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車の「速度超過」1キロ超えでも違反! なのに…捕まらない? 関係する「スピードメーター」の仕組みとは

くるまのニュース 2023年1月11日 11時10分

クルマを運転する際は決められた速度を守る必要がありますが、時速1キロでもオーバーした場合はスピード違反となるのでしょうか。

■スピード違反は1キロオーバーでもアウト?

 クルマを運転する際、道路によって法定速度が決められています。では時速1キロでもオーバーしてしまうのは違反となるのでしょうか。

 道路の速度制限について、道路交通法第22条第1項で以下のように定められています。

「車両は、道路標識等によりその最高速度が指定されている道路においてはその最高速度を、その他の道路においては政令で定める最高速度をこえる速度で進行してはならない」

 条文の「政令で定める最高速度」とは、道路交通法施行令第11条および第27条で決められた速度のことです。

 たとえば道路標識などで速度が示されていない一般道路や自動車専用道路、高速道路の非分離二車線区間では自動車が時速60キロ、原動機付自転車が時速30キロというように最高速度が決められています。

 また、道路標識などで速度が指定されていない高速道路においては、大型乗用自動車や中型乗用自動車、普通自動車、大型・普通自動二輪車などは時速100キロ、大型貨物自動車や大型特殊自動車などは時速80キロと最高速度がそれぞれ定められています。

 道路交通法第22条の規定では「最高速度をこえる速度で進行してはならない」と決められていますが、時速1キロでもオーバーすれば交通違反になるのでしょうか。

 結論からいうと、速度を時速1キロでもオーバーすれば交通違反となります。ですが、警察官が時速1キロの速度オーバーをただちに取り締まることはないでしょう。

 これには、スピードメーターの指し示す速度が関係しており、自動車のスピードメーターが示す速度と実際に出ている速度には上下ともに若干の誤差があり、その誤差を考慮して取り締まりをおこなうことが理由にあげられます。

 自動車のスピードメーターについて、道路運送車両の保安基準の細目を定める告示第148条「速度計等」で示された基準に適合したものを取り付ける必要があります。

 たとえば、2006年12月31日までに製造された普通四輪自動車の場合、自動車のスピードメーターの実際に計測された速度が以下のような数式に適合しなければいけません。

「10(V1-6)/11≦V2≦(100/90)V1」

 この場合、数式のV1は自動車に備えるスピードメーターが示す速度、V2は速度計試験機を使って実際に計測した速度をあらわしており、たとえばスピードメーターが時速40キロを示したときには、実際の速度が「時速30.9キロから時速44.4キロ」の間に収まるようにしなければいけないということです。

 それと同様に、2007年1月1日以降に製造された普通自動車の場合は、実際の速度が「10(V1-6)/11≦V2≦(100/94)V1」という数式で、つまり時速40キロの場合「時速30.9キロから時速42.55キロ」の範囲に収まるようにしなければいけません。

 この基準を考慮すると、車種によってばらつきはあるかもしれませんが、スピードメーターが示す速度と実際の速度にはおおむね時速10キロ程度の誤差が出る可能性があると考えられます。

 警察庁の公表している「道路交通法違反の取締り状況」では、2021年中のスピード違反の取り締まり件数は106万4818件で、そのうち時速20キロ以上25キロ未満のスピード違反が36万2808件であるのに対し、時速15キロ未満は198件、つまり速度取り締まり全体の0.02%程度と極端に少ない件数になっています。

 これらのことから、スピードメーターの誤差の範囲内である時速10キロ程度の速度超過であれば「しても良い」と推奨はできないものの、警察に取り締まりを受ける確率は低いといえるでしょう。

※ ※ ※

 ただしスピードを出すと交通事故の原因となるおそれもあるため、スピードメーターの誤差はあくまで参考程度とし、決められた速度を守ることが大切です。

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