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なぜ「初日の出暴走」は見なくなった? かつての迷惑風物詩の現状は? 集団暴走はどんな違反になるのか

くるまのニュース 2022年12月31日 9時10分

元旦恒例のニュースとしてかつては「初日の出暴走」が度々テレビなどで取り上げられました。最近ではあまり見かけなくなった気がしますが、このような集団暴走はどういった違反になるのでしょうか。

■かつては多かったお正月の「初日の出暴走」はどうなった?

 かつて、大みそかから元旦の年末年始にかけて集団で暴走行為をおこなう「初日の出暴走」が多く見られました。
 
 最近ではあまり見かけなくなったようですが、こういった集団暴走はどういった違反になるのでしょうか。

 年末年始の風物詩と化していた初日の出暴走は、1980年代頃から注目されるようになり、厳しい警察の追跡を振り切って目的地にたどり着くスリルをゲーム感覚でおこなっていました。

 当時、警察の取り締まりが厳しいながらも改造車を運転して初日の出暴走をおこなう人達の様子がさまざまなメディアで放送されていました。

 ときにはライブで現地中継もされるなど大きな話題となり、初日の出暴走はさらに注目を集めていました。

 そういった注目を楽しむかのようにさらに過激になっていったという時期もあったようですが、近年では初日の出暴走が取り上げられる機会は減少しています。

 首都圏の警察署の担当者は、以下のように話します。

「1980年代から2000年代の最初の頃は、年末年始に違法改造車で暴走することが恒例行事となっていました。

 そのため、警察では年末年始における初日の出暴走の取締りを強化し、パトカーや白バイ数百台体制で守り、違法改造車などの暴走族の通過を止めるなどの対策を実施しています。

 しかし今では、当時よく見かけていたいわゆる『暴走族』といった集団は滅多に見かけることがなく、実際に2022年も『初日の出暴走』における検挙数は非常に少ないものとなっています」

 実際、初日の出暴走の中心とされている暴走族自体が減少傾向にあります。

 警察庁が公表している、2016年から2020年度における暴走族の検挙人数によると、道路交通法違反で検挙された暴走族の人数は2016年には1万88人だったのが、2020年には8098人と、徐々に減少傾向であることがわかります。

 そんな徐々に減少傾向にある初日の出暴走ですが、警察ではさまざまな対策を実施している様子が伺えます。

 実際に神奈川県警察では「年末年始における暴走族取り締まりの強化について」として、年末から年始にかけて県内全域で「暴走族の取り締まり」「騒音運転等をする旧車會の取り締まり」「不正改造車の取り締まり」を実施するとして、「暴走族撲滅」を掲げています。

■「初日の出暴走」はどんな違反に該当する?

 かつて問題となっていた初日の出暴走ですが、道路交通法第68条の「共同危険行為等禁止違反」に該当するとして取締りを受ける対象となります。

 道路交通法第68条では、以下のように説明されています。

「2人以上の自動車又は原動機付自転車の運転者は、道路において2台以上の自動車又は原動機付自転車を連ねて通行させ、又は並進させる場合において、共同して、著しく道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく他人に迷惑を及ぼすこととなる行為をしてはならない」

 この共同危険行為等禁止違反に該当してしまった場合、25点の違反点による運転免許の取消し(欠格期間2年)にくわえて、刑事罰として2年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。

 これは集団暴走ではなくても箱乗りといった危険行為は道路交通法第70条の「安全運転義務違反」に該当する可能性があり、厳しく対処される場合があります。

過去におこなわれた中央道・談合坂サービスエリアでの特別街頭検査の様子

 道路交通法第70条では、以下のように説明されています。

「車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない」

 安全運転義務違反と見なされた場合は、普通車では違反点数2点、反則金9000円が科せられます。

 ちなみに安全運転義務違反は、「操作不適」「前方不注意」「動静不注視」「安全不確認」「安全速度違反」「予測不適」「その他」の7つに分けられています。

※ ※ ※

 暴走族の実情について、前出の担当者は次のように話しています。

「暴走族の大半は18歳未満の少年となっています。

 そのなかにはもちろん中学生や高校生も含まれており『学校がおもしろくない』『大人数で暴走するのが楽しそう』といった、少しの好奇心でこういった行動をとってしまう子が多くいます」

 そのため家族などの身近な人は、自分の子どもに変わった様子がないかきちんと確認し、「ダメなものはダメだ」と伝える必要があります。

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