春から新社会人になり、新たな職場までクルマで通勤するようになる人もいますが、なかには会社の風土や制度によって、車種選びに置いて注意しておいたほうがいいこともあるようです。
■上司より高いクルマに乗るな!? 現代社会の実態は?
新社会人の車種選びに置いて、昔は『上司より高いクルマを選ぶのは非常識』などという考え方がありました。
現在でもそのような考え方はあるのでしょうか。
かつては一般的に「上司よりも高いクルマは選ばないほうが良い」といわれるケースがあり、現代でもインターネット上でそのような意見も見られます。
そのほかにも、勤め先に特定の自動車メーカーと深い関わりがある場合は「会社に合わせたクルマ選びをするべき」と、会社の取引先を配慮するべきという声も聞かれることがあるようです。
しかし、世の中がよりフラットな社会へと変化を遂げているなかで、現代でもこのような考え方は重要視されているのでしょうか。
IT系のベンチャー企業の代表取締役社長を務めるA氏は次のように話しています。
「弊社では、役職や年齢などで車選びを制限することはありません。むしろ、若い人でも積極的にクルマを所有出来るように補助する制度もあります」
また土木関係の会社の取締役を務めるB氏は次のように話しています。
「自分が若い頃には先輩や上司よりも高いクルマを所有することは暗黙のルールで禁止されていました。
しかし、いまでは基本的に車選びを制限することはなく、いまの先輩メンバーも後輩が良いクルマに乗っていたとして気にしていないようです」
一方で医療関係の会社で営業をしているC氏は次のように話しています。
「10年くらいまでは、明確に『上司・先輩より高いクルマを選ぶのは非常識』という暗黙のルールがありました。
現在では薄れつつありますが、それでも上司より良いクルマに乗ると嫌味を言われることはありますが、その程度です」
では、クルマを販売する側ではどのような状況となっているのでしょうか。
国産系の新車販売店の担当者は、新社会人のクルマ選びについて、次のように話します。
「昔は『上司より高いクルマを選ぶのは非常識』などという考え方がありましたが、近年ではそのような理由で特定のモデルを避けるお客様は極めて少ない印象を受けます。
過去にあったのは、新社会人になり親御さんがクルマの購入を支援してくださるというお客様のお話です。
その人は派手な色や、高見えするモデルはやめるよう親御さんに言われていました。
ですが、20代の人が自分でクルマをご購入される場合、好きなモデルを選ばれている人が大半です。
これに加えて、近年ではSUVなど多種多様なラインアップが展開されるようになったほか、プラットフォームの共通化などでクルマの『車格』といった概念がそもそも薄れているのも影響しているかもしれません」
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社会的に見ても年功序列などの考え方が薄れつつあり、よりフラットな社会へと変化しているといえます。
さらに、SUV人気やプラットフォームの共通化で「車格」という概念そのものも薄れつつあります。
この社会的風習の変化に加えて、自動車業界の変化が、かつての価値観が風化されることに拍車をかけているのかもしれません。
■自動車メーカー系列会社の新社会人は要注意!?
「上司よりも高いクルマを選ばないほうが良い」という考え方は、時代の流れと自動車業界の変化により、風化されつつあるようです。
一方で、勤め先に特定の自動車メーカーと深い関わりがある場合は「会社に合わせたクルマ選びをするべき」といった考え方はまだ健在なのでしょうか。
日本には約500万人近い人々が自動車業界関連の仕事に勤めており、これは労働人口の約10%にあたります。
このような国内の基幹産業におけるクルマ選びの考え方も、時代とともに変化しているのでしょうか。
自動車メーカーの系列会社に勤める新社会人D氏によると「自分は配属先の工場の駐車場には、親会社とそのグループ会社にあたる2メーカーのクルマしか止められないと事前に会社から伝えられました」と、まだこういった考え方が健在であると話します。
一方、別の自動車メーカーの系列会社に勤めるE氏は、次のように話します。
「弊社では系列メーカーの車両と、それ以外とで駐車スペースが分けられています。
また、自社系列のクルマを買うことで、社内割引が適応されたりと、購入することでメリットがある仕組みになっています。
特にクルマにこだわりがない社員からすれば、『自社系列のクルマを買わない理由がない』といった状態が整えられています」
このように、会社の制度にはさまざまな違いはあれど、メーカー系列の会社に勤める新社会人は、その会社の規定や特典を事前に確認した上で、クルマ選びを進めることが得策といえるでしょう。
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新社会人のクルマ選びにおいて、かつてのように「上司の目を気にしなくてはならない」といった状況は極めて少ないようです。
その一方で、自動車メーカーの系列会社に勤めるユーザーにとっては、自分の会社の制度に合わせるための注意が必要かもしれません。