冬に天気が荒れると、「大雪で高速道路に20時間立ち往生」などのニュースを耳にすることがあります。このような状況に何の備えもなく巻き込まれると、辛い時間を過ごすことになるだけでなく、生死に関わる事態になる可能性もあります。それでは実際に、何を備えたら良いのでしょうか。
■雪で立ち往生! 何を備えておくと良い?
冬に天気が荒れると、「大雪で高速道路に20時間立ち往生」などのニュースを耳にすることがあります。
何の準備もなくそのような状況に巻き込まれると、とても辛い時間を過ごすことになるだけでなく、生死に関わる事態になる可能性もあります。
筆者(オービスガイド 大須賀克巳)もクルマで全国を駆け回る仕事をしているので、大雪による立ち往生に何度か遭遇したこともあります。
今回は、そんな経験から「大雪による立ち往生」に対し、何を備えておくべきか解説します。
■クルマが立ち往生! どう対応したらいい!?
雪道を走行していると、雪にはまり自身のクルマが立ち往生してしまうということも考えられるでしょう。
ではクルマで立ち往生してしまった場合にはどのような対応をとれば良いのでしょうか。
■一番大切なのは「寒さ対策」
一番大切なのはやはり、寒さ対策です。
ガソリンの残量が多ければ精神的にも余裕がもてますが、4分の1以下だったりするとドキドキしながらクルマの暖房を使うことになります。
そのため雪が降りそうな地域を長距離移動する場合はこまめに給油します。また、防寒着や毛布などの常備も大切です。
しかしガソリンが満タンだからといって安心ではありません。エンジンをかけて暖房を使えば車内は暖かくなりますが、マフラーが雪で塞がれ一酸化炭素中毒になる危険があります。
そのためクルマの周囲を定期的に除雪するためのスコップが必要で、さらに長靴があれば靴をぬらすことなく雪かきができます。
長靴は除雪時だけでなく、食料の買い出しやトイレに行く際にも活躍するので、クルマに積んでおくことをお勧めします。
睡眠をとる場合はエンジンを切ることが推奨されているので、毛布や寝袋を使って寝ようとしますが、雪中でエンジンを止めて30分もすると車内の温度がどんどん低下していきます。
0度前後やそれ以下になると、毛布1枚程度では寒くて眠れる状況ではありません。そのような場合は、ポータブル電源と電気毛布があればとりあえず眠ることができます。
椅子を倒して眠る場合は、掛けるタイプの電気毛布を使うことになりますが、車内にフラットな場所を確保できるクルマであれば、敷くタイプの電気毛布も良いでしょう。掛けるタイプに比べ面積が小さく、レベルを中にした状態でポータブルバッテリー(12万mAh/444Wh)により18時間くらい利用できます。
また、小型のセラミックファンヒーターを一緒に使うと顔なども寒くなくなりますが、ポータブルバッテリーは7時間くらいで空になってしまします。
用意するポータブルバッテリーは、長期戦に備え、クルマのシガーソケットから充電できるタイプをお勧めします。
また、長距離トラックドライバーが寝台で使うトラック布団を敷くと、床の冷たさを防ぐと同時に十分な弾力でぐっすりと眠れます。ちなみにEV(電気自動車)の場合も、クルマの暖房を使うより、車内のコンセントを利用して電気毛布などで暖をとる方がバッテリーの消費を抑えられるようです。
■緊急時に備えて「食料やトイレ」もあると安心
私が立ち往生したのは、高速道路ではPA内でした。国道の時はコンビニが近くにあったため食料やトイレの問題は運良く回避できましたが、ニュースでは自衛隊の支援や近所の住宅でトイレを借りたという情報を耳にしたことがあります。
山間部や街から離れた場所の場合は、それらの支援が受けられなかったり、支援が来るまで時間がかかったりするかと思います。その対策としてある程度の食料と水、それに携帯用トイレを常備しておくと安心です。
■立ち往生を楽しむ
特に高速道路で雪による立ち往生に巻き込まれると、前にも後ろにも進むことができなくなったりします。
しかもそれが何時間で解消されるのか、先が見えない闘いが始まります。
仕事中であろうが急用があろうが、そのような時はどうしようもないので、状況を関係者や家族に伝え、後は安全に渋滞が解消されるのを待つしかありません。
できればその間も快適に、欲を言えば楽しく過ごしたいものです。
それには自分で何が必要かを日頃から考え、準備しておくと良いです。
新たに買わなくても、自宅に置いてあるものや、キャンプで使うものなど、いろいろと活用できるのもがあると思います。私はスマホに予めダウンロードしておいた映画などの動画コンテンツのおかげで退屈せずに過ごすことができました。
■雪中立ち往生装備リスト
雪中立ち往生を想定して、必要な・あったら便利な装備をリスト化してみました。
●必要な装備
・なるべく満タンに近いガソリン
・防寒着
・毛布や寝袋
・食料と水
・スコップ(マフラーやクルマの周囲の除雪用)
●あると便利で安心な装備
・ポータブル電源
・電気毛布(消費電力の少ないもの)
・小型電気ストーブ(消費電力の少ないもの)
・使い捨てカイロ
・一酸化炭素チェッカー(車内の一酸化炭素濃度を測る)
・携帯用トイレ
・フラッシュライト(夜間作業や、周囲に存在を知らせる)
・長靴
・手袋
・着替え
・スノーブラシ(屋根や窓の雪を取り除く)
・牽引ロープ(スタック時に対処)
・ブースターケーブル(バッテリー上がりに対処)
・タイヤチェーン(チェーン規制時やスタッドレスでも走行できない場合)
・スノーヘルパー(スタック時の脱出用)
●快適に過ごすためのグッズ
・車用Wi-Fi
・スマートフォンやパソコン
・ダウンロードした動画コンテンツ
・本や雑誌
・保温ドリンクホルダー
・サンシェード
・車中泊マット(トラック布団)
これらの備えは大雪時に限らず通常の車中泊から、事故などによる長時間の通行止めや災害時に自宅から避難する際にも役立つと思います。クルマでよく長旅をする人は、備えておくと安心・便利です。
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お出かけ前に天気予報などを確認し、まとまった降雪の予報が出ている時は、そもそも出かけないのが一番です。
それでも仕事や用事があり出かける場合は、必要な準備を整えておくと安心です。
もし、立ち往生中に体調が悪くなったり、ガソリンが無くなりそうな場合は無理をせずに救助を要請することも大切です。