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高級「レクサスタクシー」なぜ導入? 「乗り心地良い」けど「維持費高すぎ?」 法人で初採用した事業者の声は

くるまのニュース 2023年1月25日 18時10分

2017年に法人タクシーでは初となる「レクサス」をタクシー車両に導入した事業者があります。導入の経緯やお客さまからの反応はどうなのでしょうか。

■法人タクシー初導入! 高級「レクサスタクシー」なぜ運行?

 タクシーは急いでいるときや、目的地の目の前まで行きたい場合などに便利で、利用したことがある人も多いかもしれません。
 
 そんなタクシーで使われるクルマには、タクシー専用設計の車種が採用されるケースがよくありますが、2017年に法人タクシーとして初めて「レクサス」を導入した事業者があります。どのような目的で導入したのでしょうか。

 タクシーといえば、トヨタ「クラウンコンフォート」や「JPN TAXI(ジャパンタクシー)」など、ほぼ毎日利用客を乗せて運行することを想定し、耐久性や経済性、利便性などを重視した専用車種が設けられていることが一般的です。

 一部の個人タクシーを除いて数十台以上のタクシーを運行する規模の大きい事業者では、効率や費用、車両管理などの側面から高級車を採用せず、タクシー専用車を進んで導入する傾向にあります。

 そんななか、2017年に法人タクシーとして、東京都練馬区の国産自動車交通では初めて高級車「レクサス」をタクシー車両に導入しています。

 現在ではレクサスの中型セダン「GS」と「ES」をタクシーとして運用しているようで、導入のきっかけについて国産自動車交通の代表を務める荻野嘉彦氏は、以下のように話します。

「先代の社長の『サービスの質改善と労働環境の向上を目指す』というひとことがきっかけで導入を決めました。

 実際にお客さまからの評価はよく、喜んでいただくことが多いです。

 いつもは短い距離しか乗らないお客さまも、『せっかくなら駅じゃなくて家まで行こうかな』というように、レクサスタクシーを気に入ってくださる方もいます」

 国産自動車交通では、タクシー車種として一般的な「コンフォート」やジャパンタクシーも導入していますが、これらの車種はほかの事業者も導入していることから、車種によるサービス内容の差別化を図ることは難しいと考えられます。

 そのなかでレクサスを導入することで普段短距離しか乗らない利用客も「少し長く乗ってみよう」「またこの会社でタクシーを予約しよう」など、リピーターの確保にもつながり、結果として売り上げの向上にもつながっているようです。

 また荻野氏はドライバーからの評判もよいと話します。

「一日の業務を共にする商売道具として、現場の声はとても大事ですが、担当乗務員からの声としては、『疲れにくい』や『運転しやすい』といった意見があがっています。

 また、GSとESを乗り比べたり、クルマの感想を乗務員同士で話し合う様子もあり、仕事を楽しめているのではないでしょうか。

 レクサスを語れるタクシードライバーは少ないですからモチベーションの向上にも役立っていると思います」

 高級モデルらしく、快適性や機能性の高いレクサスで業務をおこなうことにより、先代の社長が目指していた労働環境の向上にもひと役買っているうえ、仕事への意気込みも向上しているようです。

■「レクサスタクシー」は維持費高い? 導入のデメリットは?

 2017年に法人タクシーとして初めてレクサスを導入したという国産自動車交通ですが、車両自体が大型で重く、さらに装備が充実している高級車は一般的に維持費が高くなる傾向にありますが、導入・運行に際し、デメリットはあるのでしょうか。

国産自動車交通が導入したレクサス「GS300h」(画像提供:国産自動車交通)

 荻野氏はレクサスタクシーのデメリットとして以下のように話します。

「やはり『狭いところに行くと大変』という声は聞きますね。レクサスにもいくつかの車種はありますが、後席にお客さまを乗せることを考えるとどうしても中型セダンタイプになってきます。

 コンフォートやジャパンタクシーなどの(5ナンバー)サイズに慣れていると、お客さまの指定するルートが狭い道だったりすると大変です。

 また、壊れると高い点も気になるところですが、突然エンジンがかからなくなったりする他の車種とくらべて変な壊れ方はしないので、総じて気にはなりません」

 利用客からルートの指定があればその道を通らざるを得ませんが、現在運行中のレクサスESのボディサイズは全長4975mm×全幅1865mm×全高1445mmと、国産車としては大きい部類に入るため、路地などに入ると取り回しはしづらいようです。

 また、大きいデメリットと考えられる導入・運行に関する費用はどうなのでしょうか。

 ジャパンタクシーでは新車価格(消費税込)は333万8500円からなのに対し、レクサスESでは602万円からと、購入費用はかなり高額となります。

 その上、ジャパンタクシーを始めとするタクシー専用車では、安価なLPガスを燃料として使いますが、ESは通常のガソリン車となっています。

 これに関して荻野氏は「レクサスはたしかに導入の費用は高く、燃料代もLPガスとくらべて倍にはなります。しかし、通常の車両より売り上げがいいので、導入・維持費用の高さは気になりません」といいます。

 利用客からの高い支持がデメリットを補完するようで、やはりレクサスタクシーの価値は利用客にとって高いことがうかがえます。

 さらに、乗務員からの評判もよく、レクサスタクシーを導入する目的であったサービスの質改善と労働環境の向上は果たせているのかもしれません。

※ ※ ※

 国産自動車交通ではレクサスGS・ES以外にも、トヨタの高級ミニバン「アルファード」も導入しており、こちらもレクサス並みの高評価を得ているといいます。

 今後も高級車によるタクシーがどれほど登場していくか、期待が高まります。

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