故郷への帰省や行楽のため、年末年始などは高速道路の渋滞が特に激しさを増します。そんななか道路標識には「ここから渋滞◯◯km」といったリアルタイムな情報が掲示されていますが、どのように調べているのでしょうか。
■計測手段は3つ! リアルタイムで渋滞情報を集める「方法」とは
長距離移動の際に非常に便利な高速道路では、たびたび交通渋滞発生しますが、そんな時に参考になるのが電光掲示板やラジオ、インターネットなどを通じて発信される「渋滞情報」です。
渋滞距離や、通過するのにどのくらいの時間がかかるのかを「ここから渋滞◯◯km」などとリアルタイムで教えてくれますが、では一体どうやって計測しているのでしょうか。
高速道路会社のNEXCO(ネクスコ)3社によると、渋滞の定義は「時速40km以下で低速走行あるいは停止発進を繰り返す車列が、1km以上かつ15分以上継続した状態」とされています。
渋滞の情報はこの定義に基づき電光掲示板などに表示されます。
そして時速50kmを越えて車列が流れるようになれば渋滞解消とみなされ、渋滞表示は消える仕組みとなっています。
つまり渋滞情報を表示するためには、車の速度が時速40km以下になっていることを測定する必要があります。
また、高速道路の渋滞は大きく分けて「道路の交通容量以上に交通が集中することに起因するもの」「交通事故ゆえに起因するもの」「高速道路における維持改良工事に起因するもの」の3つに分類されています。
なかでも渋滞情報をリアルタイムで発信する必要があるのが、交通集中による渋滞で、どこでどのくらいの長さの渋滞が発生しているのかを確認しなければなりません。
このように道路が渋滞しているかどうかを測るには、主に3つの計測方法があります。
ひとつめの計測方法は「トラフィックカウンターによる計測」です。
高速道路には「トラフィックカウンター」と呼ばれる計測器が埋め込まれています。
トラフィックカウンターにはループコイル式、画像処理方式、超音波方式があり、場所によって最適な方法で計測をおこなっています。
まずループコイル式は、道路に埋められたコイル(磁気センサー)に電流を流し、車両が通過することによる磁気の変化を利用して速度を計測します。
画像処理方式ではCCTVカメラを使用し、車間距離や移動速度などを画像認識技術により渋滞を検出します。
超音波方式は、超音波を一定周期で発射し、反射波を用いて交通量を計測しています。
各トラフィックカウンターは首都圏近郊では2kmおき、首都高速道路では300mから600mの間隔で設置されており、通行した車両の台数や小型車・大型車などの判別、通過速度などを計測し、その情報はリアルタイムで道路交通管制センターに送られています。
■渋滞計測機器の情報に加え「人の目」による「報告」も集約されていた
ふたつめの計測方法は、黄色いパトロールカーに代表される巡回車両からの報告です。
各高速道路会社に所属する交通管理隊はパトロールカーに乗務し、24時間365日体制で高速道路の巡回をおこなっています。
黄色い車体に赤い警戒のシマ模様が目立つパトロールカーですが、地域によっては白いパトロールカーも存在し、共に巡回業務をおこなっています。
その業務は道路の情報収集や落下物の排除など、道路上の異常を察知して処理をすることです。
高速道路で安全かつ円滑な走行ができるよう、常にパトロールをしています。
こうした巡回業務のなかでも、渋滞の発生状況を調べることも重要な仕事のひとつです。
交通管理隊は交通渋滞を発見すると、ただちに無線で道路交通管制センターに報告をしています。
計測機器のトラフィックカウンターは、渋滞の発生しやすい首都圏近郊には数多く埋め込まれていますが、日本中全ての道路で同じように設置されているわけではありません。
常にさまざまな道路を巡回し、目視で道路状況を確認できる交通管理隊からの情報が、渋滞情報の把握には必要不可欠となります。
3つ目の計測方法は、料金所係員による連絡です。
料金所付近で渋滞が発生した場合、目視で確認した料金所の係員が、速やかに道路交通管制センターへ報告をします。
渋滞が発生しやすいインターチェンジ付近の渋滞情報を料金所の係員みずから知らせているのです。
このようにさまざまな場所で計測機器と人の目により確認された情報は、道路交通管制センターで一元化。
常に変化し続ける渋滞情報を、24時間365日のリアルタイムでいち早く発信することを可能にしています。
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高速道路は信号のある交差点もなく、快適な走行と移動時間の短縮ができます。
しかしその一方で、いったん渋滞にはまってしまうと抜け出すことがなかなかできません。
どこからどこまで渋滞しているのかわからないままの運転はストレスがかかり、事故に繋がる恐れもあります。
その意味でも、高速道路上の渋滞情報はドライバーにとって欠すことができない非常に重要な案内といえるでしょう。