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旅先でのクルマ利用「レンタカー」「カーシェア」どっちが便利? カーシェア派が増加する訳

くるまのニュース 2023年2月24日 11時10分

旅先での移動手段として、「レンタカー」と「カーシェア」のどちらが便利なのでしょうか。実際の利用者の声とともに検証してみます。

■観光地のホテル周辺にカーシェアのステーションが増えている

 春が近づいてきて、国内旅行を予定している人も多いでしょう。旅先での移動手段として定番のレンタカーと増加傾向のカーシェア、実際はどちらが使い勝手が良いのでしょうか。
 
 2022年度におけるカーシェアの状況は、カーシェアの情報比較サイト「カーシェアリング比較360°」の調査によると、貸出や返却の拠点となるステーションが増加傾向にあり、主要5社(タイムズカー、カレコ、オリックスカーシェア、カリテコ、ホンダエブリゴー)の合計ステーション数は、全国で1万9483箇所、車両台数は3万7847台となっています。

 なかでも業界最大手の「タイムズカー」は2022年9月に会員数が200万人を突破するなど、堅調な伸びを見せています。

 また、今まであまりステーション数が多くなかった北海道や山形、群馬、石川、高知などが10%以上の伸び率となっており、すでにステーションが充実している主要都市だけでなく、徐々に地方でも利用状況が改善されてきた印象です。

 伸び率の高いエリアを見てみると、人気の観光地を抱えつつも公共交通機関がそれほど充実していないといった事情から、普段からクルマ利用が多いエリア。それだけカーシェアの稼働率が高いと見込まれての設置が増えているといえそうです。

 そんななかでも、最近のトレンドとなっているのが、ホテル隣接型ステーションの拡充。旅行&グルメサイトを数多く手掛ける編集プロダクション代表のW氏は、旅先での短時間利用の需要が高まっている証拠との見解を教えてくれました。

「以前は目的地周辺までは電車などの交通公共機関、最寄り駅からはレンタカーというのが主流でした。しかし最近はホテルなどの宿泊地を軸に、2、3時間で巡れる観光地への移動手段としてカーシェアリングの利用が増えているようです」

 これは長く続いたコロナ禍の影響で、現状では海外旅行より国内旅行が人気になっていることも関係しているのだとか。そしてカーシェアリングの最大のデメリットともいえる、借りたステーションに返却することを考えると、宿泊先に近いほど便利なのは当然です。

 そんなニーズに応えるべく、ホテルに隣接するようにカーシェアリングのステーションが設置されているというのです。

「レンタカーの場合は時間単位で借りることが多く、乗らない時間がもったいないという声も聞かれ、その無駄を少しでも減らしたいと考えているユーザーはカーシェアを選ぶ傾向があるそうです」(旅行&グルメサイトの編集プロダクション W氏)

 確かに同じホテルに2泊する場合などは、レンタカーも丸2日借りることが多いのですが、夜間は駐車場に停めっぱなしになるわけで、それなら必要な時間分だけ利用料金を支払うカーシェアを利用するのも賢い方法です。

「観光地だけでなく、主要都市部でも出張などでクルマを利用したい場合は、短時間から乗れるカーシェアのほうがメリットも大きいかもしれません。

 また、事前予約が必要なレンタカーに対して、カーシェアならステーションに空いているクルマがあれば、アプリを通じてすぐに借りられるという手軽さも魅力なのでしょう」(旅行&グルメサイトの編集プロダクション W氏)

 ただしカーシェアはメリットばかりでもないようです。サービスを利用するためには主要各社の会員登録が必要ですし、場合によっては月会費で数千円かかる場合もあります。

 そうなると、事前に予約する手間はかかるものの、月会費の支払いが不要のレンタカーが借りやすい面もあり、どちらにもメリット・デメリットはあります。

■レンタカー・カーシェアのベストな使い分け術

 実際に旅先でカーシェアを使うメリットは何があるのでしょうか。沖縄県在住のカメラマンK氏は「離島ならカーシェアがおすすめ」といいます。

「私の地元である沖縄など離島では交通手段が限られており、やはりクルマを利用するのがベストです。

 ただし観光名所を巡るならともかく、今日はここへ行ってみようなどという場合は、島内であればたいてい1時間もあれば行けてしまい、そうなると観光で1時間を加味しても3時間程度で戻れます。

 レンタカーでもパック料金で安く乗れますが、最低でも6時間からしか借りられないとなると、数時間が無駄になってしまいます。基本はホテル周辺で観光を楽しみ、たまにちょっと遠い観光地などを訪れるパターンなら、カーシェアがお得だと思います」

車種指定できるのはレンタカーのメリット

 またK氏いわく、レンタカーの借り出しや返却にも時間を割くのがもったいない人にも、カーシェアはおすすめだといいます。

「カーシェアはアプリなどで予約がかんたんにできるうえに、借り出しの手続き(書類への書き込みや免許証の控えなど)もなく、ステーションからすぐに乗れます。

 さらに返却時に給油する必要がないのも楽です(注:カーシェアでも燃料が少ない状態の場合は、専用のガソリンカードで給油作業する必要があります)」

 また逆に主要都市での利用も、数時間程度で済む用事であればカーシェアはかなりお得に使えそうです。

 都市部、特に東京では時間貸し駐車料金が値上がり傾向ということもあり、夜間など借りたままで乗らずに数時間駐車するのであれば、使う時間分だけの支払いで済むカーシェアのほうが使い勝手が良いと思われます。

 一方で、レンタカーのほうが良いケースもあります。

 カーシェアでは希望の車種が選べないことが多々ありますが、その点、レンタカーでは用途に合わせてサイズが選べ、多人数でミニバンを借りたいときなどは事前予約できるのがメリット。キャンプやグランピングが趣味のデザイナーS氏はレンタカー派なのだとか。

「確かに短時間利用ならカーシェアは便利ですが、休日に借りるならレンタカーを選びます。

 セットパック料金も長時間になるほど価格差はほとんどないですし、カーシェアは会員で月会費を払う必要がありますが、レンタカーには月会費などの縛りもありません。

 また、いざとなれば現地で乗り捨てできるのも、レンタカーの大きなメリットです」

 実際に筆者(金田ケイスケ)も数回カーシェアを利用したことがあり、アプリでの予約は簡単ですが、返却時間に対してよりシビアなカーシェアは時計を気にしながらの行動になってしまうのも事実。

 それでも目新しさもあって、車種が限定される(利用したい場所から最寄りのステーションにある車両に限られます)とはいえ、返却時に給油しないで済むのは身軽で便利でした。

※ ※ ※

 旅先でレンタカーとカーシェアのどちらを利用するかは、目的や行く場所によって使い分けるのが最善の策でしょう。

 宿泊先から早朝で出かけ、12時間以上クルマが必要で、用途にあった車種を選びたいならレンタカー、3時間程度の利用や突発的な移動の場合はカーシェアといった具合に、うまく使い分けたいものです。

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