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年末年始はクルマのトラブルに要注意! 未然に防ぐ方法は? 冬に起こりがちなトラブル対処法

くるまのニュース 2022年12月30日 14時10分

冬ならではのクルマのトラブルに備えておきたい時期になりました。地域によっては雪や凍結といった事態にも対応できるようにしておきたいところですが、どんなトラブルが起きやすいのか、未然に防ぐ準備、起きてしまった場合の対処法をプロに聞いてみました。

■ロードサービス出動上位を占めるトラブルとは

 気温がグッと下がり、冬ならではのクルマのトラブルに注意すべき時期になりました。

 冬に起こりがちなトラブルにはどのようなことがあるのでしょうか。

 全国でロードサービスを展開しているJAFの統計によると、2021年冬の一般道での出動要請理由は、例年と変わらずバッテリートラブル、タイヤのトラブル、落輪・落込などが上位となっていて、合わせて全体の6割強を占めました。

 高速道路での出動要請は、タイヤのトラブルや事故に加え、燃料切れなどが多いといいます。

 とくに年末年始はクルマで出掛ける機会も多く、トラブルが起こりがちです。どのようなトラブルに注意すべきなのか、神奈川県の整備工場に勤務するH整備士に聞いてみました。

 まずはもっとも多いトラブルとして挙げられているバッテリーですが、なぜ冬に不具合が起きやすいのでしょうか。

「冬にバッテリーの電圧が下がる原因は、外気温が考えられます。通常の鉛バッテリーにはバッテリー液が入っており、気温が下がれば液体の温度も下がります。そうなるとオルタネーターで発電された電気を充電する効率が著しく低下してしまいます。

 それに加えてエアコンなどの使用で電力消費が増えることから、蓄電量が不足した状態となったバッテリー上がりが起きてしまうんです。

 とくに冷え込みが厳しい早朝や深夜などはバッテリーの能力が下がりやすくなるので、電圧の低下などがないかチェックしておくと良いと思います」

 最近のヘッドランプはLEDが増えていているのでヘッドライトの明るさでは判断しにくくなっていますが、エンジンの始動性が悪化したり、ルームランプが暗く感じる、パワーウインドーの開閉速度が遅いと感じたりする場合は、バッテリーが弱くなっている可能性が高いそうです。

 手軽にできるバッテリー上がりへの対策方法はあるのでしょうか。

「クルマを停めているのが自宅、または駐車場で電源が確保できるのであれば、バッテリー充電器でバッテリーを充電しておくのも良いでしょう。

 最近はフル充電すると自動で過充電を防ぐ機能が搭載されているものも多いので、駐車場に停めたらバッテリー充電器をつないでおくというのも冬対策の有効な手段だと思います」(H整備士)

 しかし、トラブルというのは予期せぬときに起きるもの。電源を確保できない出先などでバッテリー上がりしてしまうこともあり得ます。

「そういった心配がある人は、とりあえずエンジンが始動できるジャンプスターターを常備しておくのがおすすめです。

 以前は、エンジンがかかったクルマのバッテリーとつなぐことで電源をお裾分けしてもらえるジャンプケーブルが一般的でしたが、最近ではモバイルバッテリーを内蔵したジャンプスターターが普及してきました。

 これなら周囲に協力をお願いできるクルマがいなくても、本体をつなぐだけでエンジンが始動できます」(H整備士)

 バッテリーの次に多いタイヤのトラブルですが、気温の低下とともに空気圧も不足し、タイヤがよれてしまうことがあります。タイヤに関して事前にできる対策はあるのでしょうか。

「もともとタイヤの空気は徐々に抜けていくものですが、気温が下がると空気圧の低下が早まります。

 そうなるとタイヤがたわんで変形してしまうことで、真っ直ぐ走れなくなったりステアリング操作に違和感が出てきたりするだけでなく、最悪の場合はタイヤのパンクを引き起こしてしまうこともあるんです。

 違和感を覚えるようなら、ガソリンスタンドで給油するついでにタイヤの空気を補充しておくと良いでしょう」(H整備士)

■雪で路面が見えないときは落下や脱輪に注意

 冬のレジャーといえばスキーやスノーボードなどが人気ですが、スキー場まで除雪されている舗装路ばかりとは限りません。

 雪などで路面にある凸凹や隠れてしまった障害物などを踏んでしまったり、思わぬところで落下や脱輪したりすることがあります。

雪道などでは脱輪に気を付けたい

「側溝にタイヤが落ちてしまう、または障害物にホイールやボディの下回りを当ててしまうと、速度や溝の深さ障害物の大きさにもよりますが、ホイールのアライメントが狂ったり、エンジンの下回りが大きくへこんでサビが発生しやすくなったりするなど、新たなトラブルの原因にもなりかねません。

 視界不良の場合もありますが、あまり端っこを走らないというのも重要かもしれません」(H整備士)

 側溝などに落下(落輪)して自力での脱出が難しいようであれば、JAFなどのロードサービスを呼ぶことになりますが、なかなか来てくれないときもあります。そうならないためにも悪天候の場合はとくに慎重な運転を心がけたいところです。

 また、万が一の事態に備えて牽引ロープなども用意しておくと、さらに安心できそうです。

 身近な冬のトラブルで考えられるのが、窓ガラスの凍結です。朝起きたらフロントガラスが凍結していることがありますが、すぐに出発しなくてはならないときはどう対処したら良いのでしょうか。

「昔ながらの方法ですが、暖機運転(アイドリング)とスクレーパーを使うのが効果的でしょう。

 エンジンをかけエアコンもオンにしてからデフロスタースイッチを押せば、ウインドーに温風が当たります。

 これで凍結が少し解けるのを待ち、解け出したらスクレーパーで取り除くのが確実です。スクレーパーは傷がつきにくいシリコン製がおすすめです」(H整備士)

 最近では雪を解かしやすい解氷スプレーなども販売されているのですが、H整備士はおすすめしないといいます。

「解氷スプレーの主成分はアルコールなので、窓ガラスやボディのコーティングに悪影響を及ぼす可能性が高いんです。

 多少時間はかかりますが、溶剤系はあまり使用しないほうがクルマのコンディションを維持しやすいと思います」

 ディーゼルエンジン搭載車に乗っている人に注意してもらいたいのが、季節や地域によって販売・使用される軽油の種類が違うことです。

「ガソリンや軽油は石油から製造される燃料ですが、原油を加熱して蒸留する温度が違います。

 低温でも蒸発し燃えやすいガソリンに対し、軽油は低温では着火しにくいという特性を持っており、氷点下など極端に低温になると軽油のグレードによっては凍ってしまうこともあります」(H整備士)

 適合しないグレードだと、仮に凍らなかったとしても、気温の低下で粘度が増してしまい、不完全燃焼も起きやすくなります。

 軽油には「特1号」と呼ばれるものから、寒さに強い「3号」や「特3号」などのグレードがあり、寒冷地では寒さに強いグレードの軽油を販売しています。

 寒冷地に行ったときは、現地で軽油を給油することを忘れないようにしましょう。

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