パッと見て問題なさそうなクルマでも、車検で不合格になることがあります。そうならないためには普段からのメンテナンスや点検が必要ですが、どのような箇所を見ておくと良いのでしょうか。
■車検前になって慌てないために…
クルマの本体やエンジン周りに問題がないのに、車検(自動車検査登録制度)に通らず再検査を受けることになってしまうケースがあります。
普段から自分でチェックしていれば分かることも多くありますが、車検に出す前にどのような点を見ておくと良いのでしょうか。
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●タイヤの摩耗
車検に通らない理由として最も多いのが「タイヤの摩耗」です。車体自体はどこも異常がなくても、クルマの走行に必要不可欠で、かつ大きく影響するタイヤは、車検において厳密にチェックされます。
タイヤの検査項目は、溝の深さやスリップサイン、偏摩擦、損傷の有無など多岐にわたります。このうち一つでも道路運送車両法で定められている保安基準をクリアできなければ、車検には通りません。
それでは具体的に、どのような状態だとダメなのでしょうか。
・タイヤの偏摩擦
タイヤは走行していることで摩耗が進み、溝が減っていきます。そして、タイヤのトレッドの一部分だけが極端に擦り減ってしまう現象を偏摩擦といいます。
車検では偏摩擦を理由に不合格にされることはありませんが、問題になるのは、スリップサインが一部でも出ているか、出ていなくても片減りで内部のワイヤーが露出している場合は不適合と判断されます。
また、タイヤ溝の深さが、1.6mm未満になるとスリップサインが現れるため、タイヤ溝がそれ以上でなければ車検は不合格となります。それだけでなく、走行すると整備不良とみなされ、普通自動車であれば違反点数2点の加算と反則金9000円が科される場合があります。
・タイヤのひび割れ
車検では、タイヤのひび割れや傷も点検対象になります。ひび割れは経年劣化によっても発生するため、クルマの使用頻度にかかわらずタイヤの状態を確認することが大切です。
ひび割れの程度が軽度である場合は、車検の合否に問題はありませんが、タイヤ内部のカーカス(骨格部品)が露出している場合は不合格になります。
・タイヤのサイズ
規格に合わないタイヤを履いている場合、タイヤ外径が大きく変わると、スピードメーターに誤差が生じるため車検不合格となる可能性があります。
また、フェンダーから規定値以上はみ出していたり、走行時に車体やフェンダーに干渉したりするタイヤサイズの変更も不適合です。
■要注意箇所はタイヤ以外にも
●ライト類の不具合・点灯不良
ライト類といわれるヘッドライトや方向指示器、ブレーキランプ、バックランプの灯火設備は、保安設備に該当するため的確な検査が行われます。
ヘッドライトの検査基準は2015年9月1日より厳格化しており、不合格になるクルマも。もし保安基準を満たしてなければ、車検は通りません。ヘッドライトの検査基準は、光量、カットライン、色味の3項目が用意されています。
・光量基準
ヘッドライトを点灯した時に、前方のどのくらいの範囲を照らせるかを見ます。この項目はライトやバルブそのものが対象ではなく、リフレクターに反射した光量が規定の量を確保できているかをチェックします。
ヘッドライトをカスタマイズしている場合、十分な光量を確保できていない可能性があるので注意してください。
・カットラインの基準
カットラインは「光軸」ともいい、ヘットライトを点灯させた時に正しく照らしているかどうかをチェックします。
日本は左側通行なので、左右両方のヘッドライトともに左肩上がりになっています。
・色味の基準
ヘッドライトの色味も車検の検査項目のひとつで、純正パーツの場合はこの部分は問題なくクリアできるでしょう。しかし、カスタマイズして社外部品を取り付けている場合は注意が必要です。
社外品のライトは、黄みがかったものから青みの強いものまで様々です。色みの単位はケルビンという単位で表現され、ヘットランプの場合、4000から6000ケルビンが基準です。
●オイル漏れ
クルマには多くのオイルが使用されており、潤滑や圧力を生み出す役割を果たしています。車検では、オイル漏れしやすいエンジンルームと車体の下側を中心にチェックされますが、この際、オイルが漏れていると車検に通りません。
利用している駐車場にオイル漏れの形跡があったり、エンジンオイルの減りが早かったりしたら、修理工場で点検をしてもらいましょう。
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車検をスムーズに通すためには、定期的なメンテナンスや点検が必要です。そうすることで車検前も慌てることもなく、余計な出費も抑えることができます。
車検に通らないということは整備不良であるといえるので、オイルの量やランプ類の不具合、タイヤの点検など、自分でもできるチェックは普段から行いましょう。