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「自分の何周忌に実現!?」 高速道路「最長2115年まで有料」が閣議決定 遠のくゴールポストに諦めの声も

くるまのニュース 2023年2月16日 10時40分

政府が、高速道路の有料期間を最長2115年まで延長できるとする関連法の改正案を閣議決定しました。高速道路の無料化は、なぜ事実上撤回されることになったのでしょうか。

■高速無料化は現実的にムリ?

 政府は2023年2月10日、国土交通省が通常国会に提出した、高速道路の有料期間を50年延長する関連法の改正案を閣議決定しました。

 これにより高速道路の有料期間は、現在の2065年から最大50年後の2115年まで設定されることになります。

 しかしなぜ、高速道路の無料化は、事実上の撤回ともいえる事態になったのでしょうか。

 そもそも高速道路の通行料金は、建設費などの借金が返済されたら無料化するという「前提」がありました。

 2005年に道路公団4法人が民営化された際は、借金40兆円を完済する2050年までに無料開放するということになっていました。

 しかし2012年12月、中央道の笹子トンネルで老朽化などに起因する天井板崩落事故が発生。これが「無料化先送り」の議論の追い風となり、2014年に有料期間を15年延長して2065年までとすることが決まりました。

 日本初の高速国道である名神高速の栗東IC~尼崎IC間の開通は1963年。それから50年以上が経過し、次々と建設され老朽化していく高速道路の維持管理費をどう確保していくか議論されていた時でした。

 NEXCO東日本・NEXCO中日本・NEXCO西日本の3社が2023年1月に公表した更新計画によると、NEXCOが管理する高速道路は約1万kmで、そのうち約3000kmが開通後40年以上経過しており、約1360kmで更新事業を実施しているといいます。

 そして調査した結果、新たに更新が必要な箇所は約500kmに上り、対策としてさらに約1兆円が必要と試算しています。

 ただしこれは老朽化対策のみの数字であり、交通容量の拡大に向けた車線数の増加工事や、自動運転・カーボンニュートラルに対応するためのSA・PA機能高度化といった取り組みへの投資も別途必要です。

 新しい制度では、高速道路の更新・進化の費用を賄うため、上述のとおり料金徴収期間(有料期間)を延長することとし、あわせて債務返済期間を設定します。

 この債務返済期間は、国土交通大臣への許可申請日から50年以内とし、料金徴収期限は最長で2115年9月30日まで延長できることとします。

 また、通行料金を確実に徴収するため、車両の運転者に加え、車検証上の使用者に料金を請求できることを明確化。

 さらに、軽自動車や二輪車による料金不払いがあった場合、高速道路会社は軽自動車検査協会などから使用者の情報を取得できるようにします。

 SA・PAについては、機能を高度化した駐車場の整備費用の一部について、高速道路機構から高速道路会社への無利子貸付制度を創設。これによりEV充電や自動運転車両の拠点となるような施設の整備を進めます。

 SNSでは、「メンテ費用はかかるから有料は仕方ない」「無料化したら事故多発しそうだから有料で構わんよ」といった理解する意見がある一方で、「できない約束をするべきではないと思う」「一生有料って言ってもらったほうが助かる」「自分の何周忌に実現!?」「やったー! 90年後は高速道路乗り放題や」など、諦めとも受け取れる声も多く投稿されています。

 2050年だった料金徴収期限は2065年に繰り下がり、さらに今回、最長で2115年まで遠のくことに。

 後退を続ける“ゴールポスト”に、現実の時間が追い付くことはあるのでしょうか。

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