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オービス設置費用は3000万円超え!? 撮れない速度ある? さまざまな”噂”の真相を専門家に聞いてみた!

くるまのニュース 2022年12月16日 10時10分

クルマを運転していると気になるのが速度超過を自動的に取り締まる「オービス」の存在。今回「オービスガイド」を手掛ける大須賀克己氏に、オービスにまつわる「噂」についてその真偽を聞いてみました。

■より安全な“公道”へ? 高度化する速度取締

 高速道路や道幅の広い国道などを走っていると目にするのが、速度超過を自動的に取り締まる装置、通称「オービス」。

 このオービスには、「オービスに取れない速度がある」や「オービスの価格は1000万円を超える」などさまざまな噂があります。

 このような噂の真偽について、オービスに詳しい大須賀克己氏に聞いてみました。

 大須賀克己氏は、オービス(速度違反自動取締装置)の運用情報共有サービス「オービスガイド」の運営やアプリ開発を10年以上手掛けています。このアプリから投稿されるリアルタイムな情報や独自の取材で入手した情報などから交通取締りについて日夜研究しています。

 大須賀氏は、これまで日本全国の道を実際に数十万km走り回ってきたドライバーでもありますが、無事故・無違反でゴールド運転免許を3連続更新中。

 そんな大須賀氏に、巷で騒がれるオービスについての「噂」をいくつかピックアップし、その真偽についてヒアリングしてみました。

――まず現在、「オービス」には、どのような種類があるのでしょうか。

「オービスには大きく分けて『固定式』『半固定式』『移動式』の3種類があります。

 固定式オービスは、道路を跨ぐような支柱上や路肩に機器がしっかりと設置されています。一方で、半固定式オービスは、オービス本体を設置するための土台となる拠点のみが数箇所用意されていて、オービス本体は各拠点を移動します。

 さらに近年登場した移動式オービスは、ひとりで持ち運びができるサイズで、どこにでも設置できます」

■オービスの価格についての噂

――固定式オービス(LHシステム)や移動式オービスっていくらくらいなのでしょうか?

「少し古い2018年頃の情報ですが、例えばLHシステムというタイプのオービスは設置工事費込みで3000万円から3500万円が相場でした。ただし設置場所や複数車線に対応させるのかなどによっても差が出るようです。

 LHシステムは道路にコイルを埋設するなど大掛かりな工事が必要で工期も長くかかり、特に高速道路への設置では車線規制を伴うので苦労しそうです。

 また固定式オービスの場合、設置して終わりでなくその後もメンテナンスなどの維持管理費も必要になります。

 ちなみに最近増えている持ち運びができる移動式オービスは、700万円から1000万円程度です」

■固定式が撤去されて、移動式に移行しつつあるという噂

――固定式が撤去されて、移動式に移行しつつあるというのは事実なのでしょうか?

「本当です。私が全国の固定式オービス設置箇所を実際に訪れて調査したところ、今年2022年に入り約50箇所もの固定式オービスが撤去されているのを確認しました。

 北海道をはじめいくつかの自治体では、一般道から固定式オービスが消滅しています。それに代わって増えているのがやはり移動式オービスです。

 場所が覚えられると効果が下がる固定式オービスに比べ、移動式オービスは神出鬼没で速度抑止効果が高いと思われますし、数台導入すれば県内全域をカバーすることができ効率的です」

■顔が判断しにくい場合の噂

――オービスに撮られた写真がマスクや濃いめのサングラスなどを着用し、本人確認が困難な場合、オービオスで取り締まれないという話は本当なのでしょうか。

「本人確認が困難な度合いによると思いますが、最近のオービスはとにかく鮮明に写るようです。

 移動式オービスはカラー撮影が主流になり、固定式オービスの中にもカラー撮影ができるモデルが大阪府吹田市に設置されました。

 他人のクルマを運転していたなど特殊な状況を除き、クルマのナンバーとその所有者の関係がある以上、多少顔が隠れていた程度では逃げ切れないでしょう。

 警察が本気になれば、オービスに撮影された前後の足取りも追えるのでナンバーや顔を隠すなどの行為はやめたほうが良いですし、そもそも撮影されない安全な速度で走ることが大事です」

■オービスが撮影できない速度についての噂

――オービスに取れない速度はあるのでしょうか?

「資料によると確かに対応できる速度の限界はあるようです。ここでどのオービスが時速何キロ以上は撮影できないなどと書くと問題があるので具体的な情報は控えますが、かなりの無謀な速度超過にも対応できます。

 ちなみに、北海道や千葉県が導入しているMSSSという移動式オービスは、夜間でも300キロで走るクルマのナンバーと運転手を鮮明に撮影できる性能があります」

※ ※ ※

 今回、大須賀氏にさまざまな“オービスの噂”について見解をお聞きしました。

 直近では、神出鬼没な移動式オービスや探知機にも反応しにくいオービスも出現しており、違反者を取り締まるための取り組みは高度になっているようです。

 高度になっていくことで、違反車が減少し、悲しい交通事故がなくなっていくことが切に願われます。ドライバーひとりひとりが、制限速度を意識しながらゆとりある運転をすることが推奨されます。

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