速度超過を取り締まる手段として有名なのが「速度違反自動取締装置」(通称オービス)です。オービスが光った際には強烈な赤い光をイメージしますが、なぜ赤く光るのでしょうか。
■なぜ固定式オービスの多くは赤く光るのか?
速度違反を取り締まる装置として、高速道路や一般道路には「速度違反自動取締装置」(以下、オービス)が設置されています。
速度超過を検知した場合赤くピカっと光りますが、フラッシュの色が赤色なのにはどのような理由があるのでしょうか。
一般道路では速度制限の標識がない場合60km/hの上限が設けられており、高速道路では最高でも120km/hまでとなっており、それ以上の速度では走行できません。
各道路においては、このような速度制限がしっかりと守られているか、適宜取り締まりがおこなわれており、取り締まる方法のひとつに「速度違反自動取締装置」(通称:オービス)が挙げられます。
オービスは、速度制限を超えて走行する車両がいた場合に速度違反車両として電子カメラで写真を撮影して記録に残しておくことができます。
基本的にオービスで撮影された写真は白黒ですが、運転者の顔や車種、ナンバープレートまではっきりと写され、車種やナンバー、ドライバーの顔を撮影し、誰がいつどこで速度違反をしたを判別することが可能です。
SNSでは「オービスの赤光り眩しすぎる」「赤く光らせた…終わった…」といった声が見られ、速度違反の車両を撮影する際には赤く光るとされています。
では、オービスはなぜ赤く光るのでしょうか。単純にオービスが作動したことをドライバーに知らせるためだけなら、フラッシュの色は青や緑など、何色でも良さそうです。
実は、目立つためだけに赤く光っているわけではないようです。
この赤色の理由について、オービスを生産している企業の担当者は「守秘義務があるため何も答えられない」としています。
また国土交通省の担当者も製造会社同様に明確な回答は得られなかったものの「オービスは走行車両の速度低減を求めるための装置です」と説明がありました。
ただ、オービスの光が赤いことについては、光の波長が関わっている可能性もあるようです。
目に見える可視光線のうち、その色は波長の短い側から順に、紫、青、水色、緑、黄、橙、赤となっています。
このように赤い光は波長が長いですが、さらに波長が長い不可視光線を「赤の外の光線」として、「赤外線」と呼びます。
夜間にオービスで撮影する場合、被写体となる違反車両から反射される光が少ないため、フラッシュを投射する必要が生じます。
このフラッシュの投射機器には赤外線を透過するフィルターが使用されていることが考えられます。
このような仕組みにより、撮影時に赤外線を投射し反射した赤外線を撮影することによって、夜間時でも違反車両を撮影することができるのです。
また、このフィルターにあえて目に見える「赤」を使用することで、ドライバーがオービスの作動に気付けるようになり、スピード違反をしてしまった事実を認識するきっかけとなっています。
■移動式オービスの多くは光ると白色? なぜ?
そもそもドライバーにオービスが作動したことを知らせる必要があるのか疑問な人もいるかもしれません。
オービスが作動したら、数日から30日以内に警察から出頭通知が送付され、違反者は指定された場所へ出頭しなければなりません。
速度違反したことをきちんと自覚させるために、フラッシュの光でドライバーに認識させる必要があるのではないかと考えることもできます。
オービスの使用目的については、交通事故抑止だけでなく、ドライバーに対して速度を下げさせる意識を高めることが挙げられます。
そのため、神出鬼没の移動式オービスも誕生しました。
このようにオービスは、特定の場所に設置しているだけではありません。
移動式オービスは2016年から配備が始まり、最近では全国各地に配備され移動式のものが主流となりつつあります。
小さなスペースでの設置も可能なため、道幅の狭い道路やトンネルなどに配備されたケースも。その神出鬼没ぶりに多くのドライバーが安全運転に対する意識を高めているようです。
こういった移動式オービスには、白色の光が投射されるタイプのものもあります。
移動式オービスのフラッシュの色が白なのは、違反車両をカラーで撮影しているためと考えられます。
暗所を走るクルマを適切なカラーで撮影するためには、撮影するカメラのホワイトバランスに合わせた白いストロボを投射する必要があります。
そのため、主に撮影用として白い光が投射されるのではないかと考えることもできます。
移動式オービスには従来通り赤色のフラッシュが光るものもありますが、白黒写真からカラー写真に変わりつつあり、それに伴ってフラッシュの色は赤色から白色に変わってくるのかもしれません。
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このように、オービスのフラッシュの色には理由があるようです。
違反取り締まりに関することであるため、詳細は明らかにされていませんが、近年ではフラッシュが白色の移動式オービスも増え、オービスの技術が進歩している様子がうかがえます。