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「道を空けてください!」 高速道路で赤灯&サイレン! 緊急車両が接近どうする? 適切な対応方法とは

くるまのニュース 2023年1月5日 9時10分

一般道路で後方から救急車両が接近すれば、路肩に寄せて停車するのが一般的です。しかし、高速道路を走行中に緊急車両が接近してきた場合、どのような対応をするのが良いのでしょうか。

■高速道路を走行中に後方から緊急車両が接近してきた…対応は?

 年末年始といった長期休暇の際には、実家への帰省や旅行などを目的に高速道路を利用する人も多いでしょう。
 
 もし、高速道路上で緊急車両に遭遇したらどのように対応したら良いのでしょうか。

 高速道路を運営するNEXCO3社(東日本/中日本/西日本)とJB本四高速が公開しているデータによると、2021年12月28日から2022年1月4日にかけての前回の年末年始では、1日あたり平均3万5200台ものクルマが高速走路各線を利用したそうです。

 新型コロナウイルス感染症の影響もあり、直近数年間は比較的交通量が落ち着いているものの、一般的な休日に比べると非常に多く、それにともなって渋滞や事故の発生率も高くなっているのが実情です。

 高速道路で事故が発生した際には、救急車やパトカー、必要に応じて消防車なども出動しますが、そうした緊急車両が後方から迫ってきた際には、どのように対応するのが良いのでしょうか。

 緊急車両への道の譲り方については、道路交通法第40条「緊急自動車の優先」において、次のように定められています。

「交差点又はその附近において、緊急自動車が接近してきたときは、路面電車は交差点を避けて、車両は交差点を避け、かつ、道路の左側に寄つて一時停止しなければならない」

 また、交差点やその付近ではない場合は「車両は、道路の左側に寄つて、これに進路を譲らなければならない」とされており、基本的にはまず左側に寄って、右側を緊急車両用に空けておくことが求められます。

 この条文に則ると、高速道路でもできるだけ左側に車線変更するのが望ましいように見えますが、首都圏の警察の交通安全課担当者は「高速道路ではむやみに車線変更をしなくても良い」といいます。

「高速道路は一般道路に比べてクルマの速度域も高く、むやみな車線変更や減速が事故を起こす可能性もあります。

 周囲の交通の状況を確認して安全が確保されるのであれば、1番左の車線に移るのが望ましいのですが、周囲にクルマが多い場合は急に車線を変更したり、減速したりせず、そのままの速度や車線を保ってゆるやかに走行するのがベストです」

 さらに、JAFでは「緊急車両の進路を妨げないように走るには、サイレンの音や警光灯にいち早く気づき、対処が必要な場合は早めに準備することが大切です」と説明しています。

 緊急車両が近づいてきた際には、アナウンスがよく聞こえるように、ラジオや音楽を止めたり、窓を開けたりすることを推奨しています。

 高速道路の走行時には、前方はもちろんですが後方の安全確認も適宜おこない、緊急車両の存在に気づけるようにすることが重要です。

 むやみや車線変更や減速は危険がともないますが、緊急車両がそのようにアナウンスで指示を出している場合には、安全確認を十分におこなったうえで、指示に従うように心がけましょう。

■緊急車両に適用される「優先通行権」とは? 適用されるのはいつ?

 このように、一般車両が緊急車両に道をゆずる背景には「優先通行権」の保有が関係しています。

 当然といえば当然ですが、緊急車両は国民の生活の安全や人の命を救う業務を担っています。

 そのため、緊急出動時には優先通行権によって、一般車両よりも優先的に公道を走行する権利があるのです。

 優先通行権の内容としては、赤信号の交差点に侵入できたり、通行帯を一時的に無視できたりと、円滑に走行できるようなものになっているほか、一般道路での法定速度は80km/hと、一般車両に比べて+20km/hとなっています。

 また、高速道路では制限速度にかかわらず、100km/hの速度で走行することが可能です。

首都高の管理用車両の回転灯は赤色と黄色を車内で切り替えられるものもある(中島洋平撮影)

 ただし、優先通行権が施行されるのは、緊急車両が回転灯を光らせ、サイレンを鳴らしている緊急出動時に限ります。

 それ以外の走行時は、基本的に一般車両と扱いが同様なので進路を譲る必要はありません。

 また、法定速度は60km/hとなり、もちろん赤信号の交差点への侵入や通行帯の無視などができなくなります。

 優先通行権はあくまでも、人々の生活や人命を守るための救済措置なのです。

 緊急出動中の緊急車両が接近してきた際には、通行を妨げることがないよう注意するようにしましょう。

※ ※ ※

 緊急車両のなかには、前述した救急車やパトカー、消防車に加え、電気/ガス/水道といったライフラインを守る作業車両、ドクターカーといった医療関連の車両も挙げられます。

 なかには、街中であまり目にする機会のない車両もあるかもしれませんが、回転灯の点灯やサイレンなどが確認できたら、すみやかに進路を譲るようにしましょう。

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