現れているようです。

 そんななか、新サービスとして開始される「KINTO Unlimited」で注目されるのは、「アップグレードレディ設計」の採用でしょう。ここでのアップグレードとは、とくに衝撃被害軽減ブレーキやブラインドスポットモニターなど、ADAS(高度運転者支援システム)が重要アイテムとなります。

 近年は自動運転技術などを活用したADASの進化が著しく、フルモデルチェンジだけではなく、マイナーチェンジなどの年次改良でも新車のADAS機能が最新化されることが増えています。

 ユーザーにとっては、せっかく購入した新車の装備が比較的短期間で古くなったような印象を持ってしまうかもしれませんし、それが安全に関することであればとくに気になるでしょう。

 そこでトヨタとしてはまず、新型「プリウス」の一部グレードを足がかりに、新車として市場に出た後にADASを含めたさまざまな機能をアップグレードしやすいように、新車開発の段階から新しい考え方を盛り込んだのです。

 ソフトウェアの書き換えについては、欧米メーカーを含めて一般化している、通信を使ったOTA(オン・ジ・エア)でおこなうことで、その都度アップデートできます。

 ハードウェアについては、「アップグレードレディ設計」をトヨタ初採用。これは、各種配線をあらかじめ仕込んでおき、シートや内張りを外さずにコネクター部を活用してハードウェアを拡張するといった仕組みとなり、世界的に見ても珍しいといいます。

 また、車載のさまざまなECUをつなぐCAN(コントローラー・エリア・ネットワーク)通信から走行データを収集し、トヨタのクラウドサービスで解析した結果をユーザーや販売店にフィードバックしたりアドバイスしたりする「コネクテッドドライブトレーナー」機能も充実させています。

■KINTO Unlimitedに対する販売店の反応は?

 このようにKINTO Unlimitedは、メーカーとしてトヨタがユーザーに対して直接おこなうサービスが一気に拡充した形です。

 従来の自動車流通の方法である、トヨタが製造して販売店に卸売りする「新車売り切り型」ビジネスにも大きな影響を与えるように思えます。

 この点について、オンライン会見で株式会社KINTOの小寺信也社長に聞いてみました。

新型「プリウス」から導入されるサブスクサービス「KINTO Unlimited(キント アンリミテッド)」

 小寺氏は、KINTOを利用しているユーザーの半数以上が年齢層20代から30代で、その多くがクルマを初めて購入する、または中古車から新車への乗り換える人だといいます。

 こうした顧客層はこれまで販売店としてあまり接点がなく、また最近はそうした層が目に見える形で契約者の実数としてのボリュームで増えてしてきた点を説明。

 そのうえで、販売店は従来の販売事業を補完するという視点で、KINTOの存在価値を認めてくれるようになっているといいます。

 トヨタとしても、新型プリウスの販売店向けにおこなった事前製品説明会において、KINTO Unlimitedについて丁寧に説明をしており、販売店からは十分な理解を得ているとの見解を示しています。

 サブスクを含めた、クルマの「所有から共有」に関する市場動向に対する考えについても聞いてみました。

 これについては、市場変化は当初の想定からあまり大きく外れていない印象で、2020年代に緩やかに「所有から共有」へのシフトが進むという見立てだといいます。

 直近でも、ほかの自動車メーカーやガソリンスタンド系、またカーリース系の企業がクルマのサブスク事業を拡充してきており、クルマのサブスクへのニーズが着実に芽生えていることを実感しているとのこと。

 そのうえで、サブスクへのシフトを加速させるためにはサービスの魅力をさらに高める必要があるとして、過去2年間にUnlimitedを検討してきたとのことです。

 今回の新サービスによって、ユーザーには追加で付加価値を提供し、なおかつ月額利用料を下げることで、KINTO事業の成長のスピードを加速させたいということです。

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