軽自動車の黄色いナンバープレートはどうして決まったのでしょうか。かつては白かった時代もあるという、軽ナンバーの変遷について紹介します。
■軽自動車はなぜ黄色いナンバープレートになったのか
軽自動車のトレードマークといえば「黄色いナンバープレート」ですが、目立つ黄色に対しSNS上などでは「できれば白いナンバープレートにしたい」という声も少なくありません。
そもそも軽自動車は、なぜ黄色いナンバープレートなのでしょうか。
今から100年以上昔の1907年、クルマのナンバープレート装着がスタートしました。
当時はクルマの数も少なく、プレート表示は数字のみでした。
その後クルマの数が増加し、1951年には道路運送車両法が制定。ナンバープレートの色は全国統一規格となり、自家用車は白に定められました。
その後、ナンバープレートに掲載される情報が府県や主要都市名、分類、番号、ひらがな表示と増えたことから二段表示になり、軽自動車は区別のため普通車よりひと回り小さいサイズの白いナンバープレートが設定されました。
さらに1975年、軽自動車のナンバープレートは普通車と同サイズになり、この時にプレートの色が黄色に変更されました。
なお2006年には「ご当地ナンバー」といわれる主要都市以外の地域のナンバーも採用されています。
そんななかで、軽自動車のナンバープレートが黄色い理由はふたつあります。
まず、高速道路などの料金集金スタッフが、軽自動車と認識しやすくするためというのがひとつめの理由。
軽自動車の場合、高速道路の利用料金は普通車の2割引です。料金所のスタッフが軽自動車をすぐに判別できるように、黄色いナンバープレートに設定されました。
もうひとつは、警察が高速道路での速度超過の取り締まりに必要だったためです。
黄色ナンバーの設定当時、高速道路の速度制限が普通車は時速100キロだったのに対し、軽自動車は時速80キロと定められていました。
警察が速度超過の取り締まりをおこなう際、黄色いナンバープレートでクルマを区分する必要があったのです。
ところが現在は、その状況も変化しています。
まずETC(自動料金支払いシステム)の普及により、料金所のスタッフの確認もほとんど不要になりました。
また現在では、高速道路の速度制限が軽自動車も普通車と同じ時速100キロに変わりました(一部に例外区間があります)。
こうした変化に伴い、軽自動車が黄色いナンバープレートである必要性は以前より薄くなっているといえます。
■街で見かける「白いナンバーの軽」は何!?
そんな軽自動車は、黄色いナンバープレートが定番ですが、時々街では白いナンバープレートの軽自動車を見かけるときがあります。
これは日本で開催された「ラグビーワールドカップ2019」の開催を記念してつくられた特別なナンバープレートや、「東京2020オリンピック・パラリンピック」の開催記念のナンバープレートで、どちらも期間限定の申込みで入手できました。
記念のナンバープレートは2種類あり、大会支援として1000円以上を寄付すると選べる、カラフルなデザインのナンバープレートと、寄付金なしの白地に小さな大会のロゴがついたものがあります。
ダントツ人気は白地にロゴ付きのものでした。一見普通車のナンバープレートに見えるからです。
すでにナンバー登録しているクルマであっても、7000円前後でナンバーそのままでこの白地ナンバープレートに変更できるため、多くの軽自動車ユーザーが注目し、変更手続きをしたといわれています。
また現在も、2025年に開催予定の日本国際博覧会(大阪・関西万博)の開催を記念した特別仕様ナンバープレートや、地域振興、観光振興に貢献できる「走る広告塔」としての地方版図柄入りナンバープレートが期間限定で申し込みが可能です。
これらはナンバープレートの白地に日本国際博覧会のデザインが施されたり、地域の観光スポットのデザインが施されたもの。
軽自動車の場合は縁取りが黄色ですが、全面が黄色ではないことから、こちらも軽自動車ユーザーから注目されているようです。
そもそもなぜ、軽自動車の黄色いナンバープレートが嫌われるのでしょうか。クルマのデザインに合わない場合もあるようですが、主な理由として軽自動車のエンジンパワーに原因があるようです。
排気量が小さい軽自動車は、普通車と比べてどうしても発進や加速が遅れがちになります。また上り坂になるとパワーが足りず、速度が落ちてしまう傾向もあります。
「無理な割り込みをされた」「追い越しのできない片側1車線の道であおられて怖かった」「合流させてもらえなかった」など、軽自動車のユーザーの中には黄色いナンバープレートとパワー不足が原因と思われる理由で、運転中に嫌な思いをした人もいるようです。
最近の軽自動車のなかには、車体も大きく一見すると普通車に見えるようなものも出回るようになりました。
日常生活に不便がないのであれば、気持ちよく運転できる方が良いと、白いナンバープレートを選択する人がいるのも理解できます。
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軽自動車の中には、黒いナンバープレートのものもあります。黒いプレートに文字や数字が黄色のタイプです。
これは貨物軽自動車運送事業を行っているクルマ、つまり配達を行っているクルマです。
コロナ禍の影響もあり、宅配のニーズが急増したことから、通販大手Amazon(アマゾン9の配達を受託する「アマゾンフレックス」や、ヤマト運輸の「EAZY CREW」のように個人に配達業を委託するケースが増えてきました。
副業や個人事業主として、自家用車を仕事に使うために軽貨物登録をして、荷物の配達を行っている人も少なくありません。
荷物を送りたい人、荷物を配達したい人のマッチングサービスもスタートし、さらに宅配荷物の配達が多様化しているのがわかります。