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違反の可能性も? 定番化する「ワンタッチウインカー」 SNSでは「使いにくい!」という声も

くるまのニュース 2022年12月22日 14時10分

レバーを軽く倒すだけでウインカーが数回点滅する、通称「ワンタッチウインカー」。一部では不評な声もあるようですが、そもそもどういった機能なのでしょうか。

■「ワンタッチウインカー」のメリット・デメリットは?

 近年のクルマで採用されることが増えた装備のひとつに「ワンタッチウインカー(ワンタッチターンシグナルなどメーカーにより異なる)」があります。
 
 一度レバーを倒せば数回ウインカーが点滅する機能ですが、一体どのような場面で役に立つのでしょうか。

 クルマを運転する場合、交差点などを曲がる際や車線変更をする際など、進路を変えるときにはクルマの前後と中央にある橙色のウインカー(方向指示器)を出し、周囲の交通に対し自車の進行方向を伝えます。

 ウインカー操作は、国産の右ハンドル車の場合、ハンドル付け根の右についているレバーを上に倒すと固定され左ウインカーが、下に倒すと固定され右ウインカーが点灯します。

 ウインカーレバーを軽く倒すと固定されず、倒している間だけウインカー点灯が可能なほか、ウインカーレバーが倒れて固定された状態でハンドルを一定角度以上回転させ、まっすぐに戻すとすぐに固定が解除され、ウインカーは消灯します。

 一方で、近年の新型車に採用されることが増えてきたいわゆる「ワンタッチウインカー」は、レバー操作は同様ですが、一度点灯させる動作をすると、すぐに戻しても3回から5回などしばらく点灯を続ける仕組みになっています。

 これにより、車線変更などで大きなハンドル操作を伴わない場面で、レバーの戻し忘れによるウインカー消し忘れに有効であるとされています。

 たとえばトヨタ「ヤリス」の説明書では、「左側へ車線変更(レバーを途中まで動かして離す)左側方向指示灯が5回点滅します」、「右側へ車線変更(レバーを途中まで動かして離す)右側方向指示灯が5回点滅します」と記載。

 日産「ノート」の説明書では、「コンフォートフラッシャー機能」として「スイッチを2(中間位置と固定位置の真ん中)の位置まで上または下に押さえたあと、すぐに手を離したときは3回点滅し消灯します」と記載されています。

 そのほか、マツダでは「スリーフラッシュターンシグナル」として、三菱も3回点灯させる機能を設けています。

 そんなワンタッチウインカーですが、SNSでは評判がよろしくないようです。

「合図としては3回じゃ不十分では?」「BMWだとディーラーで5回にできた!」「たった3回の点滅しかしないワンタッチウィンカーをありがたがるやつは交通ルール見直せよ」「間違って(ウインカーを)出したら3回点灯をキャンセルできないから不便」など、点滅回数や使い勝手に疑問を抱くユーザーが多く見受けられました。

■便利な「ワンタッチウインカー」 交通ルール上はNG?

 賛否両論あるワンタッチウインカーですが、交通ルール上はどうなのでしょうか。

ワンタッチウインカーに頼らず状況に合わせた合図が必要(画像はトヨタ「シエンタ」)

 道路交通法施行令第21条では、ウインカーの点灯するケースについて「交差点30メートル手前」「進路変更する3秒前」とされており、進路変更をする場合は3秒前にウインカーを出したあと、完了するまで合図を継続しなければなりません。

 また、ウインカーの使用については、道路交通法第53条にて「車両の運転者は、左折、右折、転回、徐行、停止、後退、または同一方向に進行しながら進路を変える時は、方向指示器または灯火により合図をし、かつこれらの行為が終わるまで当該合図を継続しなければならない」と定められています。

 一方、SNSの意見のひとつにあった「合図として不十分ではないか」という点について、3回点灯する場合のワンタッチウインカーの場合、点灯時間と法律を照らし合わせると、場合によっては合図不履行になる可能性も考えられます。

 警察署交通安全課の担当者は、ワンタッチウインカーでの進路変更について以下のように話します。

「ワンタッチウインカーの点滅時間が約3秒だと仮定すると、3秒前にウインカーを出さなければならないので進路変更する直前、もしくは進路変更中に点滅が消えてしまう可能性があります。

 当然ながら、進路変更する際にウインカーが出ていない場合は、合図不履行違反にあたる可能性があります」
 
 仮にウインカーを正しく使用しなかった場合には、「合図不履行違反」として、違反点数1点、反則金は普通車の場合6000円が科せられます。

※ ※ ※

 ワンタッチウインカーはメーカーにより5回の場合や3回の場合があります。また、車種によりメーターから設定できるものや、ディーラーで変更できることもあるようです。

 しかし、ワンタッチでウインカーを点灯させられるという便利さはありますが、周囲のクルマや人などに対して、確実な合図としては不十分ともいえます。

 ワンタッチウインカーだけに頼るのではなく、周囲の交通状況に合わせた適切なタイミングでウインカーを点灯させることが大切です。

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