トヨタの高級ミニバン「アルファード」と「ヴェルファイア」は、姉妹車ながらデザインで差別化が図られ、それぞれのファンに支持されています。両車のファンはどこを気に入っているのでしょうか。
■「アルファード」vs「ヴェルファイア」
トヨタは高級ミニバンとして「アルファード」と「ヴェルファイア」をラインナップしています。
もともとは異なる販売チャネルで販売されていた両車は、フロントフェイスの違いで差別化を図っている姉妹車です。
かつてはヴェルファイアのほうが販売数が多かったのですが、現行モデルが2018年にマイナーチェンジしたときに立場が逆転。アルファードが圧倒的に売れるようになりました。
これは、メッキを多用したヤンチャなイメージのヴェルファイアに対して、仮面のような縦型グリルが派手になったと同時に「ちょうど良い上品さと高級感」を演出したアルファードに人気が集中したことが大きな要因といわれています。
アルファードの最上級グレード「エグゼクティブラウンジ」は法人で利用するのにも適したスタイリングとあって、「高級ミニバンといえばアルファード」というイメージが定着していきます。
その結果、アルファードは約350万円から750万円という幅広い価格帯で豊富なグレードを用意する一方、ヴェルファイアは販売台数が下降したことを受けて既存のグレード展開が廃止され、現在では特別仕様車「ゴールデンアイズ III」のみとなってしまいました。
人気の面では大きな格差が付いてしまったアルファードとヴェルファイアですが、もちろんオーナーの熱は変わらず、両車には根強いファンがいます。「アルファード派」「ヴェルファイア派」は、それぞれのどのようなところを推しているのでしょうか。
アルファード派の人の意見は、「フロントマスクに迫力がある」(20代・男性)や「縦型グリルが重厚感を感じさせる」(30代・男性)、「派手すぎず地味すぎないので、どんなシーンでも使える」(40代・男性)といった好意的なものがあるなか、「高級感があるのは間違いないが、もう少しインパクトは控えめでも良かった」(30代・男性)という声もありました。
一方のヴェルファイアは、やはりそのイカついフロントマスクについての意見が多いようです。
たとえば「ミニバンらしからぬイカつい感じが、逆に若々しく感じる」(30代・男性)や「直線基調なので、リアとのデザインの整合性が取れている」(40代・男性)、「ノアにも似ているが、それだけ時代を先取りしていたということでは?」(30代・男性)といった具合に、直線基調のデザインを気に入っている人が多いようです。
しかし、イカついがゆえに、「美しさを感じない」(20代・男性)、「クロームパーツが多すぎてギラギラしている」(30代・男性)といった声も聞かれました。
■「アルヴェル」各オーナーが購入した決め手は?
実際にヴェルファイアのオーナーであるKさん(50代男性)は、「アクの強さを気に入って購入した」とのこと。
ファミリーカーっぽいミニバンばかりのなか、むしろ趣味の釣り用の移動車としても、1人で乗っても多少アクは強いほうが好みということで、このデザインだから選んだといいます。
対するアルファードオーナーのOさん(40代・男性)は「どうせ長く乗るなら高級なクルマに乗りたかった」というのが購入の決め手。家族で乗るのにも適していながら仕事関係でも違和感なく乗って行ける高級感のあるデザインが気に入っているポイントなのだとか。
「やはりこのクラスになると、すべてにおいて余裕が感じられます。広さも乗り心地も使い勝手も悪くないです。また両親を乗せて家族全員で旅行に行ってホテルに乗りつけても、恥ずかしくないステータスはやはり嬉しいものです」(アルファードオーナー Oさん)
話を聞くと、やはり世間的には「アルファード=高級車」というイメージが定着していることを痛感。高級感がほしくて、ヴェルファイアからアルファードに乗り換えた人もいるほどです。
ただし、唯一のネックがインテリア。高級感や質感はおおむね満足されているようですが、インテリアのデザインは「良くも悪くも少し前のトヨタらしい古臭さがある」とオーナーたちは指摘します。
また、オプションの大画面ナビ(10.5インチ)は70万円という高額オプションで、結果として総額が上がってしまうのが残念ポイント。
ほかにも、3.5リッターV6エンジンはパワフルな動力性能が魅力的なのですが、試乗などでその性能を体感してしまうと、実際に購入したハイブリッド車を非力に感じてしまうこともあるそうです。
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ミニバンといえば実用面ばかりが話題になりがちですが、そんななかアルファード・ヴェルファイアに関しては内外装のデザインに関する意見が飛び交うあたりは、堂々としたスタイリングが重視される高級ミニバンならではといえそうです。