C-HRはTNGA GA-Cプラットフォームを用いたコンパクトSUVです。2022年12月5日には欧州で次期型を示唆するコンセプトモデルが登場しましたが、現在同クラスには「カローラクロス」もラインナップされています。まったくキャラの違う2モデルを比較します。
■欧州のライバル勢に負けない強い個性を重視した「C-HR」
トヨタの欧州部門は2022年12月5日、2代目となる新型「C-HR」を示唆するコンセプトカー「C-HRプロローグ」を初公開しました。
そんなC-HRは2016年デビューの「キャラ強め」なコンパクトSUVで欧州Cセグメントに位置しますが、同クラスにはほかにも「カローラクロス」があります。2モデルの違いはどこにあるのでしょうか。
現行型(初代)のC-HRは、2016年12月に発売されました。
前年の2015年12月に登場した4代目「プリウス」で初採用された新開発のTNGA GA-Cプラットフォームを用いて、欧州を中心に世界の道で熟成を図ることで走りの性能を高めたモデルです。
当時コンパクトSUVセグメントでは、上位セグメントに比べデザイン性を重視したスタイリッシュなライバル車も多かったことから、他社に負けない個性を持つ独創的なクーペ風のスタイルとするため、欧州、米国、日本の各トヨタデザインセンターが手を組みスタイリングを担当しました。
日本仕様では、1.2リッターガソリンターボエンジン車と1.8リッターハイブリッド車が設定されています。
そして初公開された新型コンセプトカーのC-HRプロローグも、その初代C-HRのDNAを忠実に受け継いだとトヨタは説明します。
ワイドに張り出した前後タイヤまわりの大胆なフェンダー形状と、コンパクトに見えるキャビン表現によるスポーティなフォルムは未来的であると同時に、初代C-HRとの強いつながりも感じさせます。
実は初代C-HRも、発売前の2014年10月のフランス・パリモーターショーと、翌2015年9月のドイツ・フランクフルトモーターショーに出展された「C-HRコンセプト」のデザインをほぼそのまま踏襲し市販化された経緯があります。
トヨタでは、新しいC-HRプロローグも同様のデモンストレーションだとし、近々これがほぼそのままのスタイリングで新型(2代目)C-HRに展開されることを示唆します。
また新型C-HRでは、ハイブリッド車に加え、PHEV(プラグインハイブリッド)車も設定されるとしています。
■「カローラクロス」が目指すのは「期待を超える車格感と使い勝手のよさ」
一方カローラクロスは、1966年以来グローバルで展開されるトヨタの世界戦略車「カローラ」シリーズに2020年に追加されたコンパクトSUVです。
まずタイで発表されたあとグローバルで展開され、日本デビューは2021年9月でした。
C-HRやプリウス、そして他のカローラシリーズ同様に、カローラクロスもTNGA GA-Cプラットフォームをベースに開発されています。
タイでの発表時、トヨタはカローラクロスについて「ユーザーの期待を超える『車格感(力強さを感じさせる外観)』+『ユーティリティ(使い勝手の良さ)』の両立を目指し開発した」モデルだと説明しています。
C-HRがまずなによりも個性を重視し「濃いめ」なキャラなのに対し、カローラクロスは真逆な「優等生」なキャラであることを主張しています。
日本仕様では、1.8リッターガソリン車と1.8リッターハイブリッド車が選択できます。
現行型(日本仕様)同士でボディサイズを比較すると、C-HRは全長4385mm×全幅1795mm×全高1550mm、ホイールベース2640mmに対し、カローラクロスは全長4490mm×全幅1825mm×全高1620mm、ホイールベース2640mmです。
ホイールベースは共通ながら、C-HRは全体に低くコンパクトなことがわかります。
さらに実車を見比べてみると、低くワイドに構えるC-HRの大胆なフォルムが放つ強い存在感は、デビュー6年が経過した今も変わりません。
一方カローラクロスは窓も大きく全体に堂々としたスタイリングで、寸法以上に立派です。
室内も、スポーツカー風の包まれ感があるC-HRに対し、前後席、荷室ともにゆとりがあるカローラクロスと、外観同様に対照的な仕上がりとなっています。
このようにC-HRとカローラクロスは、同じTNGA GA-Cプラットフォームを使い、全長4.4m級と比較的近いボディサイズとしながらも、まったく異なるコンセプトで巧妙に造り分けされたことがわかります。
新型C-HRの市販モデル登場時期は明らかにされていませんが、現行型同様にカローラクロスとどのような違いをみせてくるのか、期待が高まります。